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13.魔力判定

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「孔雀様、お手紙が届きましたよ」
「ありがとう」
「本当に熱心ですねぇ…ですが、良かったですね」
「うん!」

あれから王宮には行けてない。そんな頻繁に出入りするとヒスバァに目を付けられるし、そうなると母の危険度が増すから会いたくてもあまり会えない。
必然的に紅玉とも会う機会はないのだが、その代わりに紅玉から手紙が届くようになった。文字はまだ書けないから、中身はほとんど絵だ。
子供らしくカラフルな色使いで、日々の事が描かれている。
人物なんて頭がでかすぎて誰を描いてんだよ、てな感じなんだけど、何度ももらううちに分かってきた。

ただ、登場人物はいつも3人で、その事に胸がぎゅっとなる。
1人は紅玉で、少し小さめに描かれていて、最近頭の上に華印が描かれるようになった。これはどうやらスミレ君が描いてるみたいだ。その隣にいる大きな頭がスミレ君らしい。
そして、紅玉を挟んで隣にいる、でけぇ頭の華印があるのが俺。

さらに、妖精たちが紅玉の様子とかを教えてくれるんだよ。
最近、紅玉は勉強熱心になったらしくて、その理由が「おにたまと、ちぃたまに褒められたい」とかスミレ君言っているらしいんだよ!
先日、マナーの勉強頑張ってて偉いな、と俺が適当に言った事がその原動力らしい。
泣けるよな!泣いちゃうだろ!?健気すぎて破壊力がヤバイ。
それを聞いたスミレ君も号泣しているらしいが。

俺からの返事は、ほんの少しの言葉と、押し花や妖精からもらう綺麗な石とか。
え?ゴミじゃねぇかって?俺は壊滅的に絵心がねぇんだよ。
かといって文字だけじゃ、いくらスミレ君に読んでもらうとはいえ味気ないし、万が一手紙が見つかった時に親密なのはバレたくない。
だから、失くしたり捨ててしまってもいいものにした。

紅玉からの手紙は多い時で週に4日。少なくても2日はくる。だから、ほとんどラリー状態だ。手紙箱がパンパンである。
日記替わりの絵から、今日は何をしたのかってのがなんとなくだが分かって微笑ましい。
マナーの先生が黒棒なのが笑える。最初なんなのか分からなくてスミレ君に聞いたら、心苦しそうに「ハトマン伯爵婦人です」と言われた。
どうやら、紅玉はハトマン婦人の事が苦手らしい。

妖精たちは、紅玉の事が好きらしく、色々と教えてくれる。そう、色々と。
ハトマン婦人は紅玉に対して当たりが強いらしくて、婦人が帰った後にこっそりと泣いているらしい。大きな目から大粒の涙を流して、小さな拳でぐいぐいしているのを想像して胸が張り裂けそうになる。

第三王子とはいえ、スペアの人間に対して変だな?とは思ったが、どうやら皇后に捨て置かれている状態を鑑みて馬鹿にしているようだ。(父王は言わずもがな)
スペア以外の価値はないとみなしているのがよく分かる。ヒスバァって実子可愛くないのかね。あの人はよく分からんな。

なんとかしてやりたいが、俺には何も力(権力)がない。
いつの間にか紅玉に対して肉親の情を持ってしまっている俺には非常に辛い現実だ。
そのうち俺は王族じゃなくなるしなぁ…何もしてあげられないって、こんなに辛いんだな。


「孔雀様、旦那様がお呼びです」
「はぁい」

執務室に行くと、セフィロスの他に変態がいた。

「はーい♡くぅちゃん!元気ぃ?」

扉を開けたら猫耳を頭に乗っけた変態オッサンがくねっと腰を入れて挨拶してきたもんだから、そのまま扉を閉めて背を向けて歩きだしたら焦った変態が「やだやだ!くぅちゃん!待って待って!」と追いかけて捕獲された。

「もう~。くぅちゃん冷たい!」
「いい加減、孔雀で遊ぶのはやめろ」
「せいちゃんまで冷たいっ!!」
「セフィ、どうしたの?」
「先日の魔力測定を俺立会いの元、もう一度やろうと思ってな」
「わかった!」

「ちょっとー!2人して無視しないでー!」と変態が叫んでいるが、こいつを挟むと話が長くなると判断し、2人ともガン無視する。
測定部屋に向かいがてら、判定石には故障等はなかった事を聞いた。…よろしくない予感がぷんぷんするぜ。

石に手を置くと魔力が吸い込まれるが、こないだのようなぐいぐい吸い込まれるような感じはない。あれはなんだったんだ?と思いながら石をボーっと見ていると、俺の後ろに妖精たちが写っているのが見えた。そうか。こないだのやつはこいつらだったのか。
きゃっきゃと楽しそうに飛び回っている。
妖精って、エネルギー体だよな?なのに物理(鏡)に写るもんなのか?
それにしても判定時間長くないか?

「やっぱり、ちょっと時間かかってるわね…」
「アカネ、孔雀が倒れた時のフォロー頼む」
「もちろんよ!任せといて!」

『きょうはだいじょうぶー!』
『もう、あたちたちみえるもんねー!』

妖精たちが話している内容はどういう事だ?奴らがいうには今日は大丈夫みたいだな。
俺の魔力を吸って、輝いていた石の光がふっと消えて、そこに現れたのは————

「おいおいおい。マジかよ」
「うそぉ…」
判定石は七色に輝いていた。



………
………………
……………………


「で?」

意味がわからなくて、首をかしげてしまう。
なんかよー分からん。レインボーやで、れいんぼーぅ。

「いや、お前、知らねぇのかよ…いや…そらそーか。まだ本格的に学んでもいないもんな」

それは言外に俺が捨て置かれた王子だという事を如実に表していた。
俺はそろそろ5才に差し掛かる年齢になっていて、様々な事を本格的に習いだすのはもうすぐなのではあるが、セフィロスの口ぶりだと、おそらくこのくらいは既に習っている事なのだろうと察せられた。
だけど、それに気づないふりをして「うん。しらなーい」と無邪気に答える。

「あのね、魔力を石に吸わせて色で属性と魔力量を測るのね」

変態が教えてくれた事によると、属性を色で表し、雪の結晶に似た星マークの数で魔力量を表している(この当たりが乙女ゲームっぽいよな)は星はマックスで5つ。
1-2が平民、3-4が王侯貴族。5はかなりレアもんで、過去に稀代の魔術師で5を出した者もいたが、それも300年くらい前の話らしい。
300年に1度…中途半端ぁ。どうせなら某女優のように1000年くらいならなんかカッコヨなのに。
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