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王都ラウ
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ラウ国は砂海と外洋に面した砂漠と荒野の国だ。国土の九割が砂漠と荒野に覆われ、北部には大山脈をそびえさせている。大山脈の水は山脈に沿い、外洋へと流れているため、砂漠地帯へ水が運ばれることはない。それでも王都ラウは砂漠の真ん中にあって、広大なオアシスを有している。オアシスから水路を町へと引き込み、町は水の都市として山脈を超えて砂海に面する港湾都市ヨウラウへと向かう途中で水を補充するための重要なスポットとなっていた。王都となるだけあって広大な都市は活気にあふれている。
ラウ都に入るには大街道から砂漠部に入りおおそよ一日がかりになる。大街道にはラウへいく前の門前町が広がっておりそこで砂漠を横断するための荷物を作り上げる。砂漠の日中はあまりの暑さに動けず、砂漠の夜中はあまりの寒さに動けない。だが、夜に暖をとりながらすすむのがラウでは正しいのだ。風が吹きすさぶ日中は砂が舞い上がり視界を悪くする。ラウへといたる街道はあるものの砂によってかき消されその導を失えば、たちまち砂漠の中に放り出される。夜は風がやんでいるため、寒さに耐えられれば翌朝にはラウ都に到着する。夕方に差し掛かる前にラウ都の門前町にたどり着いた榛名たちは支度を整えてキャラバンを一路砂漠へと向けた。
「さすがに寒いね」
食堂に集まり、毛布にくるまりながら温かいお茶を飲む。暖房が効いているがそれでも寒い。時折走行を中断して運転手たちへ温かい御茶やスープを運んだりしていた。それでも順当に明け方にはラウ都入り口にたどり着いたのだ。中に入れてもらい、夜間通して砂漠を渡った者たちが一時的に仮眠を取ったり休憩できる宿へとなだれ込む。ラウ都は王城の背後を広大なオアシスに覆われていた。水はそこから引き、都市の中を駆け巡っている。周りに堀をしつらえ、門前は木と天幕でできた影があった。風を散らすために設えられた防風林のそばは木陰があって涼しく、またキャラバンは木陰に止めるようになっている。ラウ都の中まで入っていけるのはらくだや馬などの行商キャラバンだけ。榛名たちのように車で移動するキャラバンは行商であっても入り口に停車させておかなければならない。
「きれいな、ところですね」
明け方のまだ太陽が低い位置にある中でそこは幻想的な美しさを見せていた。金に染まる町並み。水面に映る朝日は光の粒を水面に躍らせる。美しさに誰もが門を抜けて固唾を呑んだ。大通りは一直線に王宮までのびており大通りの交差する四つ角は広場として中央に噴水が設えてある。遠く三箇所ほどそれを見て、宮殿を見る。質素といえば質素な外見のそれはそれでも背後にある水面の照り返しを受けていっそう金色に輝いているようにもみえた。
「一気に暑くなるからな、とりあえず休憩するか?」
仮休憩していた榛名たちに宿の主人が言う。
「ありがとうございます」
礼をいい、部屋を押さえる。小人族の女の子たちには悪いが大部屋を一つ。入り口で履物を脱いであがる。足の短い絨毯が敷き詰められ、その上には籐の敷物がおかれている。ローテーブルが二つほど離れて置かれ、クッションが山のように積まれていた。薄いブランケットもつまれており、みんなが雑魚寝できるようにしてある。全員が中に入り、主人がお茶の入ったポットと人数分の器を持ってきてくれた。
「寝たい人は寝てください」
「先生もですよ」
「はいはい」
榛名にコンが釘を刺す。運転手組が先に寝始め、女の子たちは自分たちの寝床を整える。クッションを引いて固まって眠りに落ちた。お茶を欲したのは榛名とノース。二人のところに村田が入り三人でお茶を飲む。時折たわいない話をしながら室内に入る光の量を調節する。どっちにしろ仮眠をとって王に面会を求めて、話を聞かなければならない。ただの崩落事故なのか。人為的なのかバグなのか。
「榛名先生、お休みになられてください。俺はまだ眠くありませんから」
「わしも。夜間眠れておるからの。先生方は寝るべきだろう。あのぐらいの温度なら大地族のわしらは平気だからな」
