樹くんの甘い受難の日々

生梅

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第一章

50.お前の事は諦めない(番外編⑩)

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美鈴に聞いたところによると、やはり黒幕はクワトロで、どうやら俺に嫉妬していたらしい。見た目も中身も平々凡々な俺に美鈴がべったりな上に、一目惚れした美鈴が神子として、アディーロが大切にするならまだ我慢が出来たと。
でも、蓋を開ければ最初は神子であるという理由以外に興味が全くなかったアディーロですら俺にご執心。許せなかったと。

邪魔である俺を排除するために、貴族に払い下げようとしたけど失敗。
しかし、神子を殺すのは神官である以上は出来ない。
ならば帰せば良いと。必要な神気も充分に溜まったし、美鈴だけが残れば良いと思ったと。騙し討ちのような帰還は、美鈴を留めておくためだったとか。
正式に帰還の儀を行うとなれば、美鈴も一緒にとなってしまう。
だったら、先に帰しちゃえ!俺が駄々をこねたとかなんとか言って俺に擦り付けてしまえばバレることもない。

と、まぁ非常にお粗末な結果だったのである。
なんだかなぁ。
美鈴は、ちゃんと主張して正式に帰還の儀で帰ってきたそうだ。

「ーーー陛下はね、泣いてたよ」
「えっ?!」
「樹くんが恋しくて恋しくてたまらなかったみたい。
お別れすらちゃんと言えなかったからね…。もう、反応する事もない石を撫でながら、ひっそりと泣いてた。さすがにもらい泣きしちゃったよ」
「石……あぁ、GPS」
「あはは!GPS!確かに!!陛下って、ちょっとヤンデレ入ってるよね?
ま、神子だからってのもあるとは思うけど」
「あー……しかしまぁ、なんであんなに執着されたのか謎だよ。
いつの間にか絆されてた俺が言うのもなんだけど」
「ふふふ。陛下から伝言”諦めないからな”だそうだよ」
「ふぁ?!」

アハハハハ!と楽しそうに笑う美鈴を見ていたら色々と力が抜けた。
そう。そうだよな。生きていれば、もしかしたらまたアディーロと会えるかもしれない。
俺はこの世界にまだまだ未練あるから、3人に捨てられない限りはいたいと思うし。

それと!と、美鈴が一際大きく言った。

「約束、忘れてないよね?」
「約束???」
「やだなぁ!エッチするって言ったよね?」
「ひぃ」
「ちょっと、みぃ。それどういうこと?」
「ひぃぃ」

後ろから圧が!尋常じゃない圧が!!!!

「樹くんとね、エッチする約束してるんだよ!向こうでおあずけ食らったからね!」
「樹?どういうこと??」
「うぐ…こ、これには深い事情があってだな」
「そう!これは樹くんと僕との問題だからね。マサ君には関係ないでしょ?」
「あるよ。大ありだよ!俺だけじゃなくてコイツにだって関係ある!!」

やめてくれ!

「どういうこと?」
「樹はね、俺らのもんなの。お嫁さんだからね」
「へぇ~…そういう…なぁるほどね。やたらとこなれてんなぁと思ったけど、
そういう事情があったんだぁ。まぁでも、ここを開発したのは僕だからね」

挑戦的な目で、俺の喉を指しながら雅樹へ言い放ったけど、もうやめてくれるかな!
後が怖い!!!!!

「へぇぇ…開発。ふぅぅーーん。樹?あとで教えてもらおうかな」

じっくりと体にね、と恐ろしい事を最後に付け加えられた。
やめてくれ!抱き潰される!こいつら、エロ漫画並みに絶倫なんだよ!!!

「そのネックレスをくれた奴の事については後でもいいけど、
体の関係を持ったという所だけはすぐに説明してもらうからな」

勝の目が据わってる。これはもう、朝までコース確定だ。
だけど、ケツがきゅんと疼いた俺はもう頭が腐ってるとしか言いようがない。

「志木も絶望を味わった1人だからね?覚悟しておいた方がいいかもね?」

雅樹ににっこりと麗しく微笑まれたけど、俺の背中は冷や汗がつたった。

「ねぇ、樹くん…まさかまだいるの?マサ君たちだけじゃないの??」
「あぅあぅ」
「じゃあ、そこに僕が加わってもおかしくないよね?」
「「おかしいわ!!!」」

2人にバッサリ斬られて口を尖らせて拗ねた顔も可愛いけど、言ってる事は相変わらずエゲつない。

「でも、約束は約束だから!近いうちにじっくり味わわせてね?奥にいっぱい出してあげるから。好きでしょ?気持ちい所をゴリゴリ抉られて、奥にたっぷり出されるの。
ーーーあは。可愛い。顔がエッチになった」
「ちょっと、みぃ。樹を誘惑するのやめてよ」
「樹は自分の懐に入れた奴に甘いからなぁ…」
「勝!余計な事いわないで!!」

勝のポツリと呟いた言葉に目をキラキラと輝かせて美鈴が俺を嬉しそうに見た。
自覚がある俺は、なんとも言えない気持ちになる。
連絡先を交換し合った後、じゃあ、またねー!と元気に手を振って去っていく美鈴を見送った。
「さぁて樹?」
「体にもおかえりって言わないとなぁ?」
「ハイ……」

肩に置かれた手がギリギリと食い込んで痛いけど、俺はそれを甘んじて受けた。


◇◇◇◇◇◇

「あっ!あぁぁ!もうやらぁぁぁ」
「やだじゃないだろ?ほら、樹のケツマンコはまだちんこが欲しいって食いついてる」
「やん!やっ!…んっ…あぁ あっあっあっ…またいくぅ」
「いけよ。奥にいっぱい種付けしてやるから」
「ーーーーーーー!!!」

また頭が真っ白になって絶頂を味わう。
俺の腹ん中は2人の精液でたぽたぽだ。
きっと、あとで掻き出されるんだろうと思うと恥ずかしくなる。

「明日は腰が抜けてきっと立てないね」

ひっそりと嬉しそうに雅樹が耳元で囁く。
俺、思うんだ。こいつらもヤンデレ入ってると。
多分、マックスに振り切ったら監禁とかするぜ、こいつら。

「事情が事情だから仕方ないけど、でも浮気は浮気だからね。
誰のお嫁さんなのか再度自覚してもらわなきゃね」
「そうだよなぁ。樹は未だに自覚がねぇよな。お前さ、ホント分かってる?
俺らの嫁になるって事は、高校の間だけの付き合いってわけじゃねーよ?」
「えぇっ?!」
「ほら、やっぱり。この浮気者」
「ふがっ」

ため息をついた雅樹に鼻をきゅっとつままれた。

「何度も何度も言ってるけど、俺らは樹が好きなの。ずっと一緒にいたいの。
だから、お嫁さんにするって決めたの。分かる?」
「は、はぁ。でも俺、男だぜ?嫁って…なぁ?」
「たくさん俺らに愛されて、ケツマンも愛されて、俺らのちんこが大好物で…
嫁だろ。それに、お前さ、満更でもないだろ?嫁って立場」
「……」

そうなんだ。
薄々感じてたんだが、どうやら俺はこいつらの嫁という立場が嫌じゃない。
男たるもの、旦那側だろ!という気概がそもそもないという事もあるんだろうけど。
勝に言われたように、今の関係は高校だけになるだろうなと思っていた事もある。
こいつらは俺と違って将来有望な奴らだし、引く手あまただろうなぁと思うからこそ、
一時の熱に浮かされた関係になるよなぁって。
とはいえ、そう思わないと不安でやってらんないという本音は隠したままだ。
だから、今、実はすげぇ嬉しかったりする。
言わないけど。

「それについては追々じっくり自覚させるからね」
「あと、俺らの嫁はどうも浮気性みたいだからな。そこも躾ねぇとなぁ?」
「そうだね」
「オ、オテヤワラカニ……」
「「樹しだいかな?」」
「ひぃ」

2人にそれぞれ深いキスをされてグズグズに溶かされて、やっぱり次の日は生まれたての小鹿状態だった。2人が嬉しそうに甲斐甲斐しく世話をしてくれたのは当然だ。
こいつらのせいなのだからな!


後日、美鈴にオイシク頂かれてしまったのはまた別のハナシ。
美鈴の美鈴は見た目のとおりすごかった。
散々啼かされてヘロヘロになった。
どう見ても”受け”の美鈴にがつがつ貪られて俺のHPはゼロになった。

そして、もう二度とないと思われた異世界転移の被害に遭う事になるとは、この時の俺らには知る由もなかった。


―――――――――――――――――――
次からは通常に戻ります。
異世界転移は他サイトの登録者企画で
ある種「if」の世界ものとして書いたので、
本編には絡んで来る予定は今のところありません。

ここまで企画にお付合い頂き、ありがとうございました!
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