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side会長 (青石柘榴 aoishi zakuro)
しおりを挟む俺が声をかけるとそこにいた全員がこちらに視線を向ける
『全てのことを把握した訳ではないがとりあえず退学云々ではなくてお互いが悪かったと思うのであれば謝って和解という形で今は終わりにしないか
体調のこともあるだろうし今ここでの無理強いはしないが事情聴取のために話は聞かせてもらう
処分に関してはこちらで取り決めたのち言い渡す』
それに反応が返ってきて互いに謝ってる姿が目に入る
緑の方へと目を向けると首にはくっきりと痛々しい手形の跡が残っていた
緑が孔雀に走って連れていかれた、まぁ晶のやつはこんな言い方では無かったが連絡をもらった瞬間生徒会室から飛び出した
ただ事ではないと感じたのか後ろから着いてきた羽紅に簡単に伝えると意図が伝わったらしい
急いで寮の方へと向かいながら俺は携帯を取り出す
緑は危なっかしいからもし攫われたり何かあったりした時に携帯のGPSで分かるようにしている
もちろんそのことは緑には伝えていない
今回はそれが役に立ちそうだ
緑と兄弟だとは打ち明けていないしバレればあいつが狙われて面倒だが今回はそうも言ってられない
晶らと合流し目的の場所まで向かうとその場所は寮1階の端の方にある備品倉庫として使用されているところら辺を示していた
本当にこんなところに居るのかと思ったがGPSの反応はこの下になっている
奥まった所に棚の裏あたりに隠れた扉が見つかった
普段はこれが前に置かれているのか動かした形跡もある
その扉を開くと階段が下に続いていた
警戒しながら進んでいくとまた扉が現れる
その扉に手をかけるがやはり鍵がかかっていた
なりふり構ってらんねぇなと思い少し寂れた扉に勢いよく羽紅と2人がかりで体当たりすると目の前には廊下のようなものが続いている
降りてきた階段とは違いここは綺麗にされているようだが迷わずに直線に進んでいきGPSで示された場所へとたどり着いた
その扉に手をかけ緑の名前を呼ぶ
ベットの上で押し倒されながら涙を流している人物を慰めていた
それと緑を引き離し抱きしめる
同じく緑に抱きついてきた羽紅を引き離し何もされていないかを確認する
衣服に乱れはないからとりあえず襲われてはいないらしい
が、首に残る赤い手形が不自然に主張していた
その瞬間カッと血が頭にのぼるのがわかり隣にいた羽紅も気づいたのであろうその人物に向かって怒りの感情が溢れた
近づき胸ぐらを掴んで殴ろうとした瞬間聞こえてきた声に俺は目の前の人物を殴ることはできなかった
「くろ兄、そいつ殴ったら嫌いになるから!!」
咄嗟にだけれど必死に殴らないよう当たる寸前ギリギリで手を止める
「今後口も聞いてあげない!」
それは困る!!!
俺が普段どれだけ我慢していると思ってるんだ
そう考えていると緑は何故か抱きついていた羽紅に隠れたので慌てて羽紅を押し飛ばし緑を抱える
「緑、ごめん 俺殴ってないから嫌いにならないで、口聞かないとか絶対ダメだからね」
『うぅー、バカ!』
恥ずかしいのか真っ赤になった顔を隠すように俺の胸に顔を埋める
それに安心しながらギュッと抱きしめて文句をつけてきた羽紅にドヤ顔をしてやる
しばらく羽紅と言い合いしているとモゾモゾと動き出し胸を押し返される
「やっぱり緑は俺のこと嫌いになったか?」
その返答に答えは帰って来ず部屋を出ていく緑
それを慌てて追いかけると一つの部屋に入っていく
そこにいたのはたしか
「…内藤さん?」
小さく呟くような晶の声にそうだコイツは内藤輝石、晶の親衛隊長だと思い出す
震える身体には手枷と足枷がはまっていて異様な光景が広がっている
どうしてこんなところに?
それに書面では1週間ほど前に家に帰ったことになっていたはずでは??
緑が抱きしめたかと思えば体にハマっていたもの取り除いていく
俺たちはただそれを呆然と見ていることしか出来なかった
少しすると内藤を抱えた緑がこちらの方向に歩いてきた
背後でも動く気配がしてそちらに目を向けると先ほど殴れなかった人物が動いていた
その後ろを緑がついて行こうとするので追いかける
そういえばコイツあの孔雀なんだよな
あの明らか変装です、みたいな格好をやっと辞めたのか?
疑問を抱きつつもう一つある部屋へと続いていくと先ほどと同じような光景が広がっていた
先ほどと違うのはそのベットの上の人物が声をかけても反応がないことだった
「…あぃ、め.?...ど、たの?」
海の親衛隊長、藍染紫水か
コイツも同様に家に帰っていたはずだ
たしか2週間ほど前だったか、そうしているうちに怯え始めそれを2人が抱きしめ宥めているとやっと落ち着いたようだった
その様子をじっと静かに見守る
孔雀(と思わしき人物)が3人に声をかけて話が始まった
かいつまんで聞くと愛が欲しいと嘆く孔雀は2人を監禁し、親衛対象に近づいた孔雀を排除しようと動いた隊長らが被害にあった感じか
この問題に関しては当人らの和解があれば処分内容は変わってくる
流石に風紀も交えて慎重に判断していかなければならないよな
できるだけ穏便に済ませたいがこのままこのメンツで部屋の外に出ることになれば騒ぎになることは間違いない
それは困る
ならこの部屋に呼ぶか?
よし
『孔雀、この部屋から目立たない場所へ出られる裏道か今入った3部屋以外の大きな部屋はないか』
「抜け道がないことはないけどあまりオススメはしない、3部屋以外の部屋ならある」
『案内しろ』
「分かった」
『緑、お前はこっちだ、羽紅』
「はーい」
移動するのを感じたのか緑が2人を抱き抱えようかどうかと迷ってるのを感じた
それにお前は完全に熱が治った訳ではないだろ
羽紅に目配せをすると意図を汲んでくれたのかすぐさま2人の元へと向かってくれようとした
だがそれより先に動いたのは晶と海だった
動き出そうとする羽紅を止めて自らの隊長の元へと進んでいく
ふーん、なるほど
驚きで固まる隊長たちを優しく抱き上げ体調の確認をしている
緑はというと隊長らと晶と海に目を奪われてぼーっとしている
『ほら来い、今更だ』
声をかけると渋るのを感じたが先ほどの出来事で生徒会連中から問い詰められるのは確定だ
それならもう開き直った方が緑の傍にいれる
いやだと言われたが抱き抱えて孔雀の後をついて行く
全員が部屋に入ったところで連絡を入れていたやつから返信がきていた
内容を確認し迎えに行こうとすれば羽紅が気づきそれを制止する
耳元で’今はりょっくんの傍にいてあげて’とのことだった
待っている間も色んな視線を感じる
双子は興味深そうに目は爛々と輝かせていて晶や海も自分達隊長の体調に気をかけながら時々チラチラと伺ってくる
その視線を受けて緑は居心地悪そうに俺の隣に大人しく座っている
その微妙な空気のまましばらく時が経つと歩いてくる足音が聞こえてくる
そのまま扉の前でその音は止みドアが開く
「これはこれは皆さん勢揃いで生徒会は暇なんですかね~」
軽い調子で嫌味ったらしく声をあげるのは風紀副委員長の吉金黄虎だ
「柘榴、どういう状況なん」
『わりぃな呼び出して、説明するがわからねぇことの方が多い
詳しくは別々で聞いてくれると助かる
まず…』
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