田村とノースの言葉に甘えることにして、二人はお茶を飲みながらしゃべっている。あいているところを探して体を横たえれば眠っていただろう小人族の女の子が寝ぼけながらもクッションを一つ渡してくれた。小さく礼をいい、彼女にブランケットをかけて自分もブランケットをかけるとすとんと眠りに落ちていった。
「だいぶ回復したぁ」
「松宮君と一緒に王に謁見してまいりますので、皆さんはおのおの自由に過ごしてください。夜には出立するつもりです」
背伸びをし、留守番をお願いすると二人は王城へ向けて歩き出した。照りつけるようなすべてのものに容赦しない強さを持つ日差しも、大通りに張り巡らされた天幕が涼しげな影を作り出している。大通りに面した店からは色とりどりの果物や美しい金細工などが並んでいた。賑やかな通りを歩きながら王城を目指す。門前で身分証と王への謁見を願い出ればすぐに受諾された。割と早いなと思いつつ重い門扉が開かれ、水の上にかかる橋を渡りながら王城へと進んでいった。
「すまんな。今忙しいところで、こちらに呼んだ」
あわただしく出入りする軍の人間を尻目に、呼ばれた部屋は会議を行うための広間のようであった。巨大なテーブルが中央に。その周りにずらりと並んだ椅子。過度すぎないがそれでも質素すぎない、贅沢なつくりはこの国にふさわしいような気もする。その会議室もあわただしく出入りする人間が多く、通された榛名と松宮は王の座る席の右隣に腰を下ろした。王の顔はテーブルに広げられた地図や資料の紙、そして空中に投影されているホログラムに注視している。お誕生日席といわれる場所に座り、報告を受けては左、榛名の対面に座る男が入力し、ホログラムが状況を逐一変化させていく。
「ええ。大山脈の山越えルートが崩落していると聞きました」
「さすが、術式者。情報が早いな。ここ一年ほど地震が多くなっていて、気をつけてはいたのだが、山肌が崩落してしまってな。山道を通っていた商業隊の一部と旅人たちが巻き添えになった。彼らを見つけるのと同時に土砂や岩などをどかして復旧させねばならないのだが、問題が起きた。術式者、これをみてくれ」
王の支持で画面が切り替わる。それまでは山の斜面と崩落した山肌がどの程度滑り落ちているのか。をみていたのだがホログラムは突如断面図を開いた。中に作為的な空間が広がっている。
「これはっ、ドラゴンの棲家」
「伝説上のものではないのか」
「伝説も伝説ですが、ここの古びた古文書が保管されている部屋に、おそらくあるはずです。ドラゴンに関する文献が。はるか昔、この大陸が空中に浮かんでいたころのものですけれど」
顔色が悪くなりながらも、榛名は告げる。ドラゴンという架空の存在は御伽噺のものだ。しかし、山の中にある人工的な空間は何かを告げていた。その調査に入ろうと思っていたところに、榛名がやってきた。王は好都合だと持ったが調査を依頼する前に答えがきたことに驚く。
「なぜ、知っている」
「術式者ですから。御伽噺というのはすべてがすべて作り物ではありません。そこに含まれているのは教訓だったりしますが、時折御伽噺の中に真実が潜んでいることもあります。ドラゴンは架空の御伽噺だ。だが居ないとはかかれていませんからね。問題は、そのドラゴンが目覚めてしまっている場合です。地震はドラゴンの目覚めを知らせているとなれば、ドラゴンの活動期に入るでしょう。そうすれば、ここのドラゴンは好戦的な種族だったように思えます。であれば、これが出てきたらおそらく人間に勝ち目はないでしょう。だって誰一人として会った事ないのですから」
「術式者だから知っているということか?」
「そうです。王よ、ドラゴンについては私が何とかしましょう。ですので軍の方々に私の指示に従うよう、命令書を頂きたく。封じるにしろ退治するにしろ、軍では相手になりません。それにすでに洞窟の入り口が開いているのではありませんか?」
「よくわかったな」
「行商隊が中に入らないようにしなければ、危険です」
「それはわかっているが内部構造すらわからないのだぞ。ただ、空間があるという報告だけは聞いた。だだっ広い空間でこのようになっていると。底までは見ていないが壁にそって道がしつらえてあるというのは聞いた。だが途中で引き返しているな。底から何かうなるような音を聞いたと言っていたが詳細は不明だ」
