あの日恋心に終止符を打った筈なのに。。

yumemidori

文字の大きさ
上 下
6 / 13

ちょっとした意地悪

しおりを挟む



『一旦確認させて欲しいんだけど…俺から千斗星を取り上げようとしてる訳ではないんだな?』
「は!?そういう話はしてないだろう?」
『早く質問に答えてくれ』
「ああ、千影が許してくれるのであればどんな形でもいいから一緒に育てていきたいと思ってる」
『っ、はぁ~~』
マジかよ
一気に脱力して千斗星を抱えながら椅子から床へとへたり込む

「千影!!?」
ガタガタと椅子を動かして慌てて飛んでくる
なんだよ、全部俺の勘違いで空回ってただけか…?
『ッズ、なぁ陽斗』
安心したら勝手に流れてきた涙
今までこいつの前で泣いたことなんてないからギョッとしてどうしたらいいのかとオロオロしている
「ぁ、ちーちゃん俺どうしたらいい?分かんないけど触れたらダメか?」
この反応の陽斗が面白くてさっき言われた内容を思い出したんだけど、ちょっとムカついたから意地悪もしたくてその言葉に反応せずにおもいを伝えようと思う

『俺ね10年間好きだった人がいたんだよ』
「っ、え?」
真っ直ぐに目を見つめてそう伝えた
今度はこいつも泣き出しそうだ
『別に報われなくてもいい、そう思ってた。傍にいるだけでも十分幸せだったから、そのおもいは伝えたことなかったしそもそも伝える気が俺にはなかった』
「...」
『だけどね俺の欲張りな心がね、ふいにひょっこりとでできたからもう大変。どうしても恋心を終わらせる思い出が欲しくなっちゃって。どうせなら俺のこのカラダを使おうって』
「...ぇ」

『すっごく大切にしてたわけではないんだけどね?一生に一度のこのハジメテの時に、大好きな人の子どもが出来たらいいな。でもそいつ優しいやつらしいから避妊具でもつけられたら俺の計画が台無しになっちゃう。だから卑怯だけど俺、小細工までしたんだよ?
でもさこういう時男だから疑われなくてすんでよかったんだけど、ね?そんな小細工なんていらないくらい、その人は中にいっぱい注いでくれたんだ
あの時は嬉しかったな。
ああ、これで確率は上がったなって。
今後この人とは会うつもりもないから最初で最後だと思ってたけど、まさかあんなにだき潰されるとは思わなかったな。何日間か腰がだるくてアレは大誤算だった……
ね、陽斗。
俺さ自惚れてもいいの、か?
俺の心の奥底で考えないようにしていた燻ぶり続けてるこの恋心がまた欲張りになってる。大好きな人との子どもが出来てそれで充分だったはずなのに。

責任、とってくれる?」
陽斗。俺はこれ以上を望んでいいのか?
「ぅ、ぁちーちゃん。夢じゃない、よな?夢だったらこのまま覚めないでくれよ。
俺が責任とってもいいって言ってくれた?
言質はとったからもう絶対に、離してやることなんてないと思ってくれよ?
逃げたって絶対に捕まえてやる
色々と順序が入れ替わってしまったけれど。

千影、俺と結婚してパートナーになってください」
『、、ッズはい。』
強く強くギュッと抱きしめられる
「ぱぁぱ、ぎゅー?
あぇ?いたいいたいのー?ッグス、うわーん ぱぁぱ、ぱぁぱ!」
抱きしめられたせいで近くなった距離に千斗星の顔があって、流れる涙を見て誘発されてしまったのか突然ウルウルなお目目で泣き出してしまった
それに2人して驚いて涙は引っ込んでしまう
涙の膜が張った目で見つめ合い、そしてどちらからともなく微笑んだ

『ちーちゃん、あのね』


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もう