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第一章
26.俺、ビッチかもしれん…
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「えっ?志木??」
「タツキちゃんじゃねぇか。へぇ。この塾はいんの?」
「う、うん。志木はここの塾に入ってんだ」
「そう」
「へぇー…」
「なに?三条が塾に入ってるのびっくり?」
「え?い、いやぁ…まぁ…うん」
三条高校は不良が多い。
進学校とは真逆の高校で、どちらかといえば卒業後は就職という高校だ。
勉強っていうイメージがあまりない。
「まぁ、三条もいいんだけどさ。進学のために転入しようかと思ってさ」
「へぇー!すごいな、志木は!どこ編入すんの?」
「鳳凰学院」
「ふぁ?!うち?」
「ふふふ。びっくりしたか?」
「う、うん」
「だから学際行ったってのもある。つーか、こないだは本当にごめんな?
傷は綺麗に治ったんだな」
「う、ううううん」
座っていた椅子から、俺の隣に移動してきた志木に俺の頬を指で優しく撫でられて動揺してどもってしまった。
「良かった」
優しく微笑まれて、ドキドキする。
志木の目が柔らかく細まるとその目に釘付けになってしまう。
な、なんでだ。
「しししし志木は何クラスなんだ?」
「A」
「マジ?!すげぇじゃん!!!!」
この塾は一番上がSで、その下からA、B、C…と続く。
上のクラスへの進級テストに合格すれば上がる事も可能だ。
「タツキちゃんは?」
「まだ結果待ち。っていうかタツキちゃんて呼ぶなよ。タツキでいい」
「あはははっ。でも、タツキちゃんはタツキちゃんだからなぁ」
「なんだよそれ!」
「可愛いってこと」
「!?」
またキスされた。
「ちょっ!志木!!!ここ塾!!!!」
「塾じゃなかったらいいのか?」
「いや!そういう訳じゃないけろ!!」
「けろって!あははははは!!」
「ぐぬぅ」
「相変わらず無防備だなぁ。タツキちゃんは」
「いや、これ無防備とかじゃなくね?」
「一度でもキスされた男には警戒するべきだろ?」
「そ、それはそうだけど…」
「それとも……俺にキスされるのは嫌じゃなかったってこと?」
「ふぇっ?!」
「もう一回していい?」
「ふぁ?!」
「さっきから変な声でてんじゃん。可愛いなぁもう」
「んっ」
だーかーらー!なんでキスすんだこいつは!
ちゅっ、ちゅっと啄むだけのキスを何度もされる。
雅樹と勝以外の男にキスとか絶対無理だと思っていたけど、なんでだか志木には嫌悪感がわかない。
え、待って。俺もしかしてビッチ?!ビッチだったの?!
「タツキちゃん、また面白い顔してる」
くくくっと笑われた。
「誰のせいだと思って…!」
「俺のせいだな。ごめんな。可愛くてさぁ。
俺、男に欲情しないんだけどなぁ。タツキちゃんは別みたい。可愛くて見てるとついついキスしたくなる」
「いやそれおかしいだろ」
「俺にキスされるの嫌?きもい?」
「きもくない」
「ふぅん。じゃあ、嫌?」
「…いや、でもない」
「そっか。嫌じゃないんだ」
「いやでも!俺は!俺はビッチじゃないからな!!!」
思わず叫ぶと、驚いた志木が目をパチパチとさせたあと
ふっと笑った。やめろ!その笑顔は反則だ!ドキドキする!!
