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第一章
19.美は痛みとの戦い
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「小鳥遊君、最近なんだか色っぽいから」
「へぁ?!」
隣の席のあずきさんがポツリと言った。
「クラスの女子でね、話題になってたの。
なんだかお肌もうる艶で、全体的にエ…色気が駄々洩れで、何があったんだろうって」
今「エロ」って言いかけてませんでした?!
あずきさんってのはあだ名だ。
なんか、顔が小さいけどふくふくしてて、ふっくら煮た小豆っぽいかららしい。
女子高生にそんなあだ名どうなんだって思うけど、実家が和菓子屋の彼女は大の小豆好きな事もあって気に入っているらしい。
「それなー。他のクラスの奴らも言ってるぜ。男だけど」
「はっ?」
「お前ってさ、地味なくせにちょっと顔が知れてたからなー。女子の友達多いし、女子の中でワイワイしてても違和感がないっつーか」
「地味は余計だ」
「男は男なんだけどさぁー、なんか変な色気が出てきてるっつーかさ。
前に、体育で他の組の奴らと着替えが一緒になった時に、なんとなくお前の着替えの姿を変に意識して見れないとか言ってたな」
「はぁっ?!」
「あ!そういや乳首に反応してるやついたぜ?」
「ちっ…」
ゲラゲラと笑ながら、さもおかしいという感じで机をバンバン叩いている。
俺はバカみたいに笑う山田を見ながら絶句していた。
さっき、雅樹に無防備すぎだとか、乳首見せんなとか言われた事を思い出した。
(俺、男だぜ?ノーマルな奴らが男みて楽しいわけねぇじゃん…)
だけど、何かしら反応を示しているって事は
雅樹の心配も的外れじゃないって事になるのか?
「ねぇねぇ。何かあったの?」
キラキラした目で俺をみるあずきさん。
「な、何か…て?」
「例えば、恋人ができたとか!」
「こい…い、いや。そんなんいない」
「えーっ。じゃあなにー?気になる!」
「そ、そんな事言われても…何もない…し」
何かあったとすれば、あいつらとの事だ。
そんなん言えるわけないし、それが原因とも思えない。
「そっかぁー。残念。てっきり…」
後半はもごもごして何を言っているか聞き取れなかった。
そして、俺ら3組の催し物はメイド&執事喫茶と女装喫茶おまけになった。
キワモノ企画だな…。
「うわーっ。小鳥遊君体毛うすーい!つるっつるー!
きゃー!ワキもつるつる!羨ましい!いや、憎らしいっ!!!」
「アイカは剛毛だもんねぇ…」
「そうなのよ!カミソリ負けとの戦いよ!!
お小遣貯まったら、即効で脱毛行くんだ!!」
「いってぇぇえええええ!!!」
「小松!我慢よっ!美はねぇ、痛みとの戦いなのよ!!」
俺の隣にいた小松がすね毛にたっぷり塗られたブラジリアンワックスをべりっと一気に剥がされて悶え苦しんでいる。
俺は元々体毛が薄くて、色もかなり薄いからほとんど処理しなくてもOKだと言われた。小松を見ていると喜んでいいのか、男としてそれでいいのかと複雑だ。
「お肌もトラブルなしの毛穴レスで唇もぷる艶?!なんなのっ!!!」
顔をガシッと両手で固定されて憎々し気に言われて困った。
「ちょっと小鳥遊君、どんなケアしてんのよ!教えなさいよ!」
「い、いや何もしてないってば…」
「きぃーーーっ!天然物だっていうの?!腹立つわーーー!髪の毛も癖もなくサラッサラで色素が薄いから綺麗!もう、完敗よっ!!」
「お、おう。ありがとう…?」
「どういたしまして!」
ふんすと鼻息をはき出しながら言われた。
今日は、本番に向けてのリハーサルで、本番さながらに準備をしている。
「小鳥遊君、ヘアメイク終わったらこっち着て着替えてー」
「わかった」
「あぁぁぁ…ヘアスタイル迷う。小鳥遊君絶対に化けるわよ!ちょっとさ、先に着替えてきて?それから決めよう」
「わ、わかった」
さっきから女子の勢いに押され気味だ。
メイド役の子たちは自分らで準備が終わって、俺らの手伝いに来てくれている。
