樹くんの甘い受難の日々

生梅

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第二章

76.楽になっちゃお♡

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「ね、欲しい?欲しいって素直に言ったらあげるよ?」
「ふぅっ…んっ。誰…が…っ!」
「も~。素直じゃないんだから。ここはこんなに吸い付いてるのにぃ」

変態、もとい、牧が俺をいたぶって楽しんでいる。さっきからケツの入口にちんこを押し当てては、中に入れずにじらしている。
入れて欲しいという狂おしい欲望と、嫌だという嫌悪感がせめぎ合って頭がおかしくなりそうだ。
ぷちゅっ、と押し付けてぐぐっと亀頭を軽く入れるだけで、期待で体が震えてしまう。気を抜くと自分で入れてしまうか、入れてと叫んでしまいそうだった。
朦朧とする頭で他の奴らを見ると、山瀬が自分のを乱暴に扱いていた。
あー…いいなぁ。気持ちよさそう…と思ってしまう。

「あーぁ。こんなに涎たらしちゃってぇ。もう、楽になっちゃいなってば。長引かせるだけ苦しむよ?薬はまだ効き目切れないし?」
「うるさい…てか、お前らも大変だ…な」
「ん?何が?」
「その、姫って奴のお願いでこんな事してんだろ?…あぅ!んっ!」
「まぁね~。我らが姫は人使いが荒くって」
「俺なんかとやるなんて有り得ないみたいな事、言ってたじゃん…だけど、命令?お願い?だから仕方なくなってんだろ?大変だな…」
「あははは!確かにね。だけど、俺はそーでもないかなぁ。君、結構好みだし。多分、体の相性も最高にいいし。だからさ、もう入れてい?いいよね?ここまでほぐしたんだからすんなり入るし、きっと、頭おかしくなるくらい気持ちいいよ?」
「やだ!やだやだやだ!」
「…思ったより、貞操観念しっかりしてんだねぇ。なら、なおさら、俺らとやっちゃったら苦しむね?さいっこー」

ぞわりと背筋が凍った。最高と言った牧の口調が甘ったるく、恍惚とした表情になったからだ。こいつ、やばい。マジで変態。最悪だ。
ズズズ…と奴のちんこが進入してきた。ふと、鼻先をどこかで嗅いだような香りが漂った。

「な、なぁ!なんでこんな事するんだよ!お前らだって望んでない事なんだろ?」
「…姫がそれをお望みだからな」

慌てて他の奴の顔を見て言うと、眉間に皺を寄せた椎名が答えて絶句した。ダメだ。こいつら話になんない。

「なんで姫がそんな事を望むんだよ。てか姫って誰?」
「それはねーっ。君が姫の王子様の恋人だからだよーっ」
「牧っ!!!!」
「えー。だって、本当の事じゃーん。君が邪魔なんだってさ。だから、俺らとイイコトしてズタズタにした挙句に、手を引けって脅したいらしいよ?愚かで可愛いよねぇ」
「な、なんでそんな事が脅しになるんだ?」
「動画撮るから?」
「えっ!?」
「気づいてなかった?俺らのセックスね、動画に撮ってるんだよぉ」

慌てて周りを見ると、いつの間にか三脚にカメラが据えられていた。

「そ、そんな事したらお前らも顔映るだろ…」
「編集すればいいじゃん」
「お、お前らの名前叫び続けてやるからな!!!!」
「あ、案外頭いいね~。でもさ、無声にすればいいんだよ。てか薬で頭ぶっ飛んだら喘ぎしか出なくなるけどね」

ここにきて、初めて心底やばいと思った。まさかそこまで残忍な事をすると思ってなかったからだ。

「…なんでここまでされなきゃいけないんだよ。頭おかしいよ。お前らもその姫ってやつも」
「ホントにね。俺は頭おかしい自覚あるけどね。こいつらは自覚ないからね。後で後悔するかもね」
「?」

こいつってよく分からねぇ。ただ単に命令で犯すわけじゃないのか?今の愚かな行為をちゃんと自覚した上でリスクも当然覚悟した上でやってんの?