「ああ。目が覚めているのか。わかりました。内部はこちらでも調べます」
「何か策はあるのか?」
「あるとも、ないとも。見てみなければわかりませんが、できうる限りのことはしましょう」
「わかった。紙と筆をもて」
王は榛名の言葉に是を返し、書類を作成するために用意させた。直筆による署名を行う。したためた書状と王の署名捺印と封蝋によってそれが国王により発せられたものだとわかる。
「これを、ガウ大佐に渡してくれ。現場の指揮官だ。彼に言えば術式者殿の指示に従う。術式者殿、ご無事を祈る」
「ありがとうございます王」
礼を言い、書状を受け取ると腰を上げる。足早に王宮を後にする。
「せん、先生。急ぎすぎですって、どうしたんですか」
「やばいやばのやばば」
「先生が壊れた」
「壊れてません。うかつだった。というか本当に今の今まであの断面図見るまで百パーセント忘れてた」
「えっ、まさかドラゴンも先生が作ったとか言わないですよね」
「作った」
「は?」
水の上を渡る橋を抜け、門番に会釈して大通りを急ぐ。
「作ったんです。うっかり。このルート、人類総入れ替え十回記念のアトラクションなんです」
「あと? ま、ってください。アトラクションってすごい強いドラゴンでしょう? 友好的なの?」
「違いますよ。十回目の人類は魔法とドラゴンのファンタジー要素満載にしたんですよ。いいかな。このルートに入るまでに九回、人類は滅びないといけないということです。ぶっちゃけ不可能。お遊びで入れていたのですさまじい強さですよ。今の私でも勝てるかわからない」
「えっ」
「だから、うっかりだって言ったでしょう。ウイルス汚染された時に思い出せばよかったのですが、すっかり忘れていて。よく考えたら私の世界を滅ぼすといっているのにドラゴン出さないわけないよなーって」
「先生、馬鹿なの?」
「うるさいですよっ。これでも反省はしているんです。やばいとは思っているからあせっているんです」
足早に宿に戻る。出かけているものもいれば、ごろごろと休んでいるものもいる。
「お帰りなさい。先生。早かったですね」
「どうしました。何かありましたか?」
血相を変えている榛名にごろごろしていた組が体を起こした。
「ああ、ちょっと大変なことに。今すぐ出発したいのですが、さすがに天候を変えるのはまずいな。うぅん。日が落ちたら即座に出発します。荷物や物資の補給を済ませておいてください。向かうは大山脈のふもとにあるベルラウ市です」
その言葉にごろごろしていたものたちは体を起こす。今ここで買えないものはないが少し不安になっているものの補充や下水の処理と水の積み込みを行うために散っていった。
「はやっ」
「松宮君、私は今のうちに少しウイルスを殺すためにプログラム漬けになるから。ここの主人に夜に立つから一泊分の料金を払っておいて」
「あ、体を蝕んでるやつですか?え、それここで治療できるんですか?」
「完全には無理だけれど少し削ぐ。じゃないとドラゴン相手にウイルス背負ってはきついかな。せめて顔のウイルスぐらいはとらないと」
「いたくないんですか?」
「痛くないよ」
と、笑い、服を脱ぎ捨てていく。上半身裸となり、下半身は下着一枚。それにバスタオルを巻いてその左半身を覆う赤黒いウイルスに松宮は悲鳴を飲み込んだ。赤く鈍く点滅を繰り返すそれは、左半身を覆っていた。つま先から首まで。右側に侵食していないのはその境目で榛名の対抗ウイルスが戦っているからだ。蠢くウイルスのプログラムが時折走る。
「よろしくね」
そういうと自分自身を包み込むように真っ白いプログラムを展開させる。ローソファーに体を横たえるかのようにテーブルの傍に横たわり、繭のように柔らかな光に包み込まれた榛名は外界との意識を遮断した。
「先生、手配してきましたよ。っなにしてんだてめえ!」
ローテーブルに腰掛けている男に驚き、声を荒げる。繭の中でゆるりと漂いながら、時折体から赤黒いプログラムが抜け出しては消滅する。真っ白い柔らかなプログラムは半透明で榛名が中でふわりと浮いていることがわかった。目は閉じられているが時折、背中を反らせる。胸から、足から出てくるプログラムはまだ出たくないと抵抗しうねり、それでも引きずり出されて消滅する。白いプログラムが時折中に入り込む。その榛名の傍でローテーブルにすわり、足を組んでそれを眺めている男がいた。