気合が自分たちよりも入っているのは気のせいだろうか。
「さぁさぁ!さぁ!脱いで!潔く脱ぐのよ!」
簡易更衣室と化した天井から釣り下げた布をまくって入ると手をワキワキとさせた女子に言われて思わず後ずさりした。しかも、目を爛々と輝かせた女子が4名もいるんだが。怖い。
横を向くと、既に着替えた他の男子が他の女子に手籠めにされていた。
そんな表現がしっくりくるくらい、蹂躙されている。怖い。ちょっと目が死んでるぞ。
「んーーーー。小鳥遊君は、ウケ狙いはダメね。
これは本気で男の娘で萌えを狙うわよ」
「えぇ。分かってるわ。覚悟なさって?小鳥遊君」
「あなたを誰よりも美しくして差し上げますわ!」
「てなわけで、ちゃっちゃと脱いでくださらない?」
なんか言葉遣いもおかしくないか?猛獣の檻に入れられた草食動物の気分だ。
「小鳥遊君はブラは必要なし!でも…下の下着は良い物を用意したわ♡」
「い、嫌な予感しかしないんだけど」
「元々、投票数が多い男子には履いてもらう予定だったのよ!まぁ、ぶっちぎりで小鳥遊君が選ばれるだろうなとは思ってたけど!」
「それ、確信犯!鬼畜!」
「いやぁ~それほどでも」
「褒めてないからね?!」
「じゃ~ん!」
目の前にぴらりとかざされたそれは、
上品なレースがあしらわれた
「紐パン?!」
「そーなのー。絶対に似合うと思うの!これ、優勝賞品♪
お持ち帰りいただけるよ!」
「何の優勝?!いらないよ?!」
「まぁまぁまぁ…楽しんでおくれよ。ね?」
にやりと笑った女子にポンと肩を叩かれた。
その仄暗い笑顔に戦慄が走る。
「きゃーーーん!乳首かわいいー!色きれーい!エローい!!」
「お肌すべっすべー。気持ちいいーー!」
「ウェストほっそ!美脚!!」
「さ、触ってもいい?」
「ダメだからね?!」
生唾飲んで乳首見つめられながら言われて、俺のあるんだかないんだか分からない貞操の危機を覚える。
「うーむ。正直、ここまでエロいと思ってなかったわ。
乳首を透けさせちゃだめだから、ニップレスシール貼ろうか」
「そうだね。小鳥遊君はブラさせちゃったら逆にエロ半減」
うんうんと真剣に話し合って頷いている彼女らが怖くてたまらない。
メイド服は、執事に合わせて白シャツに黒スカート、胸元が深くあいた白エプロン。
もちろん?ミニスカートでゴスロリ風で裾にフリルが入っている。
スカートのウェストは切り返しの部分がリボンで編まれているのがポイントらしい。
胸元は黒の細めのネクタイ。リボン結びにしても良いとのこと。だがしかし、俺に選択権はない。全て、女子の言いなりである。
そして、女装男子だけガーターベルトでストッキングを吊るす仕様だ。なんでこんな力が入ってるんだ。
確かに可愛い。これを着ているのが男じゃなけりゃ垂涎ものだ。
服飾希望の女子が指揮を執って既製品に手直しをして作り上げた力作らしい。
「かっ…可愛いっ!想像以上だったわ!」
「これは、コンテスト優勝も夢じゃないわね」
「髪型はこのままマッシュボブでボーイッシュに仕上げるか、ウィッグつけるか迷いどころね」
「絶対領域がエロ…い」
さっきから最後だけおかしいんだけど!?
「小鳥遊…やべぇな。ぶっちゃけありとか思っちった」
着替えで入ってきていた小松が俺を見ながら言った。
…その赤い脛をタワシでこすってやろうか!
そんな小松は、胸に詰め物を詰めに詰めて爆乳になっている。どう見ても男という体に爆乳が笑いを誘う。
「うん。完璧。マジで美少女。でも、中性的な色気で最高」
「小鳥遊君、学校に蔓延る猿たちに犯されないでね?
暗くて人気のない所に1人でいっちゃダメだよ?」
「犯されないし、俺は男だし!」
「それがよりヤバイんじゃなーい!最近の小鳥遊君エッロいもん!」
「そのぷるぷるしている唇みてると、私もチューしたくなるわ」
ギョッとした。
女の子がそんなはしたない事いうんじゃありません。
「カラコンしちゃう?ちょっと、外国人風にしたい」
「え”?!やだ!目の中に異物入れたくない!」
「小鳥遊君、男は気合よ?」
「泣いたらメイクって崩れちゃうんじゃないの?
