かぶる猫の大きさは

yumemidori

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やらかしちゃいました

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息苦しさを感じてふと目覚めると目の前に兄がいた
あれ?オレあの会計と一緒にいたはずなんだが何が起こった?
もしかして夢??
最近忙しそうでたまにしていた電話もパッタリとなくなったからもしかしたらオレが寂しくて夢に出てきたとかだったら恥ずすぎる
どんだけ好きなんだよ、兄のこと
これがブラコンって奴ですか
そうですか
そんなことを考えつつ目の前にある顔を眺めるとやはりというか案の定クマが出来ていた
それをボーッと眺めていたが段々下がってくる瞼に抗えず目の前へとすり寄るように再び眠りにつくのであった


唐突にハッとして起き上がればあの暖かかった体温が隣から消えていた
やっぱり夢だったかと思ったけれどそれにしては周囲はいつもとは違う光景が広がっていた
若干ダルいような気がしたが何時かを確認するために携帯を手に取る
光る画面を見てオレは絶望した
何故か日曜日になっているし昼くらいだった
急いで副隊長に謝りの連絡をいれると
‘聞いていたので問題ないです、今日は大事をとって休んでくださいね。お大事に’
とすぐに返信がきた
その連絡が来てそういえばと思い出す
この部屋兄の寝室だということを
それなら納得だ

みんなには内緒だけど副隊長は兄の大切な人である
バレるとめんどくさいのでカモフラージュのためにオレはたまにここでお泊まりをする
それとは別にオレは熱を出すとあんまりその時の記憶がなかったりするので今回もオレが兄の部屋に転がり込んだんじゃないかと思う
恥ずかしすぎるが熱の時は甘えたになるらしく兄の部屋に潜り込むのはしょっちゅうだ
なので兄が副隊長に伝えててくれたんだと思う
お言葉に甘えてオレはまたベットに倒れ込む
それにしてもお腹へった
空腹を訴えるようにしてぐぅーと音が響く
よし、兄へのお礼も兼ねて何か作るか
キッチンに入り物色するとパスタが出てきた
それならと冷蔵庫を漁るがめぼしいものがない
うーん、あ、あった
出てきたのは明太子
良いのあんじゃん
あとはバターにオリーブオイル、ニンニクがあればっと、よし
海苔とかあれば完璧だがどうやら常備していないらしかった
食材が揃い、いざ作り始めようとすると玄関扉が開く音がする
ちょっと早かったがまあいい

3人前の麺を茹で始める
なんといっても育ち盛りだからね
『おけーり』
「あー、りょっくん!」
その声に振り向くと同時に視界いっぱいに広がる白
『へ?』
「おいこら羽紅あぶねーだろうが」
すんでのところで後ろに引っ張られ遠ざかっていくそれは会計だった
「ただいま緑」
うえ、ぇぇえええ!!!
マジかよマジなのかい兄さんや
会計さんと距離近すぎやしませんか!??
素晴らしく眼福です、萌えの提供をありがとう
「俺で妄想すんじゃねぇ」
デコピンをされて現実に引き戻させられる
『いってぇ、って、あ!』
くいくいと袖を引っ張って耳元へと顔を寄せる
『これバレてる系?』
「あぁお前のせいだぞ」
もう一度デコピンをされた後チュッというリップ音がデコから聞こえる
意地の悪い顔をしてこちらを見下ろす兄の言動はさっぱりわからない
「あー!かいちょーズルい!俺も!!」
おっ、と会計さんや
ヤキモチですかい、ただ兄にはもうすでに大切な人が居ますよー残念でした!!
その上での略奪愛なら萌えるけどやっぱり副隊長のがお兄ちゃんって感じだから譲れません
来世で出直してきてくださーい

会計と戯れてる兄を横目に鍋に目を向ける
『そういえばお昼食べに戻ってきたであってる?』
「ああそうだが、こいつにはやらんで良いぞ
緑の手料理を食べさせるとか勿体無い」
「えー!かいちょーのケチ!!俺にも食べさせてよ!」
わーわー騒いでるうちに麺が茹で上がる
どうしたもんかと思ったが結局もう1人前茹で上げることにした
その間に簡単にソースを作って絡めたら完成!!
めちゃくちゃ簡単だし美味しいからオススメ
ニンニク有無で満腹感が変わるから不思議だったりもするけれどオレは少し入れた方が好き
出来上がったものをテーブルまで持っていき揃って食べ始める
2人とも美味しいと言って完食してくれた
やっぱりこうして食べてもらえるのは嬉しいな
「そういえばりょっくんって、思ってたより口悪いんだね~でもそっちのが好きだなー」
『会計ってMな訳?』
「違うってば!そうじゃなくて~嘘つきじゃない声色だってこと」
『嘘つき?』
「そう、いつもの外見に見合った声色で紡ぐ言葉はたくさんの嘘が混じってるから今の方が耳に馴染みやすいんだ~」
それを聞いて驚いた
確かにあの喋り方だとどうしても嘘が多くなってしまう
親衛隊長という立場上避けられない
そんなにわかりやすい演技だというのであれば早々に周りにバレているはずだ
だから考えられるのは会計の耳がとんでもなく良いということか
そういえば音楽一家だったような?
「コイツの耳が相当良いだけだと思うぞ」
なるほど、音楽家が全員聞き分けれたらそれこそ刑事とかになった方が良いもんな
『ふーん、そっか』
そこからも他愛無い話をして2人は生徒会室へと戻っていった


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