「ビッチじゃないって事は、ちょっとは脈ありって事か?」
「み、脈?!」
微笑みながら俺の唇を親指で優しくなぞった。
無言で見つめられてるけど、ドキドキはするけど嫌悪感がわかない。
俺、マジでどうしちゃったんだろう。
「タツキちゃんは、恋愛対象男なのか?」
「違う!断じて違う!俺は可愛い女子が好きだし、おっぱいが好きだ!」
「奇遇だな。俺も同じだ」
「志木はかっこいいからモテんだろ?」
「まぁ。それは否定しないな」
「ぎぃぃぃ!むかつく!」
「また面白い顔なってんぞ」
「うるせぇ!」
「でも、可愛い」
ちゅっ
「だから!キスすんなよ!!」
「嫌?」
「い、嫌じゃないけど!!!」
ちゅっ
「~~~~もうっ!!」
「あはははははは。ごめんごめん、からかいすぎた」
「勘弁してくれよぅ…」
熱くなった顔を手で覆う。
「ごめんな。でも、キスしたくなっちゃうから仕方ない」
「全然仕方なくないからな?!」
「あははははははは」
「笑いごとじゃないよ。まったく」
「ふふっふ…ごめんごめん」
ギロリと志木を睨んだら困った顔で笑った。
「睨んだ顔も可愛い。なんなのお前」
「知るかっ!目が悪いんじゃないか?」
「んな事ないんだけどなぁ」
「はぁもう…」
「口とがらすのやめて。可愛いからキスしたくなる」
慌てて口をぎゅっと真横に引いた。
志木が肩を震わせて笑っている。
「おい…お前、またからかったな」
「ふっふふふ…あはは。ご、ごめ…」
「笑いすぎだろ!てかこないだも思ったけど、お前笑い上戸だな」
「そうでもない」
「説得力なさすぎだよ?!」
「あははははは」
「ほら!」
「はーぁ。面白かった。タツキちゃんこれからよろしくね。あ。なぁ。ライン交換しようぜ」
「う、うん」
気が付いたら志木と連絡先を交換していた。
俺は勢いに弱いという事を実感した。
「小鳥遊くん。結果が出たから事務室へどうぞ。
―――あら。志木君とお友達?」
「あ、はい?」
「そう。志木君はすごく努力家で、どんどんクラスアップしているのよ」
「へぇーー!すげぇな志木!」
「あははは」
あ、照れてる。顔が赤い。へぇ、可愛いところあんじゃん。
ほほぅ。もしや?もしやか??
この職員さん、ロリ系でおっぱいも大きくて可愛いもんな。
そうかそうか。そういう事か、志木よ。
俺は己の予想ににんまりとした。
「―――タツキちゃん、なんか変なこと考えてない?」
「いやぁ?」
口許がニヤニヤと緩んでしまう。
「じゃあ、事務室へ行きましょう。志木君もそろそろ授業始まるわよ~」
「あ、はい」
事務員さんが休憩室をさっさと出て行ってしまって、
慌てて後を追う―――と、腕をクンと引かれて振り返ったら
すぐ近くに志木の顔があった。
ちゅっ。
「な!志木!お前っ!!」
「あははははは。これで授業頑張れる。じゃあ、またね。タツキちゃん」
あぁぁぁぁいつぅぅうぅ!!!
ロリ事務員さんに言いつけてやろうか!
俺はぷりぷりしながら事務室へ向かった。
ぴろん♪
風呂から上がって、頭を拭いているとスマホが鳴った。
「志木…」
ーよぉ。クラスどうだった?
ーBだった
ーへぇ~。さすが鳳凰だな。
あの塾、かなりレベル高いからBでもそこそこだぜ?
ーいや、どうだろう…俺、かなりへっぽこ
ーあー。それはなんか分かる
ー志木!!!
ーすまんww
ーまぁでも、Aまでアップするってすごいな、志木は
元々はなにクラスだったの?
ー……E
ーマジで?!
つかすげぇな!そこからA?お前、優秀なんだなぁ
ーとにかくコツコツ頑張った。優秀とかじゃない
ーコツコツ努力するって、すげぇじゃん。優秀だと思うけ
どな
ーありがとう
ーどういたしまして
ータツキちゃんとまたすぐ会えるとは思ってなかったから
かなり嬉しい
ータツキちゃん言うな!!
ーwww
どういう漢字?
ー樹
ー小鳥遊 樹ちゃんね
ーお前、ちゃん付けやめるつもりないな
ーwww
おやすみ。また明日な
ーうん。おやすみ
志木すげぇな。努力家って本当だな。
うちの学校に無事に転入できるといいな。
……ん?