妹が初めてカラコンした時ぼろぼろ泣いてたけど」
「…慣れればいいのよ。えぇ。学際までに時間はあるわ」
「鬼畜!!!」
「だまらっしゃい!美とは痛みとの戦いよ!」
「ひぃ」
「小鳥遊、諦めろ…」
全てを悟ったような表情の小松に肩を叩かれた。
「へぁ?!」
隣の席のあずきさんがポツリと言った。
「クラスの女子でね、話題になってたの。
なんだかお肌もうる艶で、全体的にエ…色気が駄々洩れで、何があったんだろうって」
今「エロ」って言いかけてませんでした?!
あずきさんってのはあだ名だ。
なんか、顔が小さいけどふくふくしてて、ふっくら煮た小豆っぽいかららしい。
女子高生にそんなあだ名どうなんだって思うけど、実家が和菓子屋の彼女は大の小豆好きな事もあって気に入っているらしい。
「それなー。他のクラスの奴らも言ってるぜ。男だけど」
「はっ?」
「お前ってさ、地味なくせにちょっと顔が知れてたからなー。女子の友達多いし、女子の中でワイワイしてても違和感がないっつーか」
「地味は余計だ」
「男は男なんだけどさぁー、なんか変な色気が出てきてるっつーかさ。
前に、体育で他の組の奴らと着替えが一緒になった時に、なんとなくお前の着替えの姿を変に意識して見れないとか言ってたな」
「はぁっ?!」
「あ!そういや乳首に反応してるやついたぜ?」
「ちっ…」
ゲラゲラと笑ながら、さもおかしいという感じで机をバンバン叩いている。
俺はバカみたいに笑う山田を見ながら絶句していた。
さっき、雅樹に無防備すぎだとか、乳首見せんなとか言われた事を思い出した。
(俺、男だぜ?ノーマルな奴らが男みて楽しいわけねぇじゃん…)
だけど、何かしら反応を示しているって事は
雅樹の心配も的外れじゃないって事になるのか?
「ねぇねぇ。何かあったの?」
キラキラした目で俺をみるあずきさん。
「な、何か…て?」
「例えば、恋人ができたとか!」
「こい…い、いや。そんなんいない」
「えーっ。じゃあなにー?気になる!」
「そ、そんな事言われても…何もない…し」
何かあったとすれば、あいつらとの事だ。
そんなん言えるわけないし、それが原因とも思えない。
「そっかぁー。残念。てっきり…」
後半はもごもごして何を言っているか聞き取れなかった。
そして、俺ら3組の催し物はメイド&執事喫茶と女装喫茶おまけになった。
キワモノ企画だな…。
「うわーっ。小鳥遊君体毛うすーい!つるっつるー!
きゃー!ワキもつるつる!羨ましい!いや、憎らしいっ!!!」
「アイカは剛毛だもんねぇ…」
「そうなのよ!カミソリ負けとの戦いよ!!
お小遣貯まったら、即効で脱毛行くんだ!!」
「いってぇぇえええええ!!!」
「小松!我慢よっ!美はねぇ、痛みとの戦いなのよ!!」
俺の隣にいた小松がすね毛にたっぷり塗られたブラジリアンワックスをべりっと一気に剥がされて悶え苦しんでいる。
俺は元々体毛が薄くて、色もかなり薄いからほとんど処理しなくてもOKだと言われた。小松を見ていると喜んでいいのか、男としてそれでいいのかと複雑だ。
「お肌もトラブルなしの毛穴レスで唇もぷる艶?!なんなのっ!!!」
顔をガシッと両手で固定されて憎々し気に言われて困った。
「ちょっと小鳥遊君、どんなケアしてんのよ!教えなさいよ!」
「い、いや何もしてないってば…」
「きぃーーーっ!天然物だっていうの?!腹立つわーーー!髪の毛も癖もなくサラッサラで色素が薄いから綺麗!もう、完敗よっ!!」
「お、おう。ありがとう…?」
「どういたしまして!」
ふんすと鼻息をはき出しながら言われた。
今日は、本番に向けてのリハーサルで、本番さながらに準備をしている。
「小鳥遊君、ヘアメイク終わったらこっち着て着替えてー」
「わかった」
「あぁぁぁ…ヘアスタイル迷う。小鳥遊君絶対に化けるわよ!ちょっとさ、先に着替えてきて?それから決めよう」
「わ、わかった」
さっきから女子の勢いに押され気味だ。
メイド役の子たちは自分らで準備が終わって、俺らの手伝いに来てくれている。
気合が自分たちよりも入っているのは気のせいだろうか。
「さぁさぁ!さぁ!脱いで!潔く脱ぐのよ!」
簡易更衣室と化した天井から釣り下げた布をまくって入ると手をワキワキとさせた女子に言われて思わず後ずさりした。しかも、目を爛々と輝かせた女子が4名もいるんだが。怖い。