「うるさいぞ。犬」
「犬じゃねえ。先生にさわんな!」
「触っても居ない。見ているだけだ」
冷ややかに言い返され、確かに見ているだけだが警戒を怠らず繭とその男の間に防御壁を展開させる。
「何もしていない。見ているだけだと言っただろう」
「てめぇ、何しにきやがった」
「躾もなってないな。お前のほうがうるさいぞ。こいつを見に来たと言ってるだろ」
天野はそう言って眠る榛名を眺める。
「実に来てどうしようというんだ。先生に指一本でも触れてみろ、ゆるさねえからな」
「ワンワンは少しおとなしくしてましょうね」
馬鹿にしたように告げ、松宮を指す。きゅうと松宮の体を締め上げる光のロープはもがいても解けそうにない。
「離せ!くそっ!」
「うるさい」
ぎゅうと口を閉ざされる。どんなにがんばっても開く事のできない口に驚くが光のロープは全身に巻きついているので足も動かせない。倒れないようにわずかに宙吊りにされていることも腹が立つが、天野は目の前の防御壁などなかったかのように榛名の繭に手を触れた。ゆっくりと榛名を包み、くるくると回っていたプログラムの帯が天野を攻撃する。思わず手を引っ込めたがそれでももう一度触れると手首まで中に侵食させた。
「榛名。聞こえるだろう。聞け。信じるも信じないもお前しだいだ。あいつらは私を媒介に、このゼロレイヤーに攻め入る気だ。まず、お前の星をすべて侵略してしまい、ウイルスを使って第五レイヤーの飛び地を作る。あいつらは上位レイヤーの戒めによって第四レイヤーを抜けることができない。そこで、私の体を改造し、媒介とすることでこちらにこようとしている。飛び地を作ってしまえば、上位の戒めなんて意味を成さない。現に今は私の体を媒体にそれでもわずかな時間しか干渉できない。お前が見たようにノイズが混じる。こちらにわたることができない。干渉もわずかな時間しかできないのだ。だからお前に告げる。私を殺せ。私を殺して橋を壊せ。私はあいつらとここの橋渡しの役目を負う。もう時間がない。頼んだぞ。榛名」
ピクリと、眠っているだろう榛名のまぶたが動く。うっすらと明けられた目は、ぼんやりと天野を捉える。その表情に天野は少しだけ微笑を浮かべると友の名を呼び、ぶつりと接続が切れたように掻き消える。音を立てて消えた戒めにどざりと崩れ落ちて両手をついた。呼吸を整え、榛名を包み込む白い光を見る。榛名はまた眠りについたのか穏やかだ。生体スキャンを行い、プログラム共々落ち着いていること、急激な変化がないことがわかって安心する。榛名自身に攻撃を加えていないだけで胸をなでおろした。
「どういうことだ。先生に殺されたがっているとか、何で」
眠っている榛名に伝わっているのかどうかはわからない。起きるのを待つしかないのだ。不安な気持ちを抑えながらただひたすら、榛名が目覚めるのを待っていた。
「先生、大丈夫ですか?」
しゅるしゅると榛名を取り巻いていた繭が解かれていく。繭の中で目を覚ました榛名は繭をおろした。籐の敷物の上に着地させて消える。
「あっ、顔はきれいになったけど目ぇ!黒い範囲が狭くなりましたけど、完全に消えないんですね」
「背中どうなってる?」
「失礼します」
立ち上がり、ズボンをはきながら榛名が聞けば松宮は背中をみながら内側で戦っている対抗ウイルスの境界を背中になぞる。
「ここです。さっき繭に入る前はここでした。背骨よりでしたが肩甲骨の辺りまで引いてます」
「それなら重畳。思ったより対抗ウイルスががんばってくれたおかげです。対抗ウイルスはさっきので入れたから後は、出発準備を待つだけか」
「先生、さっきあの人来ました。追い返せずすみません」
眉をひそめて告げる松宮にてきぱきと服を着込んだ榛名がああと告げる。
「君と彼じゃあ圧倒的に力の差がありすぎるから追い返せるはずがないでしょう。私でも無理ですよ」
「え」
「次元が違う。本当に、私の次元と彼の現在の次元は違いすぎている。それに、あいつの言葉はちゃんと伝わっているので、大丈夫。しかしろくでもないことを押し付けてくれる」
目を細めて苦笑いを浮かべる榛名に松宮は声を上げる。
「先生、俺が何か手伝えることはないんですか?」
