【R18】銅像で妄想をドーゾ

杏野 音

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#1 帰れない二人

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東京、JR神田駅。
駅周辺に広がる飲食店街は既に深夜だと言うのに大勢の酔客で賑わっていた。
その一角に肩を寄せ合う男女の姿があった。
女の顔は上気し、男の肩に頭を預けてその足取りはおぼつかない。
男はそんな女の肩に手を回し、慎重に歩を進めている。

男が腕の時計にチラリと視線を落とす。
女は男の仕草に全く気づく様子もない。

駅の改札口までたどり着いた時に、女が呟いた。



二つの影は一つに重なり、夜の街へと消えていった。



【解説】
この像は東京のJR神田駅東口にあり、正式な作品名は「健やかに」(田中昭:作)という。
タイトルからして、冒頭のような状況をあらわしたものでないのは明らかである。
しかし初めてこの像を見たとき、酔客と喧騒に包まれた周囲の雰囲気も相まって、私にはもう健やかな目で見ることは出来なくなっていた。
しなだれる彼女の仕草に対して彼の表情はどこか「キメてやる」という強い意思が感じられる。

ああ、きっと彼女はこのままお持ち帰りされてしまうのだろう。

脳内に「夜のブルース」が響く中、私は彼等に背を向けた。
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