かぶる猫の大きさは

yumemidori

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side会計 (玉木羽紅tamaki haku)

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「で、それはとりあえず置いとくとしてあのキスマークはお前のか?」
一気に部屋の温度が下がって俺の心も冷えた
ダラダラと流れる冷や汗は止まらず思いっきり動揺した顔をしてしまった
無言は肯定とも言うが否定を口にしたところでバレバレだ
『そう、だね~』
恐怖すぎて顔も見れない
あ、そういえば
『で、もね俺がつけるより前にもうすでに一個あったよー、』
そう、何故か一つだけ際立つように綺麗な華が咲いていた
だから俺は上書きと重ね付けをしたんだった
一体誰なんだろう?

「お前は本気、なのか?」
飛んでた思考が一気に引き戻される
ピリピリとした肌の刺激を感じつつも目を合わせると怒ってると言うよりも真剣な表情で射抜くように見つめられる
本気?本気なのかなぁ
確かに甘えられる存在を手放したくないって意味では本気だ
恋愛感情かって聞かれるとそれはわからない
だから、と答えるより前に会長が口を開く
「今までのお前はキスマークなんてせがまれてもつけなかっただろうが
お前の愛しの親衛隊達であっても、だ
それがどうだ、緑にはつけた
それも複数鎖骨に。極め付けに手首にまで」
言われた言葉に心底驚いた
会長は俺の言う言葉より今までの俺を見て分析した結果その結論に辿り着いたのだと気づく
確かに俺は今までキスマークなんてつけたいとか思わなかった
俺を愛してくれる親衛隊のみんなにせがまれてもなんとなくつける気にはならなかった
もしその子に綺麗な花が咲いてても上書きなんてしたことがない

それが何故かりょっくんには上書きしたいと自らつけたいと思った
そうか、ハハ手首にまでとか俺重症じゃん
なーにが恋愛感情としては分からない、だよ
その行動で十分答えは出てるってことか
もう一度会長に目線を戻すと満足したようにそしてどこか挑発してるようにも見えた
「お前が本気なら俺はとやかく言わねぇよ
当人同士の問題でもあるからな
だが邪魔をしないとは言ってない
俺にとって大切で可愛い弟だからな
悔しかったら全力であいつを落としてみろ
精々足掻けよ、羽紅」
『頑張りますよ、おにーさま』
言った瞬間ギロっと睨まれ胸ぐらを掴まれた勢いで殴られそうになった時突然寝室の扉が開く
「?えぇーっと?ごめん?」
身長差のせいか多分会長の服を着ているであろうりょっくんはダボダボのズボンとシャツを着ていた
ズボンの裾は大分ぐるぐるに折られてシャツは襟ぐりが開いて何故だか色気が凄い
首を傾げたまますぅーっと閉められていく扉に会長の方を見るとすごく慌てていた
俺をソファに放り投げて急いでりょっくんの方へと走っていく
違う、違うんだよとか言いながら慌てているがどうしたんだろう
あの慌てようもみたことがないくらい面白いけれどそれにしても会長ってむっつりというかなんてーの?
弟に彼シャツ風のズボンとシャツ着せるとか何事?
それ性癖なの??
りょっくんも受け入れてるし日常とかだったらかなり危なくね?
熱で頭がポヤポヤしてる間にその格好させてるとかだったら余計に危ないんですけども真相は!?
俺が連れ帰った方がむしろ安全じゃね?

なんて色々と考えていたら会長が戻ってきた
怒られるとしてもこれは確かめておかなければならない
『会長、りょっくんへの愛は家族愛?それとも恋情が含まれる?』
いつもとは違う真剣な顔と声で尋ねる
緊張しながら返事を待つ
「アホだろお前、安心しろ家族愛だっつーの
それにそんな不安なお前にひとつ教えてやろう
これはオフレコだが俺にはすでに心に決めた恋人もいる
誰かはまあ今は言わねぇがお前がもし万が一緑と恋人になれた暁には教えてやっても構わねーよ
まあ精々励むことだな」
ホッとしつつもこれだけは言える
『かいちょー』
「なんだ」
『おとーとに自分の服着せる性癖はどうかと思いますよ~』
固まった会長の横を通り過ぎてお邪魔しました~と所詮言い逃げをするとハッとしたように追いかけてきて
「俺は変態じゃねぇ」
と廊下に響く声で叫ぶ
それにクスクス笑いながら会長ちゃんと休んでねってことを伝えて部屋に戻ってシャワーを軽く浴びた後生徒会室へと向かった
今日は一段と気合いを入れて作業しますかと意気込んで今日も一日が終わる
明日は会長も出てくるだろうと思いながらなんだか明日が楽しみになった



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