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第一章
55.全部欲しい
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「はぁ。なるほど。雅樹先輩は肉欲に溺れてるんですね、きっと。———なら、私にも可能性はありますね!誘惑しちゃえばいいんだ!
最近、雅樹先輩が誰ともエッチしてないって言ってたけど、まさか先輩が原因だったとはねぇ…。そんなに具合?がいいんです?」
「知らねぇよっっっっ!!!!」
「肉欲ならば、きっと女子に軍配が上がりますね!」
うんうんと頷いている。
「てなわけで、ライバル宣言します!!!!」
「えぇぇ?!」
「別に、恋人同士じゃないんですよね?じゃあ、止める権利はないですよね?」
「う、うん」
「今までは控え目にアピールしてましたけど、これからはガンッガン行きますから!」
「う、うん」
「邪魔しないでくださいね!」
じゃ!と言って、さゆりちゃんが爽やかに去っていった。
前にヤリ部屋で服脱いで雅樹をセックス誘ったんだよな?……控え目とは。
「勝、おまたせ」
「おう。なんの話だったんだ?」
「あーっと…」
「どうせ雅樹だろ?お前が告られたとかじゃないならいい。告られたとかだったら全力で阻止するけどな」
「いやいやいやいや!それはない」
勝はじぃっと俺を見て、次の瞬間には校舎の影まで腕を引っ張っていった。
「勝…?」
向かい合った勝の顔を覗き込むと、キスをされた。
「な!ななな!」
「ん?樹が可愛いからしたくなった」
「お、お前ここそと…んむ」
頭と背中に手を回されて拘束された状態で、深いキスをされた。官能を誘うように、ねっとりと口の中を蹂躙される。弱い上顎を舌先でくすぐられて、舌の根元から優しく吸われ、俺の唾液が持っていかれて、コクリと勝の喉が鳴った後に勝から唾液を流し込まれた。
俺、それ弱いのに————
唾液を流し込まれるキスをすると、下半身に血がかぁっと集まって、体の奥が疼くようになってしまった。
カリカリと爪先で乳首を引っかかれてびくりと腰が震える。
「やぁ…」
「可愛いな。顔がとろっとろ。昨日もしたけど今日もしてぇな」
「んんっ。あぁ…」
乳首を指先でクニクニされて、下半身に火がともる。
俺も、したい。勝のちんこで奥を暴いていっぱい突いて欲しい。もじもじと膝をすり合わせてしまう。
「樹、好きだ」
勝に見つめられながら言われて照れてしまう。
「今日も、しようか」
「う、ん」
今の俺にはしないなんて選択は存在しない。
この日も2人に隅々までいただかれた。
◇◇◇◇◇◇
家に帰って、改めて考えた。
俺は、2人をどう思っているんだろうって。
正直、このぬるま湯で曖昧な関係のままが都合が良かった。この関係に意味を持たせるともう戻れない気がしたからだ。
どこに戻るのかって?今までと変わらない日常だ。
それは2人とセックスした時点で変わってると言われたらそれまでだけど。
だけど2人は違った。俺を親友から恋人にしたいと言われた。本当はどっかで「親友同士の距離じゃない」って事には気が付いていたけど、全力で見ないふりをしていた。
でも、2人はむちゃくちゃモテる。勝なんて彼女がいるのに(別れたけど)それでもモテてた。雅樹も公のヤリチンのくせにモテモテだ。
親友だと2人に誰かがアプローチしても不快を口には出せない。
恋人だから「心配だ、不安だ」と言える。
そこで、俺は実に具体的に想像してみた。
2人が俺にするように他の誰かを愛している姿を。
「いやだーーーー!!!!」
思わず頭を抱えた。あまりにも詳細に、具体的に想像しすぎて涙まで出てきた。
胸が痛くて掻きむしりたい。これが嫉妬ってやつか!
