樹くんの甘い受難の日々

生梅

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第一章

36.樹、新しい出会いを求める

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「志木…?!」
「よぉ。色男」
「樹?その格好…」
「あっ!」

あのまま寝ちゃったからシャツははだけたままだし、
下半身はすっぽんぽんだ。
まぁ、下は布団に隠れてるから大丈夫だろう。
志木も上が裸だしな。うぅ…ガタイいいな。か、かっこいい。キュンとした。
はだけていた体を隠そうとして気づいた。肌のあちこちに点々と赤い跡が散っていた。

「おぉ…?」
「志木、お前…」
「あー。すまん。俺、自分のものっていうシルシ付けるの好きなんだよ」
「し、志木。こ、これ、もしかしてき、き、きすまーく?」
「おう。嫌だったか?」

改めて、自分の肌に散った跡を指でなぞる。
志木の俺が欲しいっていう欲望が目に見えたようで嬉しくて顔が緩んだ。

「っ…!」

雅樹が鋭く息を呑んだ音がした。

「んーん。全然。なんか、嬉しいな。えへへ」
「そっか。嬉しいか」
「うん。えへへへ」

ちょっと照れ照れして跡を何度もなぞった。

「我慢してたのに…」
「どした?雅樹?」
「俺も、樹につけるの我慢してたのに!」
「そうなのか?」
「そうだよ!初めの頃は色々恥ずかしがってたでしょ!」
「あ?あぁ~…確かに」
「だから、我慢して内ももとか目立たない所にしてたのに…」
「そうだったのかぁ!」
「樹ちゃん…背中にけっこう、付いてたよ?」
「ひぇ!知らなかった!!」
「樹…」

疲れたように、雅紀がズルズルと座り込んで腕で頭を抱えた。

「雅樹?どうした?」

布団から抜け出して雅樹の側にペタンと座って顔を覗き込んだ。

「樹…樹の可愛いおちんちん丸見えだよ?」
「うひゃぁ!」
「…今さらだけど」
「ご、ごめん。パンツ履く」

立ち上がろうとしたら腕を引かれて抱き寄せられた。

「樹、ごめんね?」
「ん?なにが?」
「さゆりちゃんのこと…」

分かってはいても、やっぱりズキッと胸に鈍い痛みが走った。

「うぅん。いいよ。やっぱりさ、セックスするなら女の子がいいもんな!
それに、雅樹ヤリチンじゃん!俺、なんでショック受けたんだろうなぁっておも…って…なんで蕩ける笑顔してんの」
「ショックだったの?…目が腫れてる。泣いちゃった?」
「泣いてない!…うそ。泣いた」
「樹っ!!!」
「ぐえ」

ぎゅうぎゅう抱きしめられて、顔中にキスの雨が降る。

「樹を誤解させて泣かせちゃった事はすごく悪いと思ってる!思ってるけど、樹が嫉妬して泣いちゃったのは嬉しい!!
好きだよ樹。大好き。愛してる」
「うん。俺も好きだよ。だから、雅樹に嫉妬するの反省した」
「…は?」
「あぁ~…正確には、さゆりちゃんに、だけど。
でも、多分な、俺が童貞だって事もあると思うんだ。
だからヤリチンの雅樹に嫉妬したのもぐちゃぐちゃに混ざってると思うんだ。
雅樹とセックスするのは俺だけって言いたいけど、俺にはそれを言う権利がないから我慢する!!!!」

胸を張って雅樹に宣言した。
やっぱり、まだちょっと嫌だなって気持ちはあるけど、
俺にはそれを止めろっていう権利はないから、我慢する。
だから…

「俺、早く彼女つくるっっ!!!」
「はぁぁ~?!」

雅樹が絶叫して、志木が爆笑した。

「樹ちゃん…くっくくくっ…ど、どや顔…くくくく あははははは!」
「樹…どうしてそっちにいっちゃったの…」
「だって、俺が童貞だから、ヤリチン雅樹に嫉妬したじゃん?俺も童貞卒業したら、嫉妬しなくなるのかなって思って!
あと…やっぱり、女の子とセックスする方が気持ちいいからだよな?
そ、それはちょっと…いや、けっこう地味に凹んだけど。。
男とヤるって色々と大変だもんな…」
「ち、違う!樹、それは誤解!!」
「いいんだ…いいんだよ雅樹…気を使わなくても…へへっ…」
「樹?たつきーーー!戻ってきてーー!!」

