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2章.変化(へんげ)の儀式

6.洗礼③

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「さあ、こっちよ」
羽川さんに手を引かれて、僕は更に屋敷の奥へと進んでいった。
やがて重厚な木製の扉に突き当たったところで、羽川さんが振り返る。
「私がここに他人ひとを入れるのは初めてかもしれないわ、ねえ永田」
永田さんは無言で小さく頷いた。
含み笑いを浮かべて、羽川さんが先ほどのカギを鍵穴に差し込む。
ガチャリと硬い音がして、扉がゆっくりと開いた。
「ようこそ、ユキ」

その部屋は、今まで見てきた屋敷の他の部屋と比べて異質の空間だった。
床は落ち着いた色合いの木の板張りだが、四方の壁は全て赤色で統一されている。家具の類はそれほど多くはないが、部屋の真ん中には直径が2メートル以上はありそうな円形のベッドのようなものが置いてあった。
「……この部屋は?」
「部屋より先にこっちを見たほうが話が早いかしら」
そういうと、羽川さんは僕達が入ってきた扉の横にある別のドアを指差した。
永田さんがそのドアを開けると、中は薄暗い小部屋だった。
羽川さんに手を引かれて小部屋に入ると、そこには壁の両側にガラス扉の付いたコレクション棚のような家具が置かれていた。
何気なく1つのガラス扉の中を覗くと、そこには大小さまざまな何かの塑像のようなものがいくつも並んでいた。

一体なんなのだろう--。

眺めているうちに、僕は唐突にその正体に気がついた。
実際に目にするのは初めてだったが、これは間違いなく--。
「沙耶ちゃん、これって……」
「わかった? バイブ、ディルド、ローター……いわゆる大人の玩具というものね」
それにしても、この種類と数は……。
「これだけじゃないわ。拘束器具に浣腸器……苦痛と快楽を与えるためのありとあらゆる道具が揃った悪趣味なコレクション。ふふ、『どうしてそんなものが』って顔してるわね」
僕は言葉を発することができずに小さく頷いた。
「それはね、私の父が楽しんでいたからよ。これを使った母との行為を」
羽川さんがガラス扉の1つを開けて、中を覗きながら話を続けた。
「妻の陽子は名家のお嬢さんらしいから、お上品過ぎてきっと父の欲求は満たされなかったんでしょうね。だから--」
羽川さんが棚から何かを取り出す。それは一見、握り拳を握った男の人の肘から先をかたどったものに見えた。だけど、すぐにそれが間違いだとわかる。
「こんな馬鹿げたもので母を蹂躙して楽しんだのよ」
羽川さんが手にしているのは、とても実在するとは思えないような大きさの、男の人の肉棒を模した玩具だった。
「幼稚よね、こんなものを使えば女が喜ぶと思ってるのかしら。……ああ、でも中にはいるかもしれないわね」
羽川さんがチラッと永田さんを見る。
永田さんは無言のまま立っていた。
「でも、こんなものでもこれから少しは役には立ちそうだわ。ねぇユキ?」
「え……。それを、使うの?」
「ああ、大丈夫よ、心配しなくていいわ。ユキが壊れちゃうようなことはしないから」
そう言うと羽川さんは再び棚の中を物色し始める。
「これかしら?」
羽川さんが取り出したのは、ビー玉くらいの大きさの玉が連なった棒状のものだった。
「永田、洗浄して準備しておいて」
「かしこまりました」
永田さんに後を任せると、僕と羽川さんは赤い部屋に戻り円形のベッドに腰掛けた。
「この部屋って、窓の外は生け垣しか見えないでしょう?」
たしかに、いくつかある窓の外はどれも緑の葉しか見えない。
「屋敷の中でもこの部屋の周りだけは二重に生け垣が植えられているのよ。そのせいか父と母はカーテンも閉めずに、ここでいつも乱れた行為に耽っていたわ」
「沙耶ちゃんは、それを知ってたの?」
「そうよ、今はちょっと厳しいかもしれないけど、その生け垣の一部には枝の薄いところがあって、昔はそこから潜り込めたのよ」
何かを思い出したように羽川さんが吹き出す。
「もう悪徳の極みって感じよ。天井から逆さまに吊り下げられた母のに、燭台みたいに燃える蝋燭が立っていたこともあったし、どこから連れてきたのか知らないけど、別の女と母のを太い玩具で連結させたまま父が鞭を打ってるところも見たことがあるわ」
笑う羽川さんの瞳がジワリと面積を増し、奈落のような深い闇を帯びる。
「そんなのが、地域の名士と呼ばれる人間の本性……」
「沙耶ちゃん……」
「ふふ、でも私もそんなヒトデナシの血を十分に受け継いでるから偉そうなことは言えないわね」
その時、永田さんが先ほどの玩具と何かのビンのようなものを持ってベッドまでやってきた。
「うん、準備できたのね。それじゃユキ、ベッドの上に這って。お尻は高く上げるのよ」
「ここで?」
「そう、さぁ早く」
何度目かの羽川さんからの命令を僕には逆らう気力もなく、言われたとおりの姿勢をとった。
永田さんが僕の背後に周り制服のスカートをめくり上げ、下着を足の付け根まで下ろす。
「これから、ユキの女の子の部分を引き出してあげるわ」
お尻の穴に、ヌルっとしたものが塗りつけられた。
「あっ」
それを馴染ませるかのように指先がゆっくりとお尻の穴の周りをなぞっていく。
時折、指の先端が探るように狭まった肉の壁を侵入してきた。
「力を抜くのよ、ユキ」
羽川さんの言葉にお尻を緩めた時だった。
これまでより少し大きい感触のものが穴を押し広げながら中に入ってくる。
「ん、はぁ、ああ」
1つめのそれは苦もなく僕の中に飲み込まれた。
「それじゃ、続けていくわね」
再び、大きい感触のものが穴を押し広げながら中に入ってくる。
「あっ、あっ、あっ」
1つずつ玉が中に入ってくるたびに小さく声が漏れてしまう。
もういくつ入ったのだろうか。
お腹を内側から圧迫するような感触がした。
「これぐらいかしら……。永田」
「はい」
 お尻から、飲みこんでいた玉が一気に引き抜かれた。
「ひゃ、ああ!」   
僕は思わず叫んでいた。
毎日のように排泄で使っているはずなのに、その穴から今まで感じたことのない刺激が背中を駆け上がった。
ベッドに伏したまま荒い呼吸をする僕の耳もとで羽川さんがささやく。
「どう、気持ちいい?」
「う、うん。なんだかおかしくなっちゃうかと思うくらい……」
「そう、おかしくなってもいいのよ。もっとユキの声を聞きたいわ」
もう一度お尻の中に硬いものが分け入ってくる。
「かわいい声で哭いてね。ユキは女の子なんだから」
連なった玉が、ゆっくりとお尻の穴を出入りし始める。
「あ、あん! はぁ、あっ、ああ」
羽川さんの命令とは無関係に、僕は身をよじりながら高い声を放っていた。
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