あいつらが愛情を持って触れるのは俺だけにして欲しい。
キスも、セックスも、束縛も、全部俺だけにして欲しい。
あんなに可愛いさゆりちゃんがグイグイ迫ったら、雅樹だってぐらっとくるかもしれない。俺みたいに返事を待たせてなおグズグズとしているような面倒くさいやつよりも、好意を前面に出して体当たりでアピールしてくるような子の方がいいだろう。
俺だってそっちの方がいい。
そうか。俺、あいつらに惚れてんだ。
ふと、そう思ったらすとんと納得できた。
うん。俺はあいつらが恋愛的な意味で好きだ。
思い返すと、俺があいつらに好きだと伝える時、胸に歓喜がわいていた。
それを友情の好意だと思っていたけど、あんな甘い歓喜が友情なわけがない。
うん。
悪いけど、さゆりちゃんには渡せねぇ。
勝と志木もそうだ。他の誰かに渡せない。俺はビッチで多情だと認める。
俺は、3人に惚れてる。あいつらなら、ちょっとくらいの束縛だって嬉しい。
2人には気持ちを伝えるけど、志木とも付き合いたいって打ち明けよう。
皆が受け入れてくれるなら、俺は3人と付き合いたい。
それで断られたら————泣こう。フラれたらいっぱい泣いて、もしかしたら学校とか休んじゃうかもしれないけど、落ちる所までとことん落ちて、気持ちの整理を付けよう。
俺は、あいつらの気持ちに甘えまくってる。酷い自覚もある。
だけど、選べないんだ。誰も選ばないという答えもない。
俺は、全部欲しい。
◇◇◇◇◇◇
「———え?大学?」
「そう。樹は進学希望だったよね?どこに行くか決めてる?」
「いや、まだ特には…お前らは決めてるのか?」
「まぁ、そうだね。本命の他に2つほど」
「マジかよ。勝も?」
「あぁ。たまたま雅樹とは本命が同じだった」
「マジか!!!!」
昼飯を食べてたら、雅樹に志望大学はどこかを聞かれた。
進学はするつもりでいたけど、まだ2年だし、来年から学力と照らし合わせて本格的に決めようかなと考えていた。
ダメダメなのは自覚している。
「本命ってどこ?」
「聖学」
「マジかよ!!!!!うへぇ。まー、お前らなら余裕っしょ」
「樹、お前も行くんだよ」
「はっ?」
勝が俺の頭に顎を乗せて話しているから振動が骨に響く。
それにしても恐ろしい事を言われた気がするぞ。空耳だと思いたい。
そして、俺は胡坐をかいた勝の足の間に座らされている。
この2人は日替わりで俺をそうやって座らせる。
最初は抜け出していたけど、今は諦めてその日の奴に自分から座るようにしている。
どうせ座らせられるなら最初から座るほうがいい。背もたれにもなるしな。
それに今は自分の気持ちを自覚したから、むしろくっ付いていたいし。
弁当を食べ終わった勝は俺の髪の毛を指で梳いたり、旋毛にキスを落としたりして俺を弄りまくっている。うむ。大変心地良い。
そうか。好きな奴に触れられるって、こんなに心が満たされるんだな。
そんな事をいちいち感じながら過ごしているから、2人にトキメキっぱなしなんだ。
恐ろしい言葉は空耳……そう思いながら勝の胸に頭をぐりぐりさせる。
好きーすきすきーって心の中で連呼しながら。
「どうした?樹。最近甘えただな。可愛いし嬉しいからそのままでいいけど」
「べっつにー」
によによと笑ながら更にぐりぐりと頭をめり込ませていく。
「ちょ、ちょっと痛てぇ。けど、幸せな痛さ…」
「勝は相変わらずバカだな!」
「見てて可愛いけど、樹、聞かなかった事にはさせないよ?」
にっこりと笑ってるけど目が笑ってないぞ、雅樹よ。
「俺も聖学って、どういう事だよ。俺の今の成績じゃ無理だぜー」
そうなんだ。聖学は偏差値が高くて難関大学である私大だ。