「お前、本当に頭おかしいだろ。そこまで分かっててなんで?」
「面白いから?」
「さいってー」
「知ってる。さて、お喋りはもういいよね。俺、もう限界」
「やっ!あぁぁ!」


ダーンダーンダーンダンダダーンダンダダーン♪


場違いな着信が倉庫内に響いた。

「え?なに?」

全員が音の発信源をキョロキョロしながら探す。

「雅樹…!」

この着信音は雅樹だ。主人公をダークサイドに誘惑する存在が雅樹っぽいとかいって勝がふざけて勝手に設定したやつ。呼び出しは切れずに鳴り続けて、その場を支配していた淫靡な空気がはじけ飛んだ。

「ここか?」

倉庫の端に積まれているマットの裏に隠すように転がっていた俺のスマホを見つけた椎名が慌てて切る。が、またすぐに鳴り出したが、今度は冷静に電源を落とした。

「もー。ちょっと萎えちゃったよー」
「うるっせ!抜け!ばか!!」
「うわ!…ちょっ!」

激しく身をよじって半分ほど入っていた牧のちんこを引き抜いた。

「もう、こんなバカな事やめろよ!お前もさっさとそれ仕舞え!バカ!姫の事が好きならこんなバカな事してないで真剣に口説けよ!」
「えー。やだー。姫の命令とかどうでもいいから君としたい」
「うるせぇな!もうっ!」

そう怒鳴った時、倉庫の扉がガン!と鳴った。誰かが開けようとしたが鍵がかかっていて開かない。

「樹!!そこにいるんだろ?」
「…大我?たいがぁぁ!!!!!!」
「あ!ばか!叫ばないでっ」
「たいがーーーーー!助けてーーー!変態に犯されるーーーー!!!!」
「あーっ!もう!」

牧が慌てて口を手のひらで覆ったけど、外にいた大我には俺の絶叫が聞こえていたらしく、扉を叩く音が激しくなった。

「待ってろ!すぐに出してやるから!———おい、中にいる奴、逃げられると思うなよ。すぐに他の風紀委員も来るからな。これ以上、バカな事はするんじゃねぇ」

(大我!大我っ!!!!)

「もがぁ”!もががっ!!」
「あーぁ。つまんないの。ね、奥まで一突きだけしていい?」
「ももがぁ!!(アホかぁ!)」
「ダメかぁ。だよねぇ」

他の奴らは騒然として青ざめているのに、牧だけ通常運行だ。それどころか最後まで埋めていいかと平然と聞いてくる。こいつ、絶対に狂ってる。

「体から始まる関係もありかなぁって思ったのにな。ざーんねん」
「お前、絶対頭おかしいって」
「うん。自覚あり」

やっと牧が口から手を離した。喚いたせいで手のひらについた俺の唾液を俺を見つめながらべろりと舐めた。

「———!へ、変態…」
「うん。自覚あり」

外が騒がしくなって、ガチャガチャと開錠する音がして扉が開いて人がなだれ込んできた。

「樹!!」
「大我ぁぁ!!!」

俺を見つけた大我が真っすぐに走ってきたけど、俺の恰好を見て動揺して止まった。その後、俺の上にいる牧をギリッと睨んだ。視線で人を殺せるなら、牧は即死してるって思うくらい怖かった。

「こっわぁ。まさかの隠れナイト君」
「…?」

せりふに違和感を感じて牧を見ると、目が合って困ったように笑った。

「残念。でも、きっと、いつか最後までしようね?」
「しねぇよ!ばか!!!」
「あはは。でも、俺は諦めないから。こんなに滾ったのは初めて」
「うっとりすんなよ!キモイ!」
「そういう所も可愛い」
「うるさいぞ、牧。さっさと行け」
「はぁーい。いたっ!獅子尾!素直に従うから乱暴にしないでよ」
「うるさいっ!お前らは犯罪者だ!乱暴もくそもねぇ」
「もーっ。怖いなぁ。じゃあまた会おうね、お姫様」
「会わねぇし、お前の姫様は別にいるだろ」
「推し変え?」
「うるっせぇ!さっさといけ!」
「かーわいー♡」

他の奴らは青ざめているってのに、牧は最初から最後まで飄々としたまま去っていった。
正直、怖かったしあいつらを許す気はさらっさらないけど、牧のおかげでトラウマにならずに済むような気がした。牧がいなかったら、俺はこんな軽口すら叩けてなかった気がするから。そのくらい、椎名たちの嫌悪とやっつけ感はすごかった。

「樹、遅くなってすまんかった…」
「いいよ。大我、助けに来てくれて本当にありがとう。なんとか未遂…いやこれ未遂か?まぁ、まわされなくて済んだよ…なんで大我が苦しそうなんだよ」

脱いだ上着で俺をくるんで抱きしめてくれる大我の顔がすげぇ苦しそうで、思わずふふっと笑ってしまった。
まぁ、親交を深める為に行うイベントの打合せで起きた事件で、犯人が自分らの学校の生徒ってのは堪えるよな。

「確かにさ、ひでぇ事件だけどさ、大我が来てくれたから最悪にはならなかったんだよ。だからあんまり自分を責めるなよ」

ググっと深く刻まれた眉間の皺を指でグリグリしながら言ってやった。
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