待てよ。うちに来るって事は…ま、まぁただの学友ってだけだ。
別にどうってことないよな。うん。
俺は訳のわからん悪寒に襲われてぶるっと震えた。
「タツキちゃんじゃねぇか。へぇ。この塾はいんの?」
「う、うん。志木はここの塾に入ってんだ」
「そう」
「へぇー…」
「なに?三条が塾に入ってるのびっくり?」
「え?い、いやぁ…まぁ…うん」
三条高校は不良が多い。
進学校とは真逆の高校で、どちらかといえば卒業後は就職という高校だ。
勉強っていうイメージがあまりない。
「まぁ、三条もいいんだけどさ。進学のために転入しようかと思ってさ」
「へぇー!すごいな、志木は!どこ編入すんの?」
「鳳凰学院」
「ふぁ?!うち?」
「ふふふ。びっくりしたか?」
「う、うん」
「だから学際行ったってのもある。つーか、こないだは本当にごめんな?
傷は綺麗に治ったんだな」
「う、ううううん」
座っていた椅子から、俺の隣に移動してきた志木に俺の頬を指で優しく撫でられて動揺してどもってしまった。
「良かった」
優しく微笑まれて、ドキドキする。
志木の目が柔らかく細まるとその目に釘付けになってしまう。
な、なんでだ。
「しししし志木は何クラスなんだ?」
「A」
「マジ?!すげぇじゃん!!!!」
この塾は一番上がSで、その下からA、B、C…と続く。
上のクラスへの進級テストに合格すれば上がる事も可能だ。
「タツキちゃんは?」
「まだ結果待ち。っていうかタツキちゃんて呼ぶなよ。タツキでいい」
「あはははっ。でも、タツキちゃんはタツキちゃんだからなぁ」
「なんだよそれ!」
「可愛いってこと」
「!?」
またキスされた。
「ちょっ!志木!!!ここ塾!!!!」
「塾じゃなかったらいいのか?」
「いや!そういう訳じゃないけろ!!」
「けろって!あははははは!!」
「ぐぬぅ」
「相変わらず無防備だなぁ。タツキちゃんは」
「いや、これ無防備とかじゃなくね?」
「一度でもキスされた男には警戒するべきだろ?」
「そ、それはそうだけど…」
「それとも……俺にキスされるのは嫌じゃなかったってこと?」
「ふぇっ?!」
「もう一回していい?」
「ふぁ?!」
「さっきから変な声でてんじゃん。可愛いなぁもう」
「んっ」
だーかーらー!なんでキスすんだこいつは!
ちゅっ、ちゅっと啄むだけのキスを何度もされる。
雅樹と勝以外の男にキスとか絶対無理だと思っていたけど、なんでだか志木には嫌悪感がわかない。
え、待って。俺もしかしてビッチ?!ビッチだったの?!
「タツキちゃん、また面白い顔してる」
くくくっと笑われた。
「誰のせいだと思って…!」
「俺のせいだな。ごめんな。可愛くてさぁ。
俺、男に欲情しないんだけどなぁ。タツキちゃんは別みたい。可愛くて見てるとついついキスしたくなる」
「いやそれおかしいだろ」
「俺にキスされるの嫌?きもい?」
「きもくない」
「ふぅん。じゃあ、嫌?」
「…いや、でもない」
「そっか。嫌じゃないんだ」
「いやでも!俺は!俺はビッチじゃないからな!!!」
思わず叫ぶと、驚いた志木が目をパチパチとさせたあと
ふっと笑った。やめろ!その笑顔は反則だ!ドキドキする!!
