上 下
1 / 6
1.エルビンの再教育(20世紀、東欧某国) 全六回

#1 拉致

しおりを挟む
エルビンは自分のアパルトに帰宅したところを、突然4~5人のコート姿の屈強な男達に拘束された。
黒塗のトラックに載せられた後は頭に布の袋を被せられたために行き先はわからなかった。

秘密警察か……。

エルビンは24歳、国立大学のマスターコースに席を置く優秀な学生であったが、最近は自国の閉塞した状況を憂い、反政府デモに参加していた。
このような拉致に合う理由はそれぐらいしか考えられない。

三十分ほど走ったと思われた頃、トラックが停車し、エルビンは袋を被せられたまま両脇を抱えられどこかの建物に連れ込まれた。
袋を脱がされた場所は、独房のような部屋だった。
三方は無機質なコンクリートの壁で、唯一視界の効く通路側には太い鉄格子がはめられている。
男達はそのまま何も言わず鉄格子に鍵をかけて出て行く。
取り残されたエルビンは固いベッドに腰掛けて待つしかなかった。
身の回りのものは全て没収されていた。

暫くすると、階級章で固めた制服に帽子を身に付けた痩身の中年男が二人の屈強な隊員を引き連れて独房に入ってきた。
大きな鷲鼻に、爬虫類のような目をした男だった。

鷲鼻の男が書類に視線を落とした後、エルビンに向き直る。

「お前がエルビン・ナスターセだな。大学では優秀らしいが、最近は反政府活動に出入りしているらしいな」
「労働者の権利を世に投げかけようとしているだけで、けっして……ああっ!」

鷲鼻が手にしていた金属のステッキ状のものをエルビンの腕に押しつけた瞬間、エルビンが悲鳴を上げた。
ステッキの先端部は青白い火花がバチバチと音を放っている。

「余計な事は喋るな。本来なら有象無象の反革命分子など直ぐに処分だが、お前は今後国家のために有用となりうる教養と、その恵まれた容姿がある」

容姿? いったいそれが何の関係があるんだろう?

エルビンの疑問に気づくこともなく鷲鼻が言葉を続ける。

「よって、寛大なる処置により、お前に再教育と国家への忠節を示す機会を与える。拒否するならば、直ぐに中庭に出て壁の前に立たせる」
「そ、それだけはお許しをっ。僕は何をすればいいのでしょうか?」

鷲鼻が言っていることが銃殺を指していることは明白だった。
エルビンは床に膝をついて懇願した。
その様子を冷淡な表情で眺めていた鷲鼻が「黙れ」とでもいうように手を振る。

「よし、ならばまずは今日はお前の決意のほどを見極めてやる。全裸になってここで自慰をしろ」
「え……?」

言葉の意味を理解できなかったエルビンが聞き返すと、鷲鼻は露骨に不興の表情を浮かべた。

「何をしてる、このグズが。 早く脱いでやれ!」

ステッキに再び火花が弾けるのを見て、エルビンは慌てて服を脱いだ。
全裸の状態でベッドに腰を落とし、壁際まで後ずさる。

「よし、脚を大きく開け。全部見えるようにして始めろ」

鷲鼻は隊員の一人から手で持つサイズのビデオカメラを受け取ると、そのレンズをエルビンに向ける。

「ふん、『西』の物の方が優秀なのは気に入らんが……おい、始めろと言っている」
「は、はい」

エルビンは怖ず怖ずと自分の股間に手を伸ばす。
だが、恐怖と混乱のためか、指で掴んで扱いても陰茎は立ち上がる気配はなかった。

「おい、そんなんではいつまで経っても終わらんだろうが。テープの無駄だ、死ぬ気で勃たせろ。そして悶えろ。そんなしょぼくれた顔に誰が昂奮するんだ」

興奮……いったい何のことなのだろう。

訳もわからずエルビンは陰茎を扱く。
早く男達の前で自慰を見せねばならない。
そうしなければ殺されてしまう。
顔を上げると、隊員達の氷のような視線と、無機質なレンズがエルビンに向けられている。
エルビンは自らを鼓舞するように目を閉じると、顔を歪ませながらああっ、ああっと声を上げた。

見知らぬ男達の前で裸になり、痴態を撮影される異常な状況を想像した時、エルビンの奥底に微かな被虐の火が灯った。
あるいは、そのようなに身を任せねば、恐怖に潰されそうだったのかもしれない。
どちらにせよ、エルビンの陰茎は徐々に硬さを増して屹立した。

「よし、喘げ。そのまま扱き続けて、派手に射精しろ」
「あっ、はぁっ、いい、ああっ」

鷲鼻に言われるままエルビンはむせび声を上げながら激しく手を上下させる。
もう二度戻れない場所へ踏み出した不安と恍惚に、エルビンは急速に昂ぶっていった。

「ああっ、ああ、イきます、イクう!」

開脚したまま腰を掲げるようにして、エルビンは絶頂に達した。
何度も陰茎から放たれる精液が、エルビンの下腹部に白い染みを作る。
長い射精が収まり、エルビンが目を開けると鷲鼻はビデオの録画を止めた。

「ふん、存外すぐにモノになりそうではないか。今日はここまでだ。明日からは本格的に教育するぞ」

それだけ言い残すと鷲鼻と隊員達は独房を出て行った。
エルビンは呆けたように傍らの毛布にくるまるとベッドに倒れ込んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる

天災
BL
 高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

【R18】家庭教師と少年 ~僕はセンセイの淫らな教え子~

杏野 音
BL
瀬尾家に出入りする若く美貌の家庭教師、檜山は異常な欲望を内に秘めていた。教え子の少年、遥斗は檜山の手により禁断の性愛に目覚めさせられる。 ※少し長めのものを予定していたのですが別の話でやる事にしたので短編として公開します。 全五回予定。数日ごとに更新。

叔父さんと一緒♡

らーゆ
BL
叔父とショタ甥がヤッてるだけ。ガチのヤツなので苦手なひとは回避推奨。

赤ちゃんプレイの趣味が後輩にバレました

海野
BL
 赤ちゃんプレイが性癖であるという秋月祐樹は周りには一切明かさないまま店でその欲求を晴らしていた。しかしある日、後輩に店から出る所を見られてしまう。泊まらせてくれたら誰にも言わないと言われ、渋々部屋に案内したがそこで赤ちゃんのように話しかけられ…?

サディストの飼主さんに飼われてるマゾの日記。

恋愛
サディストの飼主さんに飼われてるマゾヒストのペット日記。 飼主さんが大好きです。 グロ表現、 性的表現もあります。 行為は「鬼畜系」なので苦手な人は見ないでください。 基本的に苦痛系のみですが 飼主さんとペットの関係は甘々です。 マゾ目線Only。 フィクションです。 ※ノンフィクションの方にアップしてたけど、混乱させそうなので別にしました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...