幼稚舎からある聖上学院の付属大学なんだけど、エスカレーター式ながらもかなりの名門校だ。
俺らの通う鳳凰は指定校推薦枠があるし、一般入試も含めて毎年何名も進学しているから、うちから進学するのは別におかしな事じゃない。
だけど、俺はそんな難関大学なんて考えてなかったから無理だ。
最近、雅樹先輩が誰ともエッチしてないって言ってたけど、まさか先輩が原因だったとはねぇ…。そんなに具合?がいいんです?」
「知らねぇよっっっっ!!!!」
「肉欲ならば、きっと女子に軍配が上がりますね!」
うんうんと頷いている。
「てなわけで、ライバル宣言します!!!!」
「えぇぇ?!」
「別に、恋人同士じゃないんですよね?じゃあ、止める権利はないですよね?」
「う、うん」
「今までは控え目にアピールしてましたけど、これからはガンッガン行きますから!」
「う、うん」
「邪魔しないでくださいね!」
じゃ!と言って、さゆりちゃんが爽やかに去っていった。
前にヤリ部屋で服脱いで雅樹をセックス誘ったんだよな?……控え目とは。
「勝、おまたせ」
「おう。なんの話だったんだ?」
「あーっと…」
「どうせ雅樹だろ?お前が告られたとかじゃないならいい。告られたとかだったら全力で阻止するけどな」
「いやいやいやいや!それはない」
勝はじぃっと俺を見て、次の瞬間には校舎の影まで腕を引っ張っていった。
「勝…?」
向かい合った勝の顔を覗き込むと、キスをされた。
「な!ななな!」
「ん?樹が可愛いからしたくなった」
「お、お前ここそと…んむ」
頭と背中に手を回されて拘束された状態で、深いキスをされた。官能を誘うように、ねっとりと口の中を蹂躙される。弱い上顎を舌先でくすぐられて、舌の根元から優しく吸われ、俺の唾液が持っていかれて、コクリと勝の喉が鳴った後に勝から唾液を流し込まれた。
俺、それ弱いのに————
唾液を流し込まれるキスをすると、下半身に血がかぁっと集まって、体の奥が疼くようになってしまった。
カリカリと爪先で乳首を引っかかれてびくりと腰が震える。
「やぁ…」
「可愛いな。顔がとろっとろ。昨日もしたけど今日もしてぇな」
「んんっ。あぁ…」
乳首を指先でクニクニされて、下半身に火がともる。
俺も、したい。勝のちんこで奥を暴いていっぱい突いて欲しい。もじもじと膝をすり合わせてしまう。
「樹、好きだ」
勝に見つめられながら言われて照れてしまう。
「今日も、しようか」
「う、ん」
今の俺にはしないなんて選択は存在しない。
この日も2人に隅々までいただかれた。
◇◇◇◇◇◇
家に帰って、改めて考えた。
俺は、2人をどう思っているんだろうって。
正直、このぬるま湯で曖昧な関係のままが都合が良かった。この関係に意味を持たせるともう戻れない気がしたからだ。
どこに戻るのかって?今までと変わらない日常だ。
それは2人とセックスした時点で変わってると言われたらそれまでだけど。
だけど2人は違った。俺を親友から恋人にしたいと言われた。本当はどっかで「親友同士の距離じゃない」って事には気が付いていたけど、全力で見ないふりをしていた。
でも、2人はむちゃくちゃモテる。勝なんて彼女がいるのに(別れたけど)それでもモテてた。雅樹も公のヤリチンのくせにモテモテだ。
親友だと2人に誰かがアプローチしても不快を口には出せない。
恋人だから「心配だ、不安だ」と言える。
そこで、俺は実に具体的に想像してみた。
2人が俺にするように他の誰かを愛している姿を。
「いやだーーーー!!!!」
思わず頭を抱えた。あまりにも詳細に、具体的に想像しすぎて涙まで出てきた。
胸が痛くて掻きむしりたい。これが嫉妬ってやつか!