「ビッチじゃないって事は、ちょっとは脈ありって事か?」
「み、脈?!」
微笑みながら俺の唇を親指で優しくなぞった。
無言で見つめられてるけど、ドキドキはするけど嫌悪感がわかない。
俺、マジでどうしちゃったんだろう。
「タツキちゃんは、恋愛対象男なのか?」
「違う!断じて違う!俺は可愛い女子が好きだし、おっぱいが好きだ!」
「奇遇だな。俺も同じだ」
「志木はかっこいいからモテんだろ?」
「まぁ。それは否定しないな」
「ぎぃぃぃ!むかつく!」
「また面白い顔なってんぞ」
「うるせぇ!」
「でも、可愛い」
ちゅっ
「だから!キスすんなよ!!」
「嫌?」
「い、嫌じゃないけど!!!」
ちゅっ
「~~~~もうっ!!」
「あはははははは。ごめんごめん、からかいすぎた」
「勘弁してくれよぅ…」
熱くなった顔を手で覆う。
「ごめんな。でも、キスしたくなっちゃうから仕方ない」
「全然仕方なくないからな?!」
「あははははははは」
「笑いごとじゃないよ。まったく」
「ふふっふ…ごめんごめん」
ギロリと志木を睨んだら困った顔で笑った。
「睨んだ顔も可愛い。なんなのお前」
「知るかっ!目が悪いんじゃないか?」
「んな事ないんだけどなぁ」
「はぁもう…」
「口とがらすのやめて。可愛いからキスしたくなる」
慌てて口をぎゅっと真横に引いた。
志木が肩を震わせて笑っている。
「おい…お前、またからかったな」
「ふっふふふ…あはは。ご、ごめ…」
「笑いすぎだろ!てかこないだも思ったけど、お前笑い上戸だな」
「そうでもない」
「説得力なさすぎだよ?!」
「あははははは」
「ほら!」
「はーぁ。面白かった。タツキちゃんこれからよろしくね。あ。なぁ。ライン交換しようぜ」
「う、うん」
気が付いたら志木と連絡先を交換していた。
俺は勢いに弱いという事を実感した。
「小鳥遊くん。結果が出たから事務室へどうぞ。
―――あら。志木君とお友達?」
「あ、はい?」
「そう。志木君はすごく努力家で、どんどんクラスアップしているのよ」
「へぇーー!すげぇな志木!」
「あははは」
あ、照れてる。顔が赤い。へぇ、可愛いところあんじゃん。
ほほぅ。もしや?もしやか??
この職員さん、ロリ系でおっぱいも大きくて可愛いもんな。
そうかそうか。そういう事か、志木よ。
俺は己の予想ににんまりとした。
「―――タツキちゃん、なんか変なこと考えてない?」
「いやぁ?」
口許がニヤニヤと緩んでしまう。
「じゃあ、事務室へ行きましょう。志木君もそろそろ授業始まるわよ~」
「あ、はい」
事務員さんが休憩室をさっさと出て行ってしまって、
慌てて後を追う―――と、腕をクンと引かれて振り返ったら
すぐ近くに志木の顔があった。
ちゅっ。
「な!志木!お前っ!!」
「あははははは。これで授業頑張れる。じゃあ、またね。タツキちゃん」
あぁぁぁぁいつぅぅうぅ!!!
ロリ事務員さんに言いつけてやろうか!
俺はぷりぷりしながら事務室へ向かった。
ぴろん♪
風呂から上がって、頭を拭いているとスマホが鳴った。
「志木…」
ーよぉ。クラスどうだった?
ーBだった
ーへぇ~。さすが鳳凰だな。
あの塾、かなりレベル高いからBでもそこそこだぜ?
ーいや、どうだろう…俺、かなりへっぽこ
ーあー。それはなんか分かる
ー志木!!!
ーすまんww
ーまぁでも、Aまでアップするってすごいな、志木は
元々はなにクラスだったの?
ー……E
ーマジで?!
つかすげぇな!そこからA?お前、優秀なんだなぁ
ーとにかくコツコツ頑張った。優秀とかじゃない
ーコツコツ努力するって、すげぇじゃん。優秀だと思うけ
どな
ーありがとう
ーどういたしまして
ータツキちゃんとまたすぐ会えるとは思ってなかったから
かなり嬉しい
ータツキちゃん言うな!!
ーwww
どういう漢字?
ー樹
ー小鳥遊 樹ちゃんね
ーお前、ちゃん付けやめるつもりないな
ーwww
おやすみ。また明日な
ーうん。おやすみ
志木すげぇな。努力家って本当だな。
うちの学校に無事に転入できるといいな。
……ん?
待てよ。うちに来るって事は…ま、まぁただの学友ってだけだ。
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