「あるよ」
わずかに目を見開いた榛名がきっぱりと言い切る。
「え」
「君には神様になってもらう。私の変わりに」
「え?」
自分から声を上げたものの榛名の言っている意味がわからず、聞き返す。にやりと極悪人のような笑みを浮かべて、榛名は告げた。
「さぁ、死んでもらうよ。松宮君」
ラウ都に入るには大街道から砂漠部に入りおおそよ一日がかりになる。大街道にはラウへいく前の門前町が広がっておりそこで砂漠を横断するための荷物を作り上げる。砂漠の日中はあまりの暑さに動けず、砂漠の夜中はあまりの寒さに動けない。だが、夜に暖をとりながらすすむのがラウでは正しいのだ。風が吹きすさぶ日中は砂が舞い上がり視界を悪くする。ラウへといたる街道はあるものの砂によってかき消されその導を失えば、たちまち砂漠の中に放り出される。夜は風がやんでいるため、寒さに耐えられれば翌朝にはラウ都に到着する。夕方に差し掛かる前にラウ都の門前町にたどり着いた榛名たちは支度を整えてキャラバンを一路砂漠へと向けた。
「さすがに寒いね」
食堂に集まり、毛布にくるまりながら温かいお茶を飲む。暖房が効いているがそれでも寒い。時折走行を中断して運転手たちへ温かい御茶やスープを運んだりしていた。それでも順当に明け方にはラウ都入り口にたどり着いたのだ。中に入れてもらい、夜間通して砂漠を渡った者たちが一時的に仮眠を取ったり休憩できる宿へとなだれ込む。ラウ都は王城の背後を広大なオアシスに覆われていた。水はそこから引き、都市の中を駆け巡っている。周りに堀をしつらえ、門前は木と天幕でできた影があった。風を散らすために設えられた防風林のそばは木陰があって涼しく、またキャラバンは木陰に止めるようになっている。ラウ都の中まで入っていけるのはらくだや馬などの行商キャラバンだけ。榛名たちのように車で移動するキャラバンは行商であっても入り口に停車させておかなければならない。
「きれいな、ところですね」
明け方のまだ太陽が低い位置にある中でそこは幻想的な美しさを見せていた。金に染まる町並み。水面に映る朝日は光の粒を水面に躍らせる。美しさに誰もが門を抜けて固唾を呑んだ。大通りは一直線に王宮までのびており大通りの交差する四つ角は広場として中央に噴水が設えてある。遠く三箇所ほどそれを見て、宮殿を見る。質素といえば質素な外見のそれはそれでも背後にある水面の照り返しを受けていっそう金色に輝いているようにもみえた。
「一気に暑くなるからな、とりあえず休憩するか?」
仮休憩していた榛名たちに宿の主人が言う。
「ありがとうございます」
礼をいい、部屋を押さえる。小人族の女の子たちには悪いが大部屋を一つ。入り口で履物を脱いであがる。足の短い絨毯が敷き詰められ、その上には籐の敷物がおかれている。ローテーブルが二つほど離れて置かれ、クッションが山のように積まれていた。薄いブランケットもつまれており、みんなが雑魚寝できるようにしてある。全員が中に入り、主人がお茶の入ったポットと人数分の器を持ってきてくれた。
「寝たい人は寝てください」
「先生もですよ」
「はいはい」
榛名にコンが釘を刺す。運転手組が先に寝始め、女の子たちは自分たちの寝床を整える。クッションを引いて固まって眠りに落ちた。お茶を欲したのは榛名とノース。二人のところに村田が入り三人でお茶を飲む。時折たわいない話をしながら室内に入る光の量を調節する。どっちにしろ仮眠をとって王に面会を求めて、話を聞かなければならない。ただの崩落事故なのか。人為的なのかバグなのか。
「榛名先生、お休みになられてください。俺はまだ眠くありませんから」
「わしも。夜間眠れておるからの。先生方は寝るべきだろう。あのぐらいの温度なら大地族のわしらは平気だからな」
田村とノースの言葉に甘えることにして、二人はお茶を飲みながらしゃべっている。あいているところを探して体を横たえれば眠っていただろう小人族の女の子が寝ぼけながらもクッションを一つ渡してくれた。小さく礼をいい、彼女にブランケットをかけて自分もブランケットをかけるとすとんと眠りに落ちていった。
「だいぶ回復したぁ」
「松宮君と一緒に王に謁見してまいりますので、皆さんはおのおの自由に過ごしてください。夜には出立するつもりです」