横を向くと、既に着替えた他の男子が他の女子に手籠めにされていた。
そんな表現がしっくりくるくらい、蹂躙されている。怖い。ちょっと目が死んでるぞ。
「んーーーー。小鳥遊君は、ウケ狙いはダメね。
これは本気で男の娘で萌えを狙うわよ」
「えぇ。分かってるわ。覚悟なさって?小鳥遊君」
「あなたを誰よりも美しくして差し上げますわ!」
「てなわけで、ちゃっちゃと脱いでくださらない?」
なんか言葉遣いもおかしくないか?猛獣の檻に入れられた草食動物の気分だ。
「小鳥遊君はブラは必要なし!でも…下の下着は良い物を用意したわ♡」
「い、嫌な予感しかしないんだけど」
「元々、投票数が多い男子には履いてもらう予定だったのよ!まぁ、ぶっちぎりで小鳥遊君が選ばれるだろうなとは思ってたけど!」
「それ、確信犯!鬼畜!」
「いやぁ~それほどでも」
「褒めてないからね?!」
「じゃ~ん!」
目の前にぴらりとかざされたそれは、
上品なレースがあしらわれた
「紐パン?!」
「そーなのー。絶対に似合うと思うの!これ、優勝賞品♪
お持ち帰りいただけるよ!」
「何の優勝?!いらないよ?!」
「まぁまぁまぁ…楽しんでおくれよ。ね?」
にやりと笑った女子にポンと肩を叩かれた。
その仄暗い笑顔に戦慄が走る。
「きゃーーーん!乳首かわいいー!色きれーい!エローい!!」
「お肌すべっすべー。気持ちいいーー!」
「ウェストほっそ!美脚!!」
「さ、触ってもいい?」
「ダメだからね?!」
生唾飲んで乳首見つめられながら言われて、俺のあるんだかないんだか分からない貞操の危機を覚える。
「うーむ。正直、ここまでエロいと思ってなかったわ。
乳首を透けさせちゃだめだから、ニップレスシール貼ろうか」
「そうだね。小鳥遊君はブラさせちゃったら逆にエロ半減」
うんうんと真剣に話し合って頷いている彼女らが怖くてたまらない。
メイド服は、執事に合わせて白シャツに黒スカート、胸元が深くあいた白エプロン。
もちろん?ミニスカートでゴスロリ風で裾にフリルが入っている。
スカートのウェストは切り返しの部分がリボンで編まれているのがポイントらしい。
胸元は黒の細めのネクタイ。リボン結びにしても良いとのこと。だがしかし、俺に選択権はない。全て、女子の言いなりである。
そして、女装男子だけガーターベルトでストッキングを吊るす仕様だ。なんでこんな力が入ってるんだ。
確かに可愛い。これを着ているのが男じゃなけりゃ垂涎ものだ。
服飾希望の女子が指揮を執って既製品に手直しをして作り上げた力作らしい。
「かっ…可愛いっ!想像以上だったわ!」
「これは、コンテスト優勝も夢じゃないわね」
「髪型はこのままマッシュボブでボーイッシュに仕上げるか、ウィッグつけるか迷いどころね」
「絶対領域がエロ…い」
さっきから最後だけおかしいんだけど!?
「小鳥遊…やべぇな。ぶっちゃけありとか思っちった」
着替えで入ってきていた小松が俺を見ながら言った。
…その赤い脛をタワシでこすってやろうか!
そんな小松は、胸に詰め物を詰めに詰めて爆乳になっている。どう見ても男という体に爆乳が笑いを誘う。
「うん。完璧。マジで美少女。でも、中性的な色気で最高」
「小鳥遊君、学校に蔓延る猿たちに犯されないでね?
暗くて人気のない所に1人でいっちゃダメだよ?」
「犯されないし、俺は男だし!」
「それがよりヤバイんじゃなーい!最近の小鳥遊君エッロいもん!」
「そのぷるぷるしている唇みてると、私もチューしたくなるわ」
ギョッとした。
女の子がそんなはしたない事いうんじゃありません。
「カラコンしちゃう?ちょっと、外国人風にしたい」
「え”?!やだ!目の中に異物入れたくない!」
「小鳥遊君、男は気合よ?」
「泣いたらメイクって崩れちゃうんじゃないの?
妹が初めてカラコンした時ぼろぼろ泣いてたけど」
「…慣れればいいのよ。えぇ。学際までに時間はあるわ」
「鬼畜!!!」
「だまらっしゃい!美とは痛みとの戦いよ!」
「ひぃ」
「小鳥遊、諦めろ…」
全てを悟ったような表情の小松に肩を叩かれた。
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