乙女ゲームの攻略対象者から悪役令息堕ちポジの俺は、魂の番と幸せになります

琉海

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17.お嫁さんになってくれる?

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それから俺とサフィーちゃんは毎日一緒に遊んで、勉強して、寝て、ご飯を食べて、変態にいたずらして、一緒にお尻ぺんぺんされて、半泣きになってごめんなさいして…はたと気づいた。俺、精神年齢が年齢に引きずられてるんだと。
前世プラス巻き戻しを加えると…幾つだ?前世は幾つまで生きていたのか覚えていないからわからないけど、少なくとも巻き戻し前と今を足すと精神年齢は23歳以上なのは確かだ。

結構、いい大人のはずなんだが、情緒が今の5歳児が強いというか環境にすごく引っ張られている気がする。だって、やっている事は完全にクソガキじゃねぇか。
でも楽しいからいいやと思っている。俺の中で大人と子供が絶妙に混ざりあっていて違和感がないんだよな。
母への思慕も、セフィロスへの全幅の信頼と庇護者への愛情も、完全に子供のそれだ。
前世も巻き戻し前もあまり親族への縁がなかった俺は、今はしっかりと愛情をもらいまくっている自覚がある。
それに対して恥ずかしいと思わないのは、子供の部分が強く影響していると思う。
大人の俺自身、子供は愛情受けまくってナンボだと思っているしな。

「くぅ!」
「さぁちゃん。どうしたの?」

俺が庭のお気に入りの場所で本を読みながらうとうとしているとサフィーちゃんがやってきた。サフィーちゃんの事を俺は「さぁちゃん」と呼んでいる。
俺だけの、特別な呼び方。

「くぅがいないから探しに来ちゃった……邪魔した?」
「まさか!さぁちゃんは僕がどこにいても探しに来てくれるね。ふふふ…嬉しい」
「えへへ。くぅちゃんはね、特別な匂いがするからわかるの」
「え…僕、くさい?」
「ぜーんぜん!逆だよぉ!いい匂いがするの」
「良かったぁ」
「なに、読んでたの?」
「これ!」
「その本、お気に入りだね」
「うん!この本の騎士がさぁちゃんに似てるから好きなの」
「え……そうなの?」
「うん。ほら、目の色も綺麗でしょ?」

俺は挿絵を指さした。よくある、攫われた姫を助けに行く騎士の話なのだが、この騎士の目がさぁちゃんに似て紫色の目が印象的な美形の騎士だ。彼女の目は紫がかった碧い目だけど。女の子なのに騎士に似てるっていうのは失礼だと思うけど、白銀の美形騎士は彼女に似ていた。
ちなみに、この世界ではカラーの本が貴重だったりする。

「獣人の騎士……怖くない?」
「どうして?カッコいいよ。強くて美しくて綺麗な色の目で、しかも魔法まで使えちゃって、どこからどう見てもカッコいい!!!憧れる」
「ほんと?獣人の強い魔法も怖くない?」
「ぜぇーんぜん!このしっぽも綺麗だし…さぁちゃんにもあるよね。ふふ…揺れてるよ?」
「あ!」

そう、さぁちゃんは狼の獣人さんなのだよ。ふわふわの尻尾は、彼女の気持ちを如実に表してくれて、嬉しい時はゆらゆらとご機嫌に揺れるんだ。可愛いよな。

まだ子供だから、尻尾の制御が出来なくて感情がそのまま出てしまう事を彼女は気にしているけど、俺は喜怒哀楽が目に見えるから助かる。そしてなによりも可愛い!!!!
天使にふわふわの綺麗な尻尾があるとかKAWAII以外の語彙が見当たらないんだが?

セフィロスが言うには、尻尾に感情が出てしまうのは子供だから仕方がないらしいんだけど、さぁちゃんは気にしているみたいで「(動かないように)訓練するの!」と常日頃から言っている。そのうちコントロール出来るようになるんだろうなと思っているが、さぁちゃんには悪いけどしばらくはこの可愛さを堪能したい。

「うぅぅ…恥ずかしい」
「どうして?僕はさぁちゃんの気持ちが目に見えるし、可愛いから好きだけどな」
「ほんと?」
「うん!さぁちゃんは賢いし、ゆうしゅうだから、きっと大人になったら完璧に出来るようになると思うんだ。だから、今だけは見ていたいなぁ」
「むー…嬉しいけど…さぁは、くぅの前ではかっこよく…いたいの」

きゅうぅぅぅぅぅん!!!!
トスッとハートに矢が刺さった音がした。鼻血が出た。心の中で。ちなみに、さぁちゃんは自分の事を名前で言うんだぜ。どちゃくそ可愛い。

「さぁちゃんは…えぇと、きっと、大人になったらカッコよくなるよ!」

今はひたすら可愛いだけだ…ごめん、カッコいいって嘘でも言えない正直者の俺を許して。だけどそんな俺の言葉に、ぱぁ!と顔を輝かせるさぁちゃんが可愛くて眩しい。
思わず頭を撫でると、嬉しそうに笑ってドスドスドスッ!とハートに連弾撃ち込まれた音がした。うぅ…無自覚可愛いオソルベシ。

「あのね…さぁは、くぅが大好きなの。大きくなったらお嫁さんになってくれる?」
「!!!!!!!」

どきゅうぅううううーーーん。
最大級にドでかい何かが撃ち込まれた音がした。天地神明に誓って、俺はロリじゃない。もふもふとか、可愛いものは大好きだが幼子に全く興味はない。さぁちゃんだって、どちらかといえば純粋に「可愛い」とだけ思っていた。邪な心は一切なく、小さきものを愛でる感じ。だが、”5歳児の俺”は堕ちた。陥落したのが分かった。
頭が真っ白になって、次いで顔に血が上ってかぁぁと熱くなった。

「……やだ?ダメ?」

さぁちゃんの顔が青くなって、目がうるうると潤み始めたことに気づいて慌てた。

「やだじゃない!うれしい!!!僕も、さぁちゃんが大好き!大きくなったら結婚したい!」
「ほんと?!番になってくれるの?絶対だよ!約束だよ!!!」
「うん!絶対!約束ね!!」
「…?なぁに??」

そう言いながら指切りげんまんをしようと小指を出すと、さぁちゃんが首をこてりと傾げた。

「指切りげんまん、って言って、約束を誓うおまじないだよ。こうやって、小指をね、からめるの。指切りげんまん、うそついたら針せんぼんのーます!」
「えぇ!針飲むの?!」
「ふふふ。本当には飲まないよ。だけど、そのくらい大切な約束ってことだよ」
「おぉ……」

さぁちゃんが顔を真っ赤にしてぷるぷる震えてる。尻尾はぶるんぶるん振ってるから、嬉しいのだと分かる。

「じゃ、じゃぁ、この約束は絶対にやぶれないね!」
「うん!そしてね、最後に”指きった!”で指を離すの。これで約束したことになるんだよ」
「なるほど……けいやく、だね」
「けいやく?……確かにそうかも」

言われてみれば、これは呪いで、契約だ。子供の口約束とはいえ、契約は契約である。俺は大人になって絶世の美女になるであろうさぁちゃんを獲得する権利を得たのだ!
そう、契約は大事だからな!!!!
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