背伸びをし、留守番をお願いすると二人は王城へ向けて歩き出した。照りつけるようなすべてのものに容赦しない強さを持つ日差しも、大通りに張り巡らされた天幕が涼しげな影を作り出している。大通りに面した店からは色とりどりの果物や美しい金細工などが並んでいた。賑やかな通りを歩きながら王城を目指す。門前で身分証と王への謁見を願い出ればすぐに受諾された。割と早いなと思いつつ重い門扉が開かれ、水の上にかかる橋を渡りながら王城へと進んでいった。
「すまんな。今忙しいところで、こちらに呼んだ」
あわただしく出入りする軍の人間を尻目に、呼ばれた部屋は会議を行うための広間のようであった。巨大なテーブルが中央に。その周りにずらりと並んだ椅子。過度すぎないがそれでも質素すぎない、贅沢なつくりはこの国にふさわしいような気もする。その会議室もあわただしく出入りする人間が多く、通された榛名と松宮は王の座る席の右隣に腰を下ろした。王の顔はテーブルに広げられた地図や資料の紙、そして空中に投影されているホログラムに注視している。お誕生日席といわれる場所に座り、報告を受けては左、榛名の対面に座る男が入力し、ホログラムが状況を逐一変化させていく。
「ええ。大山脈の山越えルートが崩落していると聞きました」
「さすが、術式者。情報が早いな。ここ一年ほど地震が多くなっていて、気をつけてはいたのだが、山肌が崩落してしまってな。山道を通っていた商業隊の一部と旅人たちが巻き添えになった。彼らを見つけるのと同時に土砂や岩などをどかして復旧させねばならないのだが、問題が起きた。術式者、これをみてくれ」
王の支持で画面が切り替わる。それまでは山の斜面と崩落した山肌がどの程度滑り落ちているのか。をみていたのだがホログラムは突如断面図を開いた。中に作為的な空間が広がっている。
「これはっ、ドラゴンの棲家」
「伝説上のものではないのか」
「伝説も伝説ですが、ここの古びた古文書が保管されている部屋に、おそらくあるはずです。ドラゴンに関する文献が。はるか昔、この大陸が空中に浮かんでいたころのものですけれど」
顔色が悪くなりながらも、榛名は告げる。ドラゴンという架空の存在は御伽噺のものだ。しかし、山の中にある人工的な空間は何かを告げていた。その調査に入ろうと思っていたところに、榛名がやってきた。王は好都合だと持ったが調査を依頼する前に答えがきたことに驚く。
「なぜ、知っている」
「術式者ですから。御伽噺というのはすべてがすべて作り物ではありません。そこに含まれているのは教訓だったりしますが、時折御伽噺の中に真実が潜んでいることもあります。ドラゴンは架空の御伽噺だ。だが居ないとはかかれていませんからね。問題は、そのドラゴンが目覚めてしまっている場合です。地震はドラゴンの目覚めを知らせているとなれば、ドラゴンの活動期に入るでしょう。そうすれば、ここのドラゴンは好戦的な種族だったように思えます。であれば、これが出てきたらおそらく人間に勝ち目はないでしょう。だって誰一人として会った事ないのですから」
「術式者だから知っているということか?」
「そうです。王よ、ドラゴンについては私が何とかしましょう。ですので軍の方々に私の指示に従うよう、命令書を頂きたく。封じるにしろ退治するにしろ、軍では相手になりません。それにすでに洞窟の入り口が開いているのではありませんか?」
「よくわかったな」
「行商隊が中に入らないようにしなければ、危険です」
「それはわかっているが内部構造すらわからないのだぞ。ただ、空間があるという報告だけは聞いた。だだっ広い空間でこのようになっていると。底までは見ていないが壁にそって道がしつらえてあるというのは聞いた。だが途中で引き返しているな。底から何かうなるような音を聞いたと言っていたが詳細は不明だ」
「ああ。目が覚めているのか。わかりました。内部はこちらでも調べます」
「何か策はあるのか?」
「あるとも、ないとも。見てみなければわかりませんが、できうる限りのことはしましょう」
「わかった。紙と筆をもて」
王は榛名の言葉に是を返し、書類を作成するために用意させた。直筆による署名を行う。したためた書状と王の署名捺印と封蝋によってそれが国王により発せられたものだとわかる。
