【R18】深淵の女王 -私が君を「女の子」にしてあげる-

杏野 音

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3章.花園の茶会

8.令嬢の嗜み(たしなみ)①

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水本さんの運転する車は繁華街へ向かって走っていた。

「ユキ、この間は悪かったわね。まさか急に呼び出されるとは思わなかったわ」
珍しく羽川さんが決まり悪そうにつぶやいた。
「ううん、それはいいんだけど沙耶ちゃんは大丈夫だったの?」
「まぁね、慣れっこといえば慣れっこだし。本家のお義母かあさん、よっぽど私のことが気に入らないのね。どうでもいいことをネチネチ2時間も突つかれちゃったわ」
「色々大変なのね……。それで、これからどこに向かうの?」
「今日はちょっとしたお買い物に行くわ。ユキと一緒に行きたかったの」
「え? このままで……?」
「そうよ、もう何度も着てるから慣れたでしょ?」
羽川さんはそう言って笑ったけれど、僕は内心穏やかではいられなかった。
今日も羽川さんの屋敷に行っていつものように「女の子」になった。だけどその後はあの「赤い部屋」に向かわずに、羽川さんは「出かけるわよ」と言って、瀧川女子高の制服を着たままの僕を連れて車に乗り込んだ。

屋敷の中なら確かに慣れたけど、このまま街に出るとなると……。
もし、知ってる人に会ったりしたらどうしよう。

「大丈夫よ。こんなに可愛くなってたら誰も『泉君』なんて思わないわ。制服も他校だし、人の目って割と印象だけでごまかされちゃうものよ」
僕の不安を見透かしたように羽川さんが笑う。
「……そういえば、沙耶ちゃんはどうしてこの制服を持ってるの?」
以前から疑問に思っていたことがつい口に出てしまった。
「ん? この間永田とたくさんおしゃべりしてたみたいだから、その話もしたのかと思ってたけど」
「ううん、してないよ」
「そう……じゃあ永田はなんの話をしたのかしら」
「それは……」

あの時の話の内容ももちろんだけど、永田さんのことが話題に上がるといやでも鼓動が上がってしまう。
さっきメイクをするために向き合っていた時も動揺が出ないようにするのに必死だった。
永田さんはいつもと全く変わらない様子だったけど、あれが大人の女の人というものなんだろうか。

###

あの日、僕は永田さんに手を引かれて「洗い場」へと向かった。
決して強い力ではなかったけど、何か拒否できない雰囲気を感じた。
「洗い場」に入ると、永田さんは手慣れた手つきで僕の着ているものを脱がせていった。下着を下ろされた時は思わず股間を手で隠したけど、シャワーの前に立つと、永田さんは手を下ろすように促した。
僕は諦めて「気をつけ」のような姿勢をとった。
なんとか静まっていることを期待したが、僕の肉棒は硬く屹立したままだった。
永田さんはそれをチラリと見ただけで、弱めのお湯で僕の肩から流し始めた。
一通り流し終えると、一度お湯を止めて永田さんは泡状の石鹸を手にとり僕の前に立った。
それを僕の胸からお腹にかけて延ばしていく。
それだけでゾクゾクとした感触に体が震えた。
指先がへその下のあたりまで来たとき、永田さんが僕の前に屈む姿勢をとった。
もう、僕の肉棒は永田さんの目の前にある。
「あっ」
何も言わずに、永田さんが僕の肉棒の先端から根元に向かって泡を塗りつけた。
そのまま、指先をふくろの下へと滑り込ませる。
「ひ、あっ、あ」
ヌルヌルとした泡が馴染んだ嚢を、永田さんの柔らかいてのひらが優しく包んで転がした。
それだけでも快楽に征服されそうになるのに、永田さんのもう片方の手が僕の肉棒を握りゆっくりと上下動を始めた。
「あっ、ああ、永田さん、そんなことされたら、僕、僕!」
それでも永田さんは許してはくれない。
「こんなの、沙耶、ちゃんに、知られたら……あっ」
永田さんは無言のまま自分の唇の前に人差し指を立てた。

それって、秘密ってこと……?

再び永田さんの指が僕の肉棒に絡みついた。
今度は人差し指で肉棒の先端を擦りながら残りの指で亀頭を包んで揉みほぐすように愛撫される。
「ああ、あん、ダメ、永田さんっ、それ気持ち良すぎる! もう、もう僕」
射精する、そう思った時だった。
亀頭から手を放した永田さんがギュッと肉棒の根元を掴んだ。
「うっ」
僕の肉棒は、大きく二度、三度と痙攣したものの、精液を吐き出すことはなかった。
痙攣が治まってきたころを待って、永田さんの指が再び僕の亀頭を包み愛撫を始める。
「ひゃ、ああっ、前よりも、気持ちよく、あっ、ひっ!」
本当に感度が何倍にも上がったような気がした。
狂いそうな快楽に、僕はまたすぐに限界を迎えた。
「永田さん、も、もう出る」
しかし、永田さんは亀頭から手を離すと再び肉棒の根元を強く握る。
「ひっ! んぐ、んん!」
またもや僕の肉棒は暴れただけで精液を吐き出すことは叶わなかった。
痙攣が治まると、三度みたび永田さんの指が亀頭を包んだ。
「ああっ、永田さぁん、お願いです、もう、いかせてくださぁい」
僕は呆けたように永田さんに懇願していた。
嚢から肉棒にかけて精液がパンパンに詰まっているような苦しさがあった。もしもこのまま続けられたら、気が触れてしまうかもしれないような地獄の快楽だった。
僕はガクガクと腰を震わせながら解放の時を願った。
僕の様子を見ていた永田さんが、肉棒を持ち替えて一気に素早く指を上下させ始めた。
「あっ、ああ」
赦しが出たのだと思った。
僕は体の奥底からこみ上げてくる波に身を任せた。
「永田さん、いきます、いきます、ああっ!」
僕の肉棒が歓喜に激しく震えながら、次々と精液を吐き出した。
飛び出たものを受けるように、永田さんが亀頭の上に手をかざす。
その掌を、僕の精液がドロドロに汚していく。
嚢の中身を全て出し切ったような放出感に、僕は涙を浮かべながらそれを見届けた。

呼吸が落ち着き始めたころ、我に返った。
「あ、ごめんなさい。手を汚してしまって」
永田さんは、僕の精液にまみれた手を鼻先まで持っていって匂いを嗅ぐと、立ち上がって表情を変えないまま「お気になさらずに」と言った。
「さあ、お流しいたしましょう」
そして、再びシャワーを手にすると優しく僕の体を流してくれた。

###

「……沙耶ちゃんの、昔の話とかだよ」
羽川さんは僕をじっと見つめた後、「まぁいいわ」とだけ言って車窓に視線を向けた。
「もうすぐ着くわよ」
繁華街の中心部まで来ていた車は、大通りを横に入ったすぐのところで止まった。
「さぁ行きましょ。水本、2時間くらいしたら呼ぶからその辺で待ってて」
「かしこまりました」
車を降りた先は、この街でも高級な服やバッグ等を扱う店が多い一角だった。
「こっちよ」
羽川さんについてたどり着いたのは、ショーウインドウにカラフルで艶めかしい下着が飾られた、高級女性用下着のお店だった。
「ここ……?」
「そうよ、ここで買い物がしたいの。ユキに似合うものもあると思うわ」

ここで買うものって、当然……。

羽川さんの姿を認めたお店の人が外まで出てきて出迎える。
「ほら、いくわよ」
楽しそうに微笑む羽川さんに対して、僕は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。




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