ガクガクと肩をゆすられた

「お前ら、いつもこうなの?イチャついてんのか
三文芝居してんのか、どっち?」
「うるさいな!ていうか、なんで志木が樹の家にいるんだよ」
「お前が浮気したから?」
「っっ!!」
「樹ちゃん人目もはばからず、すげぇ泣いてたぜ」
「樹…」
「子供みたいにびぇびぇ泣いて、鼻水たらして。
まぁ、可愛かったけどな。おかげで樹ちゃんの全部見せてもらえたしな」
「……」
「で?なんで浮気してんの?前は俺といた樹ちゃん責めてたくせに、自分はやり放題なのか?」
「そんなわけないだろ!俺は、樹一筋だっての!!」
「じゃあ、なんで下着姿をさらした女とキスしてんだよ」
「それは…」
「あと、勝っていうやつ?そいつも。なんで樹ちゃん抱いてんのに彼女いるんだよ」
「は?」
「火遊びか?なら他所でやってくれって伝えてくれねぇか?俺は、これからじっくり口説かなきゃならねぇからよ」
「やっぱり、お前もか」
「篠田、お前もだ。もし、お前が他の女とよろしくやるんなら、樹ちゃんから手ぇ引いてくれねぇか?俺が大事にするからさ。
他の男の事で震えるほど泣いてる樹ちゃんはもう見たくねぇよ」
「樹……樹?なにしてるの?」

志木と雅樹が仲良く話してるから、決心が鈍らぬうちにと出会い系アプリをインストールしてポチポチ入力していたスマホの画面を覗いた雅樹が取り上げた。

「ちょっと!何してるの?」
「出会いを求めてだな」
「なんで!いらないでしょ!!」
「えぇ~…出会い増やさないと、ダメな気がするんだよ」
「だーかーらっ!樹には俺たちがいるでしょ?」
「むむっ。一生童貞でいろってのか?この、ヤリチン野郎っ!」
「樹は俺のお嫁さんでしょう?」
「そうなのか?」
「そうなのっ。言ったでしょう?」
「そうなったら俺一生、童貞じゃん!!!」
「そうだよ!あ。なら志木に突っ込む?」
「おい!何でそうなるんだよ!お前にしろよ!」
「あぁ。それもいいかな。樹の可愛いおちんちんなら、入れてもいいかも」
「えぇ~…俺、女子がいい」
「我がままいわないのっ!」
「ちぇー」
「樹ちゃん、お前それでいいのかよ…」

志木がはぁぁぁ~…と深いため息をついた。
何度もため息つかせちゃってるなぁ。申し訳ない。

「なんか、篠田見てると浮気したんじゃなさそうだな。
可能であれば、俺にも話聞かせてくれねぇかな」
「あぁ…まぁ、志木も関わってるしな。学際の時の事件あったろ?
あれが仕組まれた出来事じゃないかと思っててさ。
自分のネットワーク使って調べてたんだけど、グレーの子が見つかってね。
それが、さゆりちゃんだったってわけ」
「それがどうして、キスになるんだよ」
「話をしようと思って、待ち合わせの教室いったら服を脱ぎ始めてね。
キスもしてくるし、あんまり無下にしても面倒になりそうな子だなと思ったんだけど…」
「そこに樹ちゃんが来たってわけか?」
「女の子は好きだしね。今さらセックスにこだわりがあるわけじゃないし。
ただ、樹に見られたのは思いのほか堪えたなぁ。
樹の泣きそうな顔みたら酷いことしてるなって思って。樹、ごめんね?」

ぎゅっと抱きしめて頭にいっぱいキスされた。
こんなんじゃ許さねぇんだからな!
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