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3´
しおりを挟むやっと会場から外に出れた
目的の場所へはまだまだ先だ
普段は気にならないこの屋敷の大きさを改めて痛感する
噴水広場はいい息抜きの場だ
時々来る度に利用させてもらってる
社交の場のあの息苦しい雰囲気から少しだけ逃れられまた違った出会いがある
今信用している奴らの何人かもそこで出逢った
そんな所にあのサーシャが行くなんて何もない訳がない
近づくにつれてその異様な静けさが余計に俺を焦らせる
何故かドクドクと脈打つ鼓動の音がいやに耳についた
噴水の見える場所に道に差し掛かった辺りで見た光景に鈍器で殴られたような感覚に陥る
サーシャが目の前の男に心底嬉しそうな笑顔を向けている
久しぶりに見る可愛らしいその笑顔を至近距離で受けている男への嫉妬が募る
ぶわあっと全身からドロドロとした感情が押し寄せた
あの男は誰だ?
あんなやつ見かけたことがない
どこからやってきた?身分は?サーシャとの関係は?
もしかしてあいつのことが好きになったのか?
何故?
今までそんな事になる前に止めてきた筈だ
あんな距離で楽しそうに話すなんて俺とはなかった
いつも通り裏から手を回して近づけなくすればいい
そう思うのに何故か上手くいかない気がした
見たくない、俺以外のそんな奴にその笑顔を向けるな
話すな
俺以外その綺麗な瞳に映さないでくれ
俺はサーシャさえいれば生きていける
サーシャしかいらない、要らないんだ
早足に近づきその腕を引く
「きゃっ」
傷つけないように壊さないように護らないと
跡になっては困るから力加減は絶妙にサーシャの前に護るように立つ
目の前に立っている男を鋭く睨む
警戒しながらこいつは社交界で見たことがないとさらに不審に思い警戒を強める
相手の探るような視線が気に入らない
飄々とした態度で何も読めない
「お初にお目にかかります
スヴァーロフスキー御令息であらせられますね
私はとある事情から今は名乗れませんがまたお会いできた時には必ず名乗りましょう
貴方様にもお会い出来て光栄です
未来でお会い出来ますこと楽しみにしております
ではお暇させていただきます」
怪しい雰囲気を終始醸し出したまま立ち去っていく
こちらからは一切話してはいない
どういうことだ?未来?
それよりも先ずサーシャが先だ
振り返ってサーシャに怪我がないか視線を這わせる
戸惑いが見えるその顔へ確認が終わり目を向ける
あいつは誰なんだ?
なんであんな奴に目を向けた?
俺にはあんな顔しない癖に
「あの、、?」
「送っていこう」
「ありがとうございます」
またしてもぐるぐると巡る感情に流されるところだった
とりあえずあいつが誰なのかを調べないといけない
それとサーシャの周囲をいつも以上に警戒を強めないと
これから早急にしなければいけないことが急激増えて頭を悩ませる日々を送ることになるだろう
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