樹くんの甘い受難の日々

琉海

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第二章

98.IFオメガバース編(番外編⑦)

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それから俺らはひたすらにしまくった。
お互いのフェロモンに煽り煽られ、貪りあう。
まさに狂乱の日々……3日目以降から少しずつ我に返る時間が増えてきて、
その度に俺は羞恥に身を焦がし、時々隠れたりもした。
………まぁ、フェロモン垂れ流しなんですぐに見つかるわけだが。

エッチの最中になるべく水分を取るように気を配ってくれた3人に
く、口移しで飲まされたりした―――俺も途中で強請ったりした。
穴があったら、いや、掘ってでも入って1年は出てきたくない。

そんな7日間を過ごし、完全に正気を取り戻した俺がした事は――――――


「すまんっっっっ!!!!!!!!」


3人に土下座をする事だった。
だってよ、俺のヒートにつられてラット起こしたのは一目瞭然で。
フェロモンで誘わないように気を付けるって言ったそばからの醜態だ。
3人の気持ちによっては親友の座を辞する覚悟を腹に決めた。

「俺、俺の認識が甘かったんだ。
これまでベータだったからってのは言い訳でしかない。
ちゃんと、先生にもあきちゃんにも注意されていたのに、
まだ変異したばっかりで不安定な体で軽々しくアルファのお前らと
ひとつ屋根の下で寝泊まりするなんてすべきじゃなかった。
謝っても簡単に許される事じゃないのは分かってる。
だけど、謝らせてくれ…いや、ください。
本当にごめんなさい」

途中「樹!話を聞いて!」って3人が言ってるのも聞こえたけど
今は謝る事が先決だと思ったから一気に伝えた。
居たたまれなさと申し訳なさ、情けなさがあいまって体が震えるのを止める事が出来ない。
そんなの、あざとすぎて見せたくないのに意思ではどうしても止められない。
色んな感情が相まって泣きたくなくても涙が出てきて止まらない。
泣くのは卑怯だって分かってても、止まらない!
ついでに鼻水も止まらない!!!

「―――はぁ、樹。顔上げて?ね?」

雅樹のため息に体がびくっと跳ねてしまった。

「おら、素っ裸でいたら体冷えんだろうが。こい」
「勝……ごめんなさい」
「ぶはっ!ぶっさいくな顔だな!
涙と鼻水で顔がぐっちゃぐちゃじゃねぇか。ほら、鼻かめ」
「ふぐぅ」

勝に抱き起され、膝の上に乗せられた挙句、
ティッシュで鼻を抑えられて、反射的に子供みたいにチーン!とやってしまう。
その間に、雅樹にホットタオルを用意するようにお願いしていた。
ハッ!しまった!俺、まだ謝ってる最中なのに、面倒みさせてしまった!
わたわたと勝の膝の上から降りようとするとぎゅっと拘束された。

「降りるな。降りなくていい。樹、俺らの話聞いてくれ」
「―――あい」

目の奥が痛くなってまた涙がじわりと出てくる。
卑怯だと思ってもどうしても涙を止める事ができない。
せめてと俯くことで泣き顔を隠したけど、ぐいと顔を上げられてしまった。

「樹、順番はおかしくなったけどさ。
俺はお前が好きだ。番になりたい。俺と付き合ってくれ。
ちなみに返事は、はいかイエスしか受け付けないからな」
「―――は?」
「あーーーー!暁!おっまえ抜け駆け!」
「勝っ!俺にホットタオル頼んだ隙にっっ!!!」

頭が混乱している間に、今度は雅樹の膝の上に抱き上げられて、
用意してきてくれたホットタオルで優しく顔をぬぐわれた。

「うぐ、ふばぁ!ま、ましゃ…むぐぅ」
「ふふ、ふ。可愛い。はい、さっぱりした?」
「うん。ありがとう」
「どういたしまして。ん、いつもの可愛い樹の顔だね。
さて、俺の話も聞いてくれる?俺もね、樹が大好きなんだよ。
心から愛してる。番になって欲しい」
「―――へ?」
「はい、そこまでーーー。樹ちゃん、こっちにおいで」
「うわっ!」

今度は志木の膝の上に乗せられてしまった。
なんだなんだ、これはどういう状態?

「樹ちゃん、俺も樹ちゃんが好き。すげぇ好き。
マジで愛してる。俺と番になって欲しい」
「ふぁっ?!」
「だからって言ったらおかしいんだけどさ、
俺ら3人樹ちゃんとセックス出来てマジで嬉しいんだ。
ずっと、ずっと樹ちゃんを抱きたかったから。
樹ちゃんが正気じゃないところに付け込んでセックスに持ち込んだのは俺らの方。
だから、謝るのは俺らなんだよ。樹ちゃんじゃない」
「違う!それは違うよ、俺が、オメガになったばかりで
フェロモンが不安定なのにお前らと一緒の空間に来てヒート起こしたから……
先生にも落ち着くまではアルファとは長時間いるなって言われたのに。
ベータの時期が長すぎて正直、舐めてた。ごめんなさい」
「樹ちゃん………」

3人に告白されて頭が混乱しているけど、この事実だけは譲れない。
俺が悪いんだ。

「樹………じゃあさ、おあいこって事にしよう?
きっと、俺らはお互いの非を譲らないと思うからさ。
俺らは樹が自分をずっと責め続ける樹を見るのは辛いよ。
あ!そう見せてしまってごめんって謝るのはなしね!
そんなことより――――――俺らの告白への返事は?」
「うっ………!」
「お願い、樹ちゃんの傍に居続ける権利を俺にくれねぇか?」
「うぅ……」
「樹、俺の気持ちにこたえてくれ、頼む!本気で好きなんだ」
「俺も。樹を愛してる。お願い、俺と番になって?」
「「「樹(ちゃん)お願い、選んで欲しい」」」
「うぅぅ………!」

変異のショック、初めてのヒート、初めてのセックス(しかも3P)
初めての告白―――をすっ飛ばしてのプロポーズに俺のキャパは完全に崩壊して
白目を剥いて失神してしまった(らしい)。
目が覚めたら体は綺麗になってて、ほわほわの毛布に包まれて
リビングにあるでかいソファーで寝かされていた。

ほこほこの温もりと肌触りの良さにうっとりとしてしまう。
寝起きのぽやぽやの頭でリビングを見ると3人がわいわいと飯を作っていて、
その光景を見ていたら多幸感で胸がきゅーってなって苦しくなった。

これまでも何度も見てきた光景だった。
雅樹の家にお泊りして、3人でバカ騒ぎして俺が遊び疲れると
必ずこのソファーに寝かされていた。
夏は暑くないように扇風機を俺が独占してて、
タオルケットが腹の上にかけられていて、
冬は寒くないように俺のお気に入りのこのほわほわの毛布に包んでくれていた。
そうやって寝ている側で奴らは思い思いに過ごしていたり、
飯を作ってくれていた。

何度も、何度も見てきた光景。
俺は、これまでも無自覚に奴らの愛情をもらっていた。
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