樹くんの甘い受難の日々

琉海

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第二章

68.親睦学祭

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「そういや、志木ってもう志望大決めてんのか?」

体に巻き付いた勝の腕を剥がしながら向かい側に座る志木に質問した。
昨日シたけど「まだまだ樹がたりねぇ!」とか言いながら勝は今朝から俺にべったりだ。
嬉しいけど、さすがに暑苦しい。トイレまで着いてくんなし。連れションとかねーわ。しかも、こいつ俺が用を足してると便器を覗き込むんだぜ(もちろん小だ)変態か。

「そうだな…ある程度は。緑桜大あたりが本命かな」
「ま、まじかぁ。。お前、すげぇな。あー…塾でも追い込みがすごかったもんな」

俺が目指している聖学も難易度が高いが、緑桜はそれよりもう少し難易度が高い。志木は今やSクラスだ。こいつ、マジで頭いいな。地頭もいいし、元々勉強の基礎が出来ていたんだろう。じゃなきゃこの快進撃は無理だ。

「学歴が全てじゃねーけど、あっても困らんしな。未来への選択肢は多い方が俺はいいからな」
「か、かっけぇ…」
「そういう樹ちゃんは?」
「お、俺…聖学頑張ってみようかと思ってる」
「そうか!それだってすげぇじゃん。樹ちゃんなら大丈夫だ。それに聖学も視野に入れてるぜ」
「あ、ありがと。でも、今のままじゃぜーんぜんダメだからさ、2人に特訓されてる。こいつらは推薦枠狙ってっし、多分大丈夫だからさ。そっか!志木も聖学考えてんだな!」
「は?3人とも聖学か?」
「う、うん…同じ大学に行こうって誘ってくれてさ。それに、カリキュラム内容も俺にあったものが多いなって思ったしな。せっかくだから頑張ってみようかなって」
「ふぅーん…そ。まー、両校位置的にそんなに離れてねーしな。ちょっとだけ面白くねーけど、聖学も受ける予定だしもしかしたら俺も一緒になるかもしれねぇしなー」
「う、うん。そうだな」
「なに?その微妙な反応。俺と一緒じゃやなの?」
「ないないない!!んな訳ない!出来れば皆一緒がいいに決まってる!ただ、大学はそうやって決めるもんじゃねーしな。自分にとって良い選択が一番だ。それに———あと1年半くらいだけど、今は一緒にいれるし…そんな時間を過ごせるだけでも嬉しいから」
「た、樹ちゃん…やめて。そんな可愛い顔で可愛い事いうのマジでやめて。俺の理性試してる?」
「は?はぁ?なに言ってんだよ!!意味わかんねーし」
「樹、お前すっげぇ可愛い顔してたぞ。それこそ惚れた男をうっとり見つめる目だ。ちょっと妬けたぞ」
「勝までなに言ってんだよ!」
「あー…セックスしてぇ。足りねぇ」
「バ!バカ!そんな事こんな所で言うなよ!バカ!だから勝はバカなんだっ!!」
「動揺しすぎてて何いってんだか分からんけど、可愛い。好き」

あーーーーーもーーーーー!こいつってば何言っちゃってんだよ!教室で皆いるってのに!!!聞こえちゃうだろうがっっ!!!…今さらな気はちょっとだけしてるけど。
樹充電とか言いながら、俺が座っていた椅子に自分が座って俺を勝の膝に乗せて後ろから抱き着かれている。時折、項とかに鼻を突っ込んでクンクン嗅ぐのはやめて欲しい。
吐息がくすぐったいし、ちょっとだけ感じてしまうから。

「あ!バカ!噛むなよっっ!!」
「甘噛みじゃーん。……感じた?」
「バカバカバカバカ!バカ勝っっ!!」
「かんわいー♡」
「おい、お前らいちゃつくのも大概にしろよ」
「やだぁ!志木ってば嫉妬?ジェラってるぅ?」
「勝、お前のしなキモイやめろ」

勝が体をくねくねさせて口許に両こぶしを当てていて地獄絵図だ。

「暁…」
「うそ!うそうそうそ!ごめんなさい!ぎゃぁぁああ!いてぇ!」

イラッとした志木にアイアンクロウでギリギリと圧迫させられてもんどりうっている。
バカめ。いい気味だ。

「樹ちゃんも。あんまり俺の前でイチャイチャしないでね?でないと嫉妬から教室でチューしちゃうかも?」
「あい……」

冷え冷えとした笑顔で微笑まれて背筋に汗がたれた。俺は被害者なのに!解せぬ。

「何やってんだ?お前ら…」

担任の棚田先生に呼び出されて職員室から戻ってきた雅樹が呆れ顔で言った。

「雅樹おかえり~。たなっちなんだって?」
「あー…ちょっとめんどっちぃお願い」
「雅樹にか?」
「なんでも、聖上学院サマとの親睦会を兼ねた学際を両校で行うんだと。で、俺の幼馴染がそこの実行委員会の委員長をするらしくってな。そいつのご指名だ」
「マジ?!なんでまた聖上学院と?」
「向こうは由緒正しきお坊ちゃん学校だけど、ちょっとテコ入れしたいらしくてな。毛色の違う優秀な生徒を引き入れたいんだとさ」
「えぇ?学際で?それがどう繋がるんだ?」
「うちの学際は一般もウェルカムで開かれてるけど、聖上学院は違う。関係者各位だけなんだよ。今のままでも悪くはないがやはり同じような学生ばかりってのは学生側からしたら面白味がないだろ。只でさえお坊ちゃん学校で敷居が高い上に閉鎖的だから情報も少ない。年々外部生の入学率が減ってるらしい。就任したばかりの新しい理事長がけっこう冒険好きで、テコ入れを色々行ってるらしいぜ。その分、OBや保護者からの当りも強いらしいが、どうせやるなら徹底的にという信条の持ち主らしい。怖いもの知らずっていうかなんていうか…」
「へぇー。そうなんか。確かに聖上って閉鎖的で全然情報ねぇよなー」
「そ。うちは逆で開かれてるし一般からの人気も高い。年々倍率上がってるの知ってた?」
「いーや。全然」

俺が首をふってきっぱり言うと雅樹たちに「だろうな」と笑われた。その通りとはいえ面白くない。

「ま、そんなわけで向こうとしては人気取りをしたいわけだよ。そこで、知名度と人気があり、かつコラボしても品位を損なわない我々鳳凰に白羽の矢が立ったってわけ」
「ほえ~。マジか。鳳凰やるじゃん」
「今更かよ」
「まぁ、色々と大変だろうけど頑張ってな!」

そう言うと、俺を見た正樹がにやりと笑って嫌な予感に背筋が凍った。

「安心しろ。お前らも実行委員に推薦しといた」
「「「はぁぁ?!」」」
「勝、お前も推薦狙いだろ?点数は稼げるだけ稼いでも損はないぜ?志木だって編入したばかりだからこそ、学校の行事に携わって色んな人脈を作っておいた方がいい」
「え。俺とくにうまみないじゃんか!」
「樹は俺の癒し担当。委員長補佐にしてあげるね」
「んな役職いらねーーーーーーー!!!!!」
「決定事項だから」

鬼畜野郎!!!



☆後書き☆
過去にチロっとだけ出てきた名称が再び。
あの人の登場です笑
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