1 / 5
序文
しおりを挟む
戦国から桃山の世にかけて、「キリシタン陰陽師」が活躍した。その名は、マノエル賀茂在昌。
そんなあまりにも格好良く出来過ぎた、架空歴史・歴史ファンタジーものの漫画かゲームのような、魅惑的な夢物語じみた話だが、そうではない。実在の人物である。
――と言い切ってしまうのは、実は歴史学的には妥当ではない。がしかし、その可能性は確かに存在する。
同時代の記録を多数残した宣教師ルイス・フロイス他のイエズス会士達が書き残したキリシタン文献に、公家にして天文学の名家の出である「Manoel Aqui Marza」・「Aquimasadono」という人物が「都で初めてのキリシタン」となり、伊予(愛媛)を経て豊後府内(大分市)に滞在、などという記録がある。
また日本側の文献には、天正年間から慶長初期・織田信長と豊臣秀吉が天下人として君臨したいわゆる安土桃山時代に、「賀茂在昌」・「あきまさ」という陰陽師が都で活動し、秀吉の創建した「京大仏」方広寺の地鎮祭に携わったことなどが記されている。
この「Manoel Aqui Marza」と「賀茂在昌」が同一人物であるという確証は、未だ得られていない。仮に同一人物であったとしても、史料に乏しく、その人物像は謎に包まれている。
史実の「Manoel Aqui Marza」・「賀茂在昌」についての歴史学的研究は、他の専門的文献に当たっていただきたい。
これから綴る物語は、それら歴史学的記録・研究の様々な断片を元に、「キリシタン陰陽師・マノエル賀茂在昌」という、実在した「かも知れない」人物を、存在した「かも知れない」歴史的架空設定と物語的空想で多分に補って再構築し描き出した、ノンフィクションめいた「歴史創作小説」である。
そんなあまりにも格好良く出来過ぎた、架空歴史・歴史ファンタジーものの漫画かゲームのような、魅惑的な夢物語じみた話だが、そうではない。実在の人物である。
――と言い切ってしまうのは、実は歴史学的には妥当ではない。がしかし、その可能性は確かに存在する。
同時代の記録を多数残した宣教師ルイス・フロイス他のイエズス会士達が書き残したキリシタン文献に、公家にして天文学の名家の出である「Manoel Aqui Marza」・「Aquimasadono」という人物が「都で初めてのキリシタン」となり、伊予(愛媛)を経て豊後府内(大分市)に滞在、などという記録がある。
また日本側の文献には、天正年間から慶長初期・織田信長と豊臣秀吉が天下人として君臨したいわゆる安土桃山時代に、「賀茂在昌」・「あきまさ」という陰陽師が都で活動し、秀吉の創建した「京大仏」方広寺の地鎮祭に携わったことなどが記されている。
この「Manoel Aqui Marza」と「賀茂在昌」が同一人物であるという確証は、未だ得られていない。仮に同一人物であったとしても、史料に乏しく、その人物像は謎に包まれている。
史実の「Manoel Aqui Marza」・「賀茂在昌」についての歴史学的研究は、他の専門的文献に当たっていただきたい。
これから綴る物語は、それら歴史学的記録・研究の様々な断片を元に、「キリシタン陰陽師・マノエル賀茂在昌」という、実在した「かも知れない」人物を、存在した「かも知れない」歴史的架空設定と物語的空想で多分に補って再構築し描き出した、ノンフィクションめいた「歴史創作小説」である。
0
◆PDF版:http://kapelle.triona.jp/aquimarza.html
pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9598138
カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054889400781
小説家になろう https://ncode.syosetu.com/n2436fw/
pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9598138
カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054889400781
小説家になろう https://ncode.syosetu.com/n2436fw/
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

浮雲の譜
神尾 宥人
歴史・時代
時は天正。織田の侵攻によって落城した高遠城にて、武田家家臣・飯島善十郎は蔦と名乗る透波の手によって九死に一生を得る。主家を失って流浪の身となったふたりは、流れ着くように訪れた富山の城下で、ひょんなことから長瀬小太郎という若侍、そして尾上備前守氏綱という男と出会う。そして善十郎は氏綱の誘いにより、かの者の主家である飛州帰雲城主・内ヶ島兵庫頭氏理のもとに仕官することとする。
峻厳な山々に守られ、四代百二十年の歴史を築いてきた内ヶ島家。その元で善十郎は、若武者たちに槍を指南しながら、穏やかな日々を過ごす。しかしそんな辺境の小国にも、乱世の荒波はひたひたと忍び寄ってきていた……
16世紀のオデュッセイア
尾方佐羽
歴史・時代
【第13章を夏ごろからスタート予定です】世界の海が人と船で結ばれていく16世紀の遥かな旅の物語です。
12章は16世紀後半のフランスが舞台になっています。
※このお話は史実を参考にしたフィクションです。
ナポレオンの妊活・立会い出産・子育て
せりもも
歴史・時代
帝国の皇子に必要なのは、高貴なる青き血。40歳を過ぎた皇帝ナポレオンは、早急に子宮と結婚する必要があった。だがその前に、彼は、既婚者だった……。ローマ王(ナポレオン2世 ライヒシュタット公)の両親の結婚から、彼がウィーンへ幽閉されるまでを、史実に忠実に描きます。
カクヨムから、一部転載
陣代『諏訪勝頼』――御旗盾無、御照覧あれ!――
黒鯛の刺身♪
歴史・時代
戦国の巨獣と恐れられた『武田信玄』の実質的後継者である『諏訪勝頼』。
一般には武田勝頼と記されることが多い。
……が、しかし、彼は正統な後継者ではなかった。
信玄の遺言に寄れば、正式な後継者は信玄の孫とあった。
つまり勝頼の子である信勝が後継者であり、勝頼は陣代。
一介の後見人の立場でしかない。
織田信長や徳川家康ら稀代の英雄たちと戦うのに、正式な当主と成れず、一介の後見人として戦わねばならなかった諏訪勝頼。
……これは、そんな悲運の名将のお話である。
【画像引用】……諏訪勝頼・高野山持明院蔵
【注意】……武田贔屓のお話です。
所説あります。
あくまでも一つのお話としてお楽しみください。

あらざらむ
松澤 康廣
歴史・時代
戦国時代、相模の幸田川流域に土着した一人の農民の視点から、世に知られた歴史的出来事を描いていきます。歴史を支えた無名の民こそが歴史の主役との思いで7年の歳月をかけて書きました。史実の誤謬には特に気を付けて書きました。その大変さは尋常ではないですね。時代作家を尊敬します。

御懐妊
戸沢一平
歴史・時代
戦国時代の末期、出羽の国における白鳥氏と最上氏によるこの地方の覇権をめぐる物語である。
白鳥十郎長久は、最上義光の娘布姫を正室に迎えており最上氏とは表面上は良好な関係であったが、最上氏に先んじて出羽国の領主となるべく虎視淡々と準備を進めていた。そして、天下の情勢は織田信長に勢いがあると見るや、名馬白雲雀を献上して、信長に出羽国領主と認めてもらおうとする。
信長からは更に鷹を献上するよう要望されたことから、出羽一の鷹と評判の逸物を手に入れようとするが持ち主は白鳥氏に恨みを持つ者だった。鷹は譲れないという。
そんな中、布姫が懐妊する。めでたい事ではあるが、生まれてくる子は最上義光の孫でもあり、白鳥にとっては相応の対応が必要となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる