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第一章
39.志木②
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ドスドスドス、と足音荒く席に戻り、ドッカ!と座った志木に周りは怯えた。
志木は周りに当たったりすることはなく粗暴ではないが、圧が怖い。
ピロン♪
すかさずスマホを取り出して確認する。
途端、さっきまで志木を覆っていた怒気が消えた。
目元も心なしか弧を描き、ほんのりと赤い。嬉しそうにやり取りをしている志木を見て周りは悟った。先ほど、カナが言っていた相手であると。
そして、相手はどんな人物なのかとめちゃくちゃ気になり始めた。
あの志木が惚れている相手------しかも男------これが気にならないわけがない。
でも聞けない!!!
「し、志木。なんか楽しそうだな?ど、どんな話してんだ?」
そこに勇者が現れた!高須である。
みんな、心の中でサムズアップをした。よくやった高須!
「あぁ。今度デ…遊びに行く約束をな」
デートって言いかけた!まだ付き合ってないからか?
「へ、へぇ~…ちょー嬉しそうだな?
かっ、可愛い子なのか?(男って分かってるけど!)」
「あぁ。すげぇ可愛い」
女子が悲鳴を上げた。
志木の顔が蕩けそうに甘くなったのだ!
高須!もっと!もっと情報を引き出すのだ!!クラス中の心の声が聞こえた。
「どこの野ろ…子なんだ?」
「鳳凰の同学」
「鳳凰って…お前確か…」
「あぁ。好きにやったやつがたまたま鳳凰で…一目惚れだったと思う。…って俺なんでこんなベラベラ話してんだ?人の色恋の話なんてつまんねぇだろ。すまんな」
「いや!そんな事ねぇ!すげぇ(志木のは)気になる!!」
「そ、そうか?」
もっと踏み込んで聞き出そうとした時に、教師が入ってきた。
志木を除くクラス全員が舌打ちした。
「おぉ。お前らなんだよ、ずいぶん攻撃的だな?お邪魔だったか?」
クラス中はむすっとした空気で返事をしたのだった。
「志木!」
待ち合わせの駅で待っていると、樹が走ってきた。
「樹ちゃん今日も可愛いな」
「ちょ、いきなりかよ」
走ってきた樹をぎゅうと抱きしめて頬を頭にスリスリする。
「あぁ~…マジで癒される。樹ちゃんいつも甘いいい匂いするよな」
「そうか?俺、男くさくなりたいのに。まぁ、臭いよりはいいけど。
ん?志木、目が赤いな。寝てねぇの?」
今日は水族館デートだ。楽しみ過ぎて昨晩からなかなか眠れなかった志木の目は寝不足で赤い。
「樹ちゃんとデート出来るのが楽しみ過ぎて寝れなかった」
「お、おう…」
「引いた?」
「いや。な、なんか嬉しい。うへへへ」
「じゃ、行こっか」
ごく自然に手を繋いで2人は歩き出す。
樹は、自分がいつになくはしゃいでいる事に気づいた。
(志木といると、ドキドキして無駄に嬉しくなるな…。なんだろ、これ)
恋愛対象は女である、と思い込んでいるため自分の気持ちになかなか気づかない。
志木を見上げると、その視線に気づいて志木が樹をみて「ん?」と優しく微笑む。
(うはーーー!し、心臓がっ!!イ、イケメンめ…)
トキメキで胸が苦しくなった樹は空いている方の手で胸元のシャツを握りしめた。
水族館内を歩いている2人は傍から見るとどっからどうみても立派なカップルで、片方はイケメン。周りは気になるらしくチラチラと見ているが、2人は全く気づいていない。
気づいたとて気にしないのだが…。
今も、大きな水槽の前で樹が立ち、その後ろにぴったりと志木がついて腕で囲っている。
前に回された志木の腕を掴みながらサメを指さし「あれ、すげぇな!」と大はしゃぎな樹が可愛くて仕方がない志木は眼尻が下がりっぱなしである。
「はーっ!楽しかったな!」
「あぁ。腹減ってねぇか?昼飯にするか?」
「おう!そうしようぜ」
ランチを済ませた2人はプラプラとウインドウショッピングを楽しみ、
志木行きつけのシルバーアクセサリー店に行った。
「お。これ小ぶりだけどカッコイイな。でも俺、ピアス開いてないんだよな」
「開けないのか?」
「うーん…怖くて」
ぶはっと志木が笑う。
「わ、笑うなよ!痛いのこえぇじゃん…」
「ごめんごめん。もし、樹ちゃんが開ける気があるなら今日開けてく?
ここ、ピアッサーで開けてくれるよ?」
「ひぃ。こ、心の準備が…」
「で、さ…も、もし開けたらこのピアス片方お揃いでもしねぇ…?」
樹は顔を真っ赤にして言う志木をポカンと口を開けてしばらく見ていたが
「す、すまん!キモイよな!忘れてくれ!!」
手を顔で覆って謝る志木を見て我に返った。
もう、トキメキすぎて息が苦しい。志木は俺をどうしたいんだと心の中で文句を言う。
「違う!ちょっとビックリして…だけど、そういう目的があるんだったら、が、頑張ってみようかな…」
「え?マジで?いいの?無理してない?」
「ぜ、ぜんぜん…こ、怖いという意味では無理してるけど、それを上回る理由が出来たから挑戦してみようかな」
「君ら、すっげぇラブラブだねぇ~」
やり取りを見ていた店員がにやにやしながら準備をする。
タトゥーをあちこちに入れ、ピアスもブスブスさしているがセンスがいいのか不思議と下品ではない。
「樹ちゃん本当に大丈夫?無理ならやめても…」
「お、おう。男に二言はないっ!」
「おぉおぉ。威勢がいいねぇ。彼氏ちょーイケメンだね。
おソロしようとか可愛いじゃん。愛されてるねぇ」
「あ、愛?!」
「愛でしょー。一緒のピアスしようなんて独占欲の現れっしょ。
あはは。君、手ぇ震えてるね。ちょっと彼氏さん、手ぇ握ってあげたら?」
「か、彼氏…」
ぎゅっと握り込まれた樹の手を解き、自分の指に絡める。
「樹ちゃん、ありがとう。すげぇ嬉しい」
「志木…」
「熱く見つめ合っちゃってお熱いねぇ…っと」
「いっ…!」
ガチャンと耳元で爆音がした途端、耳に鋭い痛みが走った。
「はい、完了。2週間くらいはこのままにしておいてね。出来れば3週間くらい。
ピアス付けたまま消毒してあげて。おソロのピアスはピアスホールが落ち着いてから付け直してね~」
「お、終わった…」
「樹ちゃん!」
立ち上がろうとした樹がガクンと床に膝をつきそうになり、志木が慌てて抱き留める。
「足に力が入らないぃぃぃ」
「あはははは!可愛いな、君。そんなに怖かったの?
それでよく頑張ったねぇ。愛だねぇ。しばらくそこで休んでていいよ」
若干、腰を抜かし気味だった樹が回復するまで休ませてもらい、店を出た。
2人を気に入った店員がおまけだと買ったオニキスのピアスとは別に、小さな石がついたピアスをくれた。
「うぅぅ。ごめん志木。こんな事になるとは」
「いいよ。それよりも、すげぇ嬉しい。樹ちゃんありがとう」
ぎゅうと抱きしめられて志木の香りに包まれる。
志木は微かなムスクの香りがした。
2人はそのまま無言でぶらぶら歩いた。無言でも心地が良くて、穏やかな時間が流れる。
辺りはすっかり暗くなり、見晴らしが良い夜景スポットで夜景を眺める。
(なんていうか…本当にデートみたいだな)
樹は後ろに立った志木に体を持たれかけ、夜景をボーっとみながら今日一日をしみじみと思い返していた。楽しかったし、思いがけずピアスホールを開けるというスリリングな経験もしたが全体的にもの凄く楽しかった。
「樹ちゃん…」
「ん?」
くるりと体を回転させられ、向かい合わせになった。真剣な志木の目にそわそわと落ち着かない気持ちになる。
「俺、樹ちゃんがすげぇ好きだ」
「俺も志木が好きだよ」
「そうじゃなくて。俺は、樹ちゃんを恋愛という意味で好きだ。心底惚れてる」
「ふぁっ?!」
「この間は、篠田と目の前でセックスされて、樹ちゃんにも求められて、応えたかったけど俺は、樹ちゃんにはちゃんと気持ちを伝えてからしたかった」
「あ…そ、そうか。俺、あの時にい、淫乱みたいな真似して志木に呆れられたかと思った。だから志木はしてくれなかったのかなって…ほ、本当は今日も会うのがちょっと怖かった」
「違う。俺は、いつでも樹ちゃんとセックスしたい。今日ずっとしたかった。なんなら今すぐ押し倒したいくらい、セックスしたいし、惚れてる」
「あぅあぅあぅ…」
こんなに正面切って情熱的に愛を叫ばれたことがない樹は混乱の極みだった。
雅樹と勝にどれだけ愛を囁かれようとも、友情の延長で聞いていたため樹の中ではほぼノーカンである…気の毒に。
「今すぐに返事を欲しいとは言わない。だけど、考えてもらえねぇか?ゆっくりでいいから。でもってこれからもこうやってデートしてもらえると嬉しい」
「デ、デート!」
「ん?デートだろ?俺はそう思ってたぜ?」
「そ、そうか。でーとか」
樹の心にトキメキと供にほわわわんと心地よい暖かさが広がる。
「キスしていいか?」
「う、ん」
これまで好き勝手にキスをされていたから、改めて聞かれると照れる。
ちゅっ、と触れるだけのキスを何度も繰り返す。
段々と物足りなくなってきて志木の腰に巻き付けた腕を、ねだるようにきつく締めた。
ふふ、と笑った志木が薄く開けた樹の口の中に舌をぬるりと差し込んだ。
ちゅぷちゃぷという水音がして、それとともにジンジンと陰茎に熱がこもる。
唇を甘噛みされて、噛まれたヶ所をぺろりと舐められた。
「ふぁ…」
「感じた?樹ちゃんてさ、こないだのセックス見てて思ったけど感じやすいよな?」
「んっ…はぁ」
志木が口元で囁きながら忍び笑いをし、それが甘く胸を締め付けて陶然とする。
「ピアスもすげぇ嬉しい。ピアス付け替える時、俺にさせて?」
優しくピアスの上から耳たぶを食まれて背筋が震えた。
「あぁ…んっ。わかったぁ」
「樹ちゃん可愛い。好き。すげぇ好き。早く俺のものになって欲しい」
耳元で甘く囁かれて、左耳に開けたピアスの耳たぶがいつまでも甘くジンジンと痺れた。
―――――――――――――――――――――――――
私は樹くらいの頃に安全ピンで数時間かけて開けました。
今考えるとなんと無謀な…。
さらに、安定しないうちに外して消毒したので
後ろの穴が何度かズレちゃいました。
今考えると震えるぜ…。
志木は周りに当たったりすることはなく粗暴ではないが、圧が怖い。
ピロン♪
すかさずスマホを取り出して確認する。
途端、さっきまで志木を覆っていた怒気が消えた。
目元も心なしか弧を描き、ほんのりと赤い。嬉しそうにやり取りをしている志木を見て周りは悟った。先ほど、カナが言っていた相手であると。
そして、相手はどんな人物なのかとめちゃくちゃ気になり始めた。
あの志木が惚れている相手------しかも男------これが気にならないわけがない。
でも聞けない!!!
「し、志木。なんか楽しそうだな?ど、どんな話してんだ?」
そこに勇者が現れた!高須である。
みんな、心の中でサムズアップをした。よくやった高須!
「あぁ。今度デ…遊びに行く約束をな」
デートって言いかけた!まだ付き合ってないからか?
「へ、へぇ~…ちょー嬉しそうだな?
かっ、可愛い子なのか?(男って分かってるけど!)」
「あぁ。すげぇ可愛い」
女子が悲鳴を上げた。
志木の顔が蕩けそうに甘くなったのだ!
高須!もっと!もっと情報を引き出すのだ!!クラス中の心の声が聞こえた。
「どこの野ろ…子なんだ?」
「鳳凰の同学」
「鳳凰って…お前確か…」
「あぁ。好きにやったやつがたまたま鳳凰で…一目惚れだったと思う。…って俺なんでこんなベラベラ話してんだ?人の色恋の話なんてつまんねぇだろ。すまんな」
「いや!そんな事ねぇ!すげぇ(志木のは)気になる!!」
「そ、そうか?」
もっと踏み込んで聞き出そうとした時に、教師が入ってきた。
志木を除くクラス全員が舌打ちした。
「おぉ。お前らなんだよ、ずいぶん攻撃的だな?お邪魔だったか?」
クラス中はむすっとした空気で返事をしたのだった。
「志木!」
待ち合わせの駅で待っていると、樹が走ってきた。
「樹ちゃん今日も可愛いな」
「ちょ、いきなりかよ」
走ってきた樹をぎゅうと抱きしめて頬を頭にスリスリする。
「あぁ~…マジで癒される。樹ちゃんいつも甘いいい匂いするよな」
「そうか?俺、男くさくなりたいのに。まぁ、臭いよりはいいけど。
ん?志木、目が赤いな。寝てねぇの?」
今日は水族館デートだ。楽しみ過ぎて昨晩からなかなか眠れなかった志木の目は寝不足で赤い。
「樹ちゃんとデート出来るのが楽しみ過ぎて寝れなかった」
「お、おう…」
「引いた?」
「いや。な、なんか嬉しい。うへへへ」
「じゃ、行こっか」
ごく自然に手を繋いで2人は歩き出す。
樹は、自分がいつになくはしゃいでいる事に気づいた。
(志木といると、ドキドキして無駄に嬉しくなるな…。なんだろ、これ)
恋愛対象は女である、と思い込んでいるため自分の気持ちになかなか気づかない。
志木を見上げると、その視線に気づいて志木が樹をみて「ん?」と優しく微笑む。
(うはーーー!し、心臓がっ!!イ、イケメンめ…)
トキメキで胸が苦しくなった樹は空いている方の手で胸元のシャツを握りしめた。
水族館内を歩いている2人は傍から見るとどっからどうみても立派なカップルで、片方はイケメン。周りは気になるらしくチラチラと見ているが、2人は全く気づいていない。
気づいたとて気にしないのだが…。
今も、大きな水槽の前で樹が立ち、その後ろにぴったりと志木がついて腕で囲っている。
前に回された志木の腕を掴みながらサメを指さし「あれ、すげぇな!」と大はしゃぎな樹が可愛くて仕方がない志木は眼尻が下がりっぱなしである。
「はーっ!楽しかったな!」
「あぁ。腹減ってねぇか?昼飯にするか?」
「おう!そうしようぜ」
ランチを済ませた2人はプラプラとウインドウショッピングを楽しみ、
志木行きつけのシルバーアクセサリー店に行った。
「お。これ小ぶりだけどカッコイイな。でも俺、ピアス開いてないんだよな」
「開けないのか?」
「うーん…怖くて」
ぶはっと志木が笑う。
「わ、笑うなよ!痛いのこえぇじゃん…」
「ごめんごめん。もし、樹ちゃんが開ける気があるなら今日開けてく?
ここ、ピアッサーで開けてくれるよ?」
「ひぃ。こ、心の準備が…」
「で、さ…も、もし開けたらこのピアス片方お揃いでもしねぇ…?」
樹は顔を真っ赤にして言う志木をポカンと口を開けてしばらく見ていたが
「す、すまん!キモイよな!忘れてくれ!!」
手を顔で覆って謝る志木を見て我に返った。
もう、トキメキすぎて息が苦しい。志木は俺をどうしたいんだと心の中で文句を言う。
「違う!ちょっとビックリして…だけど、そういう目的があるんだったら、が、頑張ってみようかな…」
「え?マジで?いいの?無理してない?」
「ぜ、ぜんぜん…こ、怖いという意味では無理してるけど、それを上回る理由が出来たから挑戦してみようかな」
「君ら、すっげぇラブラブだねぇ~」
やり取りを見ていた店員がにやにやしながら準備をする。
タトゥーをあちこちに入れ、ピアスもブスブスさしているがセンスがいいのか不思議と下品ではない。
「樹ちゃん本当に大丈夫?無理ならやめても…」
「お、おう。男に二言はないっ!」
「おぉおぉ。威勢がいいねぇ。彼氏ちょーイケメンだね。
おソロしようとか可愛いじゃん。愛されてるねぇ」
「あ、愛?!」
「愛でしょー。一緒のピアスしようなんて独占欲の現れっしょ。
あはは。君、手ぇ震えてるね。ちょっと彼氏さん、手ぇ握ってあげたら?」
「か、彼氏…」
ぎゅっと握り込まれた樹の手を解き、自分の指に絡める。
「樹ちゃん、ありがとう。すげぇ嬉しい」
「志木…」
「熱く見つめ合っちゃってお熱いねぇ…っと」
「いっ…!」
ガチャンと耳元で爆音がした途端、耳に鋭い痛みが走った。
「はい、完了。2週間くらいはこのままにしておいてね。出来れば3週間くらい。
ピアス付けたまま消毒してあげて。おソロのピアスはピアスホールが落ち着いてから付け直してね~」
「お、終わった…」
「樹ちゃん!」
立ち上がろうとした樹がガクンと床に膝をつきそうになり、志木が慌てて抱き留める。
「足に力が入らないぃぃぃ」
「あはははは!可愛いな、君。そんなに怖かったの?
それでよく頑張ったねぇ。愛だねぇ。しばらくそこで休んでていいよ」
若干、腰を抜かし気味だった樹が回復するまで休ませてもらい、店を出た。
2人を気に入った店員がおまけだと買ったオニキスのピアスとは別に、小さな石がついたピアスをくれた。
「うぅぅ。ごめん志木。こんな事になるとは」
「いいよ。それよりも、すげぇ嬉しい。樹ちゃんありがとう」
ぎゅうと抱きしめられて志木の香りに包まれる。
志木は微かなムスクの香りがした。
2人はそのまま無言でぶらぶら歩いた。無言でも心地が良くて、穏やかな時間が流れる。
辺りはすっかり暗くなり、見晴らしが良い夜景スポットで夜景を眺める。
(なんていうか…本当にデートみたいだな)
樹は後ろに立った志木に体を持たれかけ、夜景をボーっとみながら今日一日をしみじみと思い返していた。楽しかったし、思いがけずピアスホールを開けるというスリリングな経験もしたが全体的にもの凄く楽しかった。
「樹ちゃん…」
「ん?」
くるりと体を回転させられ、向かい合わせになった。真剣な志木の目にそわそわと落ち着かない気持ちになる。
「俺、樹ちゃんがすげぇ好きだ」
「俺も志木が好きだよ」
「そうじゃなくて。俺は、樹ちゃんを恋愛という意味で好きだ。心底惚れてる」
「ふぁっ?!」
「この間は、篠田と目の前でセックスされて、樹ちゃんにも求められて、応えたかったけど俺は、樹ちゃんにはちゃんと気持ちを伝えてからしたかった」
「あ…そ、そうか。俺、あの時にい、淫乱みたいな真似して志木に呆れられたかと思った。だから志木はしてくれなかったのかなって…ほ、本当は今日も会うのがちょっと怖かった」
「違う。俺は、いつでも樹ちゃんとセックスしたい。今日ずっとしたかった。なんなら今すぐ押し倒したいくらい、セックスしたいし、惚れてる」
「あぅあぅあぅ…」
こんなに正面切って情熱的に愛を叫ばれたことがない樹は混乱の極みだった。
雅樹と勝にどれだけ愛を囁かれようとも、友情の延長で聞いていたため樹の中ではほぼノーカンである…気の毒に。
「今すぐに返事を欲しいとは言わない。だけど、考えてもらえねぇか?ゆっくりでいいから。でもってこれからもこうやってデートしてもらえると嬉しい」
「デ、デート!」
「ん?デートだろ?俺はそう思ってたぜ?」
「そ、そうか。でーとか」
樹の心にトキメキと供にほわわわんと心地よい暖かさが広がる。
「キスしていいか?」
「う、ん」
これまで好き勝手にキスをされていたから、改めて聞かれると照れる。
ちゅっ、と触れるだけのキスを何度も繰り返す。
段々と物足りなくなってきて志木の腰に巻き付けた腕を、ねだるようにきつく締めた。
ふふ、と笑った志木が薄く開けた樹の口の中に舌をぬるりと差し込んだ。
ちゅぷちゃぷという水音がして、それとともにジンジンと陰茎に熱がこもる。
唇を甘噛みされて、噛まれたヶ所をぺろりと舐められた。
「ふぁ…」
「感じた?樹ちゃんてさ、こないだのセックス見てて思ったけど感じやすいよな?」
「んっ…はぁ」
志木が口元で囁きながら忍び笑いをし、それが甘く胸を締め付けて陶然とする。
「ピアスもすげぇ嬉しい。ピアス付け替える時、俺にさせて?」
優しくピアスの上から耳たぶを食まれて背筋が震えた。
「あぁ…んっ。わかったぁ」
「樹ちゃん可愛い。好き。すげぇ好き。早く俺のものになって欲しい」
耳元で甘く囁かれて、左耳に開けたピアスの耳たぶがいつまでも甘くジンジンと痺れた。
―――――――――――――――――――――――――
私は樹くらいの頃に安全ピンで数時間かけて開けました。
今考えるとなんと無謀な…。
さらに、安定しないうちに外して消毒したので
後ろの穴が何度かズレちゃいました。
今考えると震えるぜ…。
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