「これを、ガウ大佐に渡してくれ。現場の指揮官だ。彼に言えば術式者殿の指示に従う。術式者殿、ご無事を祈る」
「ありがとうございます王」
礼を言い、書状を受け取ると腰を上げる。足早に王宮を後にする。
「せん、先生。急ぎすぎですって、どうしたんですか」
「やばいやばのやばば」
「先生が壊れた」
「壊れてません。うかつだった。というか本当に今の今まであの断面図見るまで百パーセント忘れてた」
「えっ、まさかドラゴンも先生が作ったとか言わないですよね」
「作った」
「は?」
水の上を渡る橋を抜け、門番に会釈して大通りを急ぐ。
「作ったんです。うっかり。このルート、人類総入れ替え十回記念のアトラクションなんです」
「あと? ま、ってください。アトラクションってすごい強いドラゴンでしょう? 友好的なの?」
「違いますよ。十回目の人類は魔法とドラゴンのファンタジー要素満載にしたんですよ。いいかな。このルートに入るまでに九回、人類は滅びないといけないということです。ぶっちゃけ不可能。お遊びで入れていたのですさまじい強さですよ。今の私でも勝てるかわからない」
「えっ」
「だから、うっかりだって言ったでしょう。ウイルス汚染された時に思い出せばよかったのですが、すっかり忘れていて。よく考えたら私の世界を滅ぼすといっているのにドラゴン出さないわけないよなーって」
「先生、馬鹿なの?」
「うるさいですよっ。これでも反省はしているんです。やばいとは思っているからあせっているんです」
足早に宿に戻る。出かけているものもいれば、ごろごろと休んでいるものもいる。
「お帰りなさい。先生。早かったですね」
「どうしました。何かありましたか?」
血相を変えている榛名にごろごろしていた組が体を起こした。
「ああ、ちょっと大変なことに。今すぐ出発したいのですが、さすがに天候を変えるのはまずいな。うぅん。日が落ちたら即座に出発します。荷物や物資の補給を済ませておいてください。向かうは大山脈のふもとにあるベルラウ市です」
その言葉にごろごろしていたものたちは体を起こす。今ここで買えないものはないが少し不安になっているものの補充や下水の処理と水の積み込みを行うために散っていった。
「はやっ」
「松宮君、私は今のうちに少しウイルスを殺すためにプログラム漬けになるから。ここの主人に夜に立つから一泊分の料金を払っておいて」
「あ、体を蝕んでるやつですか?え、それここで治療できるんですか?」
「完全には無理だけれど少し削ぐ。じゃないとドラゴン相手にウイルス背負ってはきついかな。せめて顔のウイルスぐらいはとらないと」
「いたくないんですか?」
「痛くないよ」
と、笑い、服を脱ぎ捨てていく。上半身裸となり、下半身は下着一枚。それにバスタオルを巻いてその左半身を覆う赤黒いウイルスに松宮は悲鳴を飲み込んだ。赤く鈍く点滅を繰り返すそれは、左半身を覆っていた。つま先から首まで。右側に侵食していないのはその境目で榛名の対抗ウイルスが戦っているからだ。蠢くウイルスのプログラムが時折走る。
「よろしくね」
そういうと自分自身を包み込むように真っ白いプログラムを展開させる。ローソファーに体を横たえるかのようにテーブルの傍に横たわり、繭のように柔らかな光に包み込まれた榛名は外界との意識を遮断した。
「先生、手配してきましたよ。っなにしてんだてめえ!」
ローテーブルに腰掛けている男に驚き、声を荒げる。繭の中でゆるりと漂いながら、時折体から赤黒いプログラムが抜け出しては消滅する。真っ白い柔らかなプログラムは半透明で榛名が中でふわりと浮いていることがわかった。目は閉じられているが時折、背中を反らせる。胸から、足から出てくるプログラムはまだ出たくないと抵抗しうねり、それでも引きずり出されて消滅する。白いプログラムが時折中に入り込む。その榛名の傍でローテーブルにすわり、足を組んでそれを眺めている男がいた。
「うるさいぞ。犬」
「犬じゃねえ。先生にさわんな!」
「触っても居ない。見ているだけだ」
冷ややかに言い返され、確かに見ているだけだが警戒を怠らず繭とその男の間に防御壁を展開させる。
「何もしていない。見ているだけだと言っただろう」
「てめぇ、何しにきやがった」
