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瑞慶覧姉弟と僕
後編
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ギャハハハハハハ!!!
ぶぅぅうっ!!
爆笑とともに、でかい放屁の音がした。
笑った瞬間にオナラが出たようだった。
あまりにもでかい音だったから、
近くにいた人たちを起こしてしまったようで、
おい、こいつオナラしたぞ!
くっせ~!
はぁ?なんだよ。ウケるんだけど!
起きた人たちがザワザワ騒ぎ始めた。
(た、助かった…)
さっきまでの張り詰めた雰囲気が霧散して、
明るい空気感に変わった。
どうやら、彼は寝っ屁をしたらしい。
みんなに蹴りを入れられてるのを見ながら
密かにひとり、彼に向かって合掌したよ。
その後はなにごともなく、無事朝が来て
朝練が始まった。
ボーッとする頭を抱えながら、ゆっくり一人でストレッチをしていると
昨日、例の話をした女子が近づいてきた。
「ねぇ、君。昨日みたでしょ?」
ニヤリと笑ってその子がそう言った。
「幽霊?うん。多分。どうして?」
「やっぱり。
君さ、無自覚だけどそういう才能あるよ。
あの時、君と私だけに見えてた子がいたんだ」
僕は、昨日あった事をその子に話した。
彼女は教室での話を少し驚きながら聞いていた。
「それ、同じ幽霊じゃないよ。別。」
「え?なんでそう思うの?」
「だって、君の後にその子と私ずっと話してたもの」
「えぇっ?!ゆ、幽霊と語ってたの?」
「そう。私も初めての体験だったわー」
どうやら、僕に怖い思いをさせた幽霊は別にいたようだ。
結局、何だったのかは分からずじまい。
でも、この合宿がきっかけでその女子と仲良くなって、
卒業するまで一緒に心霊スポットを巡るようになるんだけど、それはまた別の話。
「―というわけ。これでお終い」
「でぇーじ怖い!(超こわい)」
僕がオカルトに興味を持ったきっかけを、
目の前で涙目になっている女の子、瑞慶覧まやに話していた。
「まやちゃんさ、僕の体験なんか比じゃないくらい怖い体験してるじゃん」
「人の話しは怖いんだよー!でも、聞いてしまうってば!」
「ふーん…そんなもんか」
「なに話してるば~?」
まやちゃんの双子の弟、悠理がきた。
さっきまでのちょっと寒々しい空気感が霧散して逆に清々しい空気感に変わる。
「エネルギー体のオカルト体験話!」
「まーやー、いい加減メガネ君のことエネルギー体って呼ぶのやめろよ」
「ゆぅりーもメガネ君って呼んでるさぁ!」
「一応、物体さぁね~」
僕からしたらどっちもどっちだ。
この双子の姉弟は沖縄出身の同級生だ。
入学後しばらくして、姉のまやちゃんに話しかけられた。
入学式に見かけて以来、ずっと話したかった…
って言われた時はちょっとときめいた。
内容聞いてガックリしたのはナイショ。
僕のトキメキを返せ。
いや、勝手に誤解したのは僕だけど。
でも、彼らは僕のオカルト魂を存分に刺激してくれる存在だった。
以来、気が合ってつるんでいる。
「メガネ君、キミは自分の体質をちゃんと理解するべきだ」
「そうは言っても…」
「まーやーは受信機。メガネ君は増幅器。いつも言ってるさぁ。
ま、でも今は昼間だから全然マシだけどよー」
この姉弟に出会って初めて僕の体質を知った。
どうやら僕は「増幅器」というものらしい。
まやちゃんが僕に興味を持ったのも、この増幅器体質だ。
彼らの説明によると、僕は高純度の電池が搭載された増幅器だという。
この話を聞いた時、なんのこっちゃい?となった。
僕自身に“霊を見る能力”はない。
ただし、例外がある。
僕の近くに霊を見る能力を持つ“受信機”がいれば、見ることが可能になるのだ。
さらには、僕のこの増幅機能を使って受信機側の能力をブーストすることができる。
受信機側は、己のエネルギーを使わずに高純度エネルギーによる出力上昇と、
増幅器による出力上昇の相乗効果を得られるというわけだ。
そうすると、受信機の近くにいる人らみんなが幽霊を見ることができるってわけ。
僕の場合は、例の女子が受信機だったからあの時幽霊を見れた。
当時、僕とその子以外気づいてないと思っていたけど、
もしかしたら他の人も見てはいたのかもしれない。
それが幽霊だと思わなかっただけで。
ただ、多分だけど当時より僕の機能はアップしていると思う。
あの出来事以来、その子と心霊スポット巡りしてたわけだけど
僕と一緒に行くと幽霊を見る確率が高くなっていってる!て興奮してたから。
「あのさ。この能力って機能アップするのかな?
例えば、受信機と一緒に心霊スポット巡りしたのが原因で、とかさ」
「あぁ~。それはあるはずよ~。
個人差はあるけど、刺激を受け続けることで覚醒するからよ~」
「その受信機と相性良くて共鳴おこしてたのかもね」
なるほど。
「それに、メガネ君はあれだからよ。
エネルギーの源が底なしだからよ。
自分の貯金は使わずに、メガネ君の貯金を使い続ければ自分のは減らんさぁね。
しかも、メガネ君の貯金は無限だわけよ。どんだけ規格外なんだって話しだわけ」
「だからよね~。最初見たときはしにしかんださ~(超びっくりした)
なんもしてんのに、自分の力が増幅していくわけよ。
なにがあったわけ?と思って周りみたら、なんか変な~人がいるさぁね。
はっしぇ、これは話しかけんと!って思ったわけさ!」
変な人って…僕がおかしな人みたいじゃないか。
最初、まやちゃんに話しかけられた時、訛りはすごいけど
彫りが深くて目がパッチリしてて可愛い子だし、
ずっと話したくてとか言われたらさ、男ならチャンスだって思うでしょ?
お話ししませんか?って言われてほいほい後を着いていって、
さて、と話をしたら開口一番「君さ、何者?」だもんね。
そこに、悠理君も加わって色々話をしたんだ。
僕自身は、なんの自覚もないから色々言われても情報過多だった。
「なるほどね~。僕の無限の貯金を使うわけね。
それで増幅器ってわけか。言い得て妙だね。
最初に説明は受けたけど、理解不能だったんだよね。無自覚だからこそ」
「わったー達(僕ら)みたいな者にとっては、
メガネ君は冗談みたいなもんだからよ~」
「だっからよ!まやは自分のエネルギーを使うから、
本気で高出力で使ったら次の日使い物にならんってばー」
2人がジト目で僕を見る。
そんなこと言われても、僕にはどうしようもない。
「あ。チビ王子とその家来だ」
まやちゃんが僕の後ろをみて言った。
学食の入り口を見ると、先輩たちが入ってきたところだった。
「あの先輩、でーじ美形だよね~。ちっこいけど。
大体あの冴えない家来従えてるけど、どんな繋がりなんだろ?」
まやちゃん、けっこう失礼。
「まーやー、そんなこと言ったらダメだよ~。
人は見かけによらないって言うでしょ~」
悠理君も大概だよ。
「あれ?メガネ家来、あんなの連れてたっけ??」
まやちゃんが目を細めてメガネ先輩の方を見ている。
「なにが見えてるの?」
「待ってよ~。エネ君にも見せてあげるさぁね」
変に略さないでよ。
メガネ先輩のことを見ると、先輩に寄り添うように何かが浮いていた。
じっと見ていると段々と輪郭がハッキリしてきた。
(着物??)
その人物は白い着物を着ていて、白銀の長い髪の毛を後ろでひとつに結わえていた。
いや…人じゃない。何かが重なって見える。
「へび…」
悠理君が呟いた。
そう。その人物に蛇が重なって見えたんだ。
「あれ、なに?」
悠理君に聞くと
「分からん。分からんけど、なんか…。
あれ、なんだ?幽霊でも物の怪でもない感じがする」
「うげぇぇぇ~!蛇ぃ!無理むりムリ!鳥肌立つ!」
「まーやー、声でかい。」
うん。先輩たちに聞こえちゃうよ。
「あ…」
その何者かが僕を見た。
なんだろ。すごく不思議な感覚。
幽霊を見た時特有のぞくぞくが一切ない。
次の瞬間、その何者かがメガネ先輩の影に隠れた。
先輩の体越しにこちらをチラチラ見てくる。
「え…なにあれ。しに可愛くない?(超可愛くない?)」
「なんか、照れてるっぽいよな。なんだあれ」
まるで、小さい子供が照れてお母さんの影に隠れて、気になる人を見てる仕草。
やば…これ、この感覚…
「萌え」
悠理君が呟いた。
ぶぅぅうっ!!