あいつらが愛情を持って触れるのは俺だけにして欲しい。
キスも、セックスも、束縛も、全部俺だけにして欲しい。
あんなに可愛いさゆりちゃんがグイグイ迫ったら、雅樹だってぐらっとくるかもしれない。俺みたいに返事を待たせてなおグズグズとしているような面倒くさいやつよりも、好意を前面に出して体当たりでアピールしてくるような子の方がいいだろう。
俺だってそっちの方がいい。
そうか。俺、あいつらに惚れてんだ。
ふと、そう思ったらすとんと納得できた。
うん。俺はあいつらが恋愛的な意味で好きだ。
思い返すと、俺があいつらに好きだと伝える時、胸に歓喜がわいていた。
それを友情の好意だと思っていたけど、あんな甘い歓喜が友情なわけがない。
うん。
悪いけど、さゆりちゃんには渡せねぇ。
勝と志木もそうだ。他の誰かに渡せない。俺はビッチで多情だと認める。
俺は、3人に惚れてる。あいつらなら、ちょっとくらいの束縛だって嬉しい。
2人には気持ちを伝えるけど、志木とも付き合いたいって打ち明けよう。
皆が受け入れてくれるなら、俺は3人と付き合いたい。
それで断られたら————泣こう。フラれたらいっぱい泣いて、もしかしたら学校とか休んじゃうかもしれないけど、落ちる所までとことん落ちて、気持ちの整理を付けよう。
俺は、あいつらの気持ちに甘えまくってる。酷い自覚もある。
だけど、選べないんだ。誰も選ばないという答えもない。
俺は、全部欲しい。
◇◇◇◇◇◇
「———え?大学?」
「そう。樹は進学希望だったよね?どこに行くか決めてる?」
「いや、まだ特には…お前らは決めてるのか?」
「まぁ、そうだね。本命の他に2つほど」
「マジかよ。勝も?」
「あぁ。たまたま雅樹とは本命が同じだった」
「マジか!!!!」
昼飯を食べてたら、雅樹に志望大学はどこかを聞かれた。
進学はするつもりでいたけど、まだ2年だし、来年から学力と照らし合わせて本格的に決めようかなと考えていた。
ダメダメなのは自覚している。
「本命ってどこ?」
「聖学」
「マジかよ!!!!!うへぇ。まー、お前らなら余裕っしょ」
「樹、お前も行くんだよ」
「はっ?」
勝が俺の頭に顎を乗せて話しているから振動が骨に響く。
それにしても恐ろしい事を言われた気がするぞ。空耳だと思いたい。
そして、俺は胡坐をかいた勝の足の間に座らされている。
この2人は日替わりで俺をそうやって座らせる。
最初は抜け出していたけど、今は諦めてその日の奴に自分から座るようにしている。
どうせ座らせられるなら最初から座るほうがいい。背もたれにもなるしな。
それに今は自分の気持ちを自覚したから、むしろくっ付いていたいし。
弁当を食べ終わった勝は俺の髪の毛を指で梳いたり、旋毛にキスを落としたりして俺を弄りまくっている。うむ。大変心地良い。
そうか。好きな奴に触れられるって、こんなに心が満たされるんだな。
そんな事をいちいち感じながら過ごしているから、2人にトキメキっぱなしなんだ。
恐ろしい言葉は空耳……そう思いながら勝の胸に頭をぐりぐりさせる。
好きーすきすきーって心の中で連呼しながら。
「どうした?樹。最近甘えただな。可愛いし嬉しいからそのままでいいけど」
「べっつにー」
によによと笑ながら更にぐりぐりと頭をめり込ませていく。
「ちょ、ちょっと痛てぇ。けど、幸せな痛さ…」
「勝は相変わらずバカだな!」
「見てて可愛いけど、樹、聞かなかった事にはさせないよ?」
にっこりと笑ってるけど目が笑ってないぞ、雅樹よ。
「俺も聖学って、どういう事だよ。俺の今の成績じゃ無理だぜー」
そうなんだ。聖学は偏差値が高くて難関大学である私大だ。
幼稚舎からある聖上学院の付属大学なんだけど、エスカレーター式ながらもかなりの名門校だ。
俺らの通う鳳凰は指定校推薦枠があるし、一般入試も含めて毎年何名も進学しているから、うちから進学するのは別におかしな事じゃない。
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