「躾もなってないな。お前のほうがうるさいぞ。こいつを見に来たと言ってるだろ」
天野はそう言って眠る榛名を眺める。
「実に来てどうしようというんだ。先生に指一本でも触れてみろ、ゆるさねえからな」
「ワンワンは少しおとなしくしてましょうね」
馬鹿にしたように告げ、松宮を指す。きゅうと松宮の体を締め上げる光のロープはもがいても解けそうにない。
「離せ!くそっ!」
「うるさい」
ぎゅうと口を閉ざされる。どんなにがんばっても開く事のできない口に驚くが光のロープは全身に巻きついているので足も動かせない。倒れないようにわずかに宙吊りにされていることも腹が立つが、天野は目の前の防御壁などなかったかのように榛名の繭に手を触れた。ゆっくりと榛名を包み、くるくると回っていたプログラムの帯が天野を攻撃する。思わず手を引っ込めたがそれでももう一度触れると手首まで中に侵食させた。
「榛名。聞こえるだろう。聞け。信じるも信じないもお前しだいだ。あいつらは私を媒介に、このゼロレイヤーに攻め入る気だ。まず、お前の星をすべて侵略してしまい、ウイルスを使って第五レイヤーの飛び地を作る。あいつらは上位レイヤーの戒めによって第四レイヤーを抜けることができない。そこで、私の体を改造し、媒介とすることでこちらにこようとしている。飛び地を作ってしまえば、上位の戒めなんて意味を成さない。現に今は私の体を媒体にそれでもわずかな時間しか干渉できない。お前が見たようにノイズが混じる。こちらにわたることができない。干渉もわずかな時間しかできないのだ。だからお前に告げる。私を殺せ。私を殺して橋を壊せ。私はあいつらとここの橋渡しの役目を負う。もう時間がない。頼んだぞ。榛名」
ピクリと、眠っているだろう榛名のまぶたが動く。うっすらと明けられた目は、ぼんやりと天野を捉える。その表情に天野は少しだけ微笑を浮かべると友の名を呼び、ぶつりと接続が切れたように掻き消える。音を立てて消えた戒めにどざりと崩れ落ちて両手をついた。呼吸を整え、榛名を包み込む白い光を見る。榛名はまた眠りについたのか穏やかだ。生体スキャンを行い、プログラム共々落ち着いていること、急激な変化がないことがわかって安心する。榛名自身に攻撃を加えていないだけで胸をなでおろした。
「どういうことだ。先生に殺されたがっているとか、何で」
眠っている榛名に伝わっているのかどうかはわからない。起きるのを待つしかないのだ。不安な気持ちを抑えながらただひたすら、榛名が目覚めるのを待っていた。
「先生、大丈夫ですか?」
しゅるしゅると榛名を取り巻いていた繭が解かれていく。繭の中で目を覚ました榛名は繭をおろした。籐の敷物の上に着地させて消える。
「あっ、顔はきれいになったけど目ぇ!黒い範囲が狭くなりましたけど、完全に消えないんですね」
「背中どうなってる?」
「失礼します」
立ち上がり、ズボンをはきながら榛名が聞けば松宮は背中をみながら内側で戦っている対抗ウイルスの境界を背中になぞる。
「ここです。さっき繭に入る前はここでした。背骨よりでしたが肩甲骨の辺りまで引いてます」
「それなら重畳。思ったより対抗ウイルスががんばってくれたおかげです。対抗ウイルスはさっきので入れたから後は、出発準備を待つだけか」
「先生、さっきあの人来ました。追い返せずすみません」
眉をひそめて告げる松宮にてきぱきと服を着込んだ榛名がああと告げる。
「君と彼じゃあ圧倒的に力の差がありすぎるから追い返せるはずがないでしょう。私でも無理ですよ」
「え」
「次元が違う。本当に、私の次元と彼の現在の次元は違いすぎている。それに、あいつの言葉はちゃんと伝わっているので、大丈夫。しかしろくでもないことを押し付けてくれる」
目を細めて苦笑いを浮かべる榛名に松宮は声を上げる。
「先生、俺が何か手伝えることはないんですか?」
「あるよ」
わずかに目を見開いた榛名がきっぱりと言い切る。
「え」
「君には神様になってもらう。私の変わりに」
「え?」
自分から声を上げたものの榛名の言っている意味がわからず、聞き返す。にやりと極悪人のような笑みを浮かべて、榛名は告げた。
「さぁ、死んでもらうよ。松宮君」
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