爆笑とともに、でかい放屁の音がした。
笑った瞬間にオナラが出たようだった。
あまりにもでかい音だったから、
近くにいた人たちを起こしてしまったようで、
おい、こいつオナラしたぞ!
くっせ~!
はぁ?なんだよ。ウケるんだけど!
起きた人たちがザワザワ騒ぎ始めた。
(た、助かった…)
さっきまでの張り詰めた雰囲気が霧散して、
明るい空気感に変わった。
どうやら、彼は寝っ屁をしたらしい。
みんなに蹴りを入れられてるのを見ながら
密かにひとり、彼に向かって合掌したよ。
その後はなにごともなく、無事朝が来て
朝練が始まった。
ボーッとする頭を抱えながら、ゆっくり一人でストレッチをしていると
昨日、例の話をした女子が近づいてきた。
「ねぇ、君。昨日みたでしょ?」
ニヤリと笑ってその子がそう言った。
「幽霊?うん。多分。どうして?」
「やっぱり。
君さ、無自覚だけどそういう才能あるよ。
あの時、君と私だけに見えてた子がいたんだ」
僕は、昨日あった事をその子に話した。
彼女は教室での話を少し驚きながら聞いていた。
「それ、同じ幽霊じゃないよ。別。」
「え?なんでそう思うの?」
「だって、君の後にその子と私ずっと話してたもの」
「えぇっ?!ゆ、幽霊と語ってたの?」
「そう。私も初めての体験だったわー」
どうやら、僕に怖い思いをさせた幽霊は別にいたようだ。
結局、何だったのかは分からずじまい。
でも、この合宿がきっかけでその女子と仲良くなって、
卒業するまで一緒に心霊スポットを巡るようになるんだけど、それはまた別の話。
「―というわけ。これでお終い」
「でぇーじ怖い!(超こわい)」
僕がオカルトに興味を持ったきっかけを、
目の前で涙目になっている女の子、瑞慶覧まやに話していた。
「まやちゃんさ、僕の体験なんか比じゃないくらい怖い体験してるじゃん」
「人の話しは怖いんだよー!でも、聞いてしまうってば!」
「ふーん…そんなもんか」
「なに話してるば~?」
まやちゃんの双子の弟、悠理がきた。
さっきまでのちょっと寒々しい空気感が霧散して逆に清々しい空気感に変わる。
「エネルギー体のオカルト体験話!」
「まーやー、いい加減メガネ君のことエネルギー体って呼ぶのやめろよ」
「ゆぅりーもメガネ君って呼んでるさぁ!」
「一応、物体さぁね~」
僕からしたらどっちもどっちだ。
この双子の姉弟は沖縄出身の同級生だ。
入学後しばらくして、姉のまやちゃんに話しかけられた。
入学式に見かけて以来、ずっと話したかった…
って言われた時はちょっとときめいた。
内容聞いてガックリしたのはナイショ。
僕のトキメキを返せ。
いや、勝手に誤解したのは僕だけど。
でも、彼らは僕のオカルト魂を存分に刺激してくれる存在だった。
以来、気が合ってつるんでいる。
「メガネ君、キミは自分の体質をちゃんと理解するべきだ」
「そうは言っても…」
「まーやーは受信機。メガネ君は増幅器。いつも言ってるさぁ。
ま、でも今は昼間だから全然マシだけどよー」
この姉弟に出会って初めて僕の体質を知った。
どうやら僕は「増幅器」というものらしい。
まやちゃんが僕に興味を持ったのも、この増幅器体質だ。
彼らの説明によると、僕は高純度の電池が搭載された増幅器だという。
この話を聞いた時、なんのこっちゃい?となった。
僕自身に“霊を見る能力”はない。
ただし、例外がある。
僕の近くに霊を見る能力を持つ“受信機”がいれば、見ることが可能になるのだ。
さらには、僕のこの増幅機能を使って受信機側の能力をブーストすることができる。
受信機側は、己のエネルギーを使わずに高純度エネルギーによる出力上昇と、
増幅器による出力上昇の相乗効果を得られるというわけだ。
そうすると、受信機の近くにいる人らみんなが幽霊を見ることができるってわけ。
僕の場合は、例の女子が受信機だったからあの時幽霊を見れた。
当時、僕とその子以外気づいてないと思っていたけど、
もしかしたら他の人も見てはいたのかもしれない。
それが幽霊だと思わなかっただけで。
ただ、多分だけど当時より僕の機能はアップしていると思う。
あの出来事以来、その子と心霊スポット巡りしてたわけだけど
僕と一緒に行くと幽霊を見る確率が高くなっていってる!て興奮してたから。
「あのさ。この能力って機能アップするのかな?
例えば、受信機と一緒に心霊スポット巡りしたのが原因で、とかさ」
「あぁ~。それはあるはずよ~。
個人差はあるけど、刺激を受け続けることで覚醒するからよ~」
「その受信機と相性良くて共鳴おこしてたのかもね」
なるほど。
「それに、メガネ君はあれだからよ。
エネルギーの源が底なしだからよ。
自分の貯金は使わずに、メガネ君の貯金を使い続ければ自分のは減らんさぁね。
しかも、メガネ君の貯金は無限だわけよ。どんだけ規格外なんだって話しだわけ」
「だからよね~。最初見たときはしにしかんださ~(超びっくりした)
なんもしてんのに、自分の力が増幅していくわけよ。
なにがあったわけ?と思って周りみたら、なんか変な~人がいるさぁね。
はっしぇ、これは話しかけんと!って思ったわけさ!」
変な人って…僕がおかしな人みたいじゃないか。
最初、まやちゃんに話しかけられた時、訛りはすごいけど
彫りが深くて目がパッチリしてて可愛い子だし、
ずっと話したくてとか言われたらさ、男ならチャンスだって思うでしょ?
お話ししませんか?って言われてほいほい後を着いていって、
さて、と話をしたら開口一番「君さ、何者?」だもんね。
そこに、悠理君も加わって色々話をしたんだ。
僕自身は、なんの自覚もないから色々言われても情報過多だった。
「なるほどね~。僕の無限の貯金を使うわけね。
それで増幅器ってわけか。言い得て妙だね。
最初に説明は受けたけど、理解不能だったんだよね。無自覚だからこそ」
「わったー達(僕ら)みたいな者にとっては、
メガネ君は冗談みたいなもんだからよ~」
「だっからよ!まやは自分のエネルギーを使うから、
本気で高出力で使ったら次の日使い物にならんってばー」
2人がジト目で僕を見る。
そんなこと言われても、僕にはどうしようもない。
「あ。チビ王子とその家来だ」
まやちゃんが僕の後ろをみて言った。
学食の入り口を見ると、先輩たちが入ってきたところだった。
「あの先輩、でーじ美形だよね~。ちっこいけど。
大体あの冴えない家来従えてるけど、どんな繋がりなんだろ?」
まやちゃん、けっこう失礼。
「まーやー、そんなこと言ったらダメだよ~。
人は見かけによらないって言うでしょ~」
悠理君も大概だよ。
「あれ?メガネ家来、あんなの連れてたっけ??」
まやちゃんが目を細めてメガネ先輩の方を見ている。
「なにが見えてるの?」
「待ってよ~。エネ君にも見せてあげるさぁね」
変に略さないでよ。
メガネ先輩のことを見ると、先輩に寄り添うように何かが浮いていた。
じっと見ていると段々と輪郭がハッキリしてきた。
(着物??)
その人物は白い着物を着ていて、白銀の長い髪の毛を後ろでひとつに結わえていた。
いや…人じゃない。何かが重なって見える。
「へび…」
悠理君が呟いた。
そう。その人物に蛇が重なって見えたんだ。
「あれ、なに?」
悠理君に聞くと
「分からん。分からんけど、なんか…。
あれ、なんだ?幽霊でも物の怪でもない感じがする」
「うげぇぇぇ~!蛇ぃ!無理むりムリ!鳥肌立つ!」
「まーやー、声でかい。」
うん。先輩たちに聞こえちゃうよ。
「あ…」
その何者かが僕を見た。
なんだろ。すごく不思議な感覚。
幽霊を見た時特有のぞくぞくが一切ない。
次の瞬間、その何者かがメガネ先輩の影に隠れた。
先輩の体越しにこちらをチラチラ見てくる。
「え…なにあれ。しに可愛くない?(超可愛くない?)」
「なんか、照れてるっぽいよな。なんだあれ」
まるで、小さい子供が照れてお母さんの影に隠れて、気になる人を見てる仕草。
やば…これ、この感覚…
「萌え」
悠理君が呟いた。
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