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side会計 (玉木羽紅tamaki haku)
しおりを挟むどれくらいそうしていたかわからないけどふと時間が気になって携帯に手を伸ばそうとしたらインターホンの音が遠くから聞こえる
ま、外が騒がしくないということは多分会長だと思うから後からでもいいかと思ってそのまま携帯を手にとったところでガチャっと玄関扉が開く音がした
あっ、やべぇ
咄嗟にりょっくんを布団の中へ引っ張り上げてその軽さにびっくりしたがそれを堪能する時間もないまま抱き込みバクバクとなる心臓にりょっくんの頭を押し付けた
その瞬間に遠慮なく開く寝室の扉
「あ?誰か連れ込んでんのか?」
『うん、ま~そだね』
咄嗟に隠した理由はなにも会長がりょっくんを嫌っているということだけじゃない
「お前がここに連れ込むとは、なぁ?」
ぎゅっと頭を抱える腕に力が入る
俺がこの部屋に入れるのは生徒会の奴らだけだ
それはずっと中学から変わらない
多少被っている猫が外れるのはお互い様だ
会長は俺様な部分はあるが俺らのことは大切に思ってくれていて周りをよく見ている
そんな俺が生徒会以外のやつを連れ込むなんて興味を持つに決まっている
それがたとえ嫌っている相手でも、、
モゾモゾと腕の中の存在が身動きするのが伺えて焦ったが会長の次の言葉で吹き飛んだ
「羽紅、何かあったのか?」
え?
「お前がそんな切羽詰まっているのは言わずもがなあいつらが仕事をしないせいでもある
最近寝てなかったろ、俺も手一杯でお前のことに手が回らなかった」
それをいう会長の目元には俺よりも酷い隈があった
そんな隈があってもやっぱりイケメンには変わりないんだとも場違いなことを思う
「で、だ。そこで何してる緑」
へ?動揺で緩んだ腕の中からモゾモゾと這い出して声の聞こえた方へとフラフラとした足取りで目を擦りながら歩いていく
呆然とその様子を観察しながら
「んぅ?にいちゃん?」
と衝撃の発言と嘘偽りない音色と甘えたようにすり寄っていくりょっくんに思考が停止した
「にいちゃんだぁ」
嬉しそうに抱きついて会長もそれを受け入れて抱き上げた
まるで俺がいないかのようなその空間
「あ?お前その反応熱あるだろ?あっつ、ほんとお前は何してんだよ」
「熱ぅ?んー」
「とりあえず帰るぞ、わりぃコイツ連れて帰るわ
そんで寝かせたらまた来る ちょっと話がある」
熱?りょっくんが?俺のうつった?とか会長とりょっくんって兄弟なの?とかじゃあ普段の態度はなんで?とか色々聞きたいことはあったしりょっくんを連れてかないでって言いたかったけれどちょっと話があるという声で全てその思考は散り散りになる
今までに見たことのないような凶悪で怒っている顔と声をしていた
これはヤバいと本能的に感じる
「にいちゃ、どっかいく?」
「ん?行かな、チッ はあ、おいお前も来い」
りょっくんに対してみたことがないくらい優しく俺に対してはいつもりょっくんに話すくらい、いやそれ以上に酷い
んふふってご機嫌そうに可愛い顔して抱っこされてるりょっくん
その顔を見たら会長にりょっくんを隠された
そういえばなんで会長は頭だけしか見えてなかったりょっくんのことわかったんだろう
疑問ばかりが浮かぶがこれから向かう先で俺が無事でいられる保証はない
どうか未来の自分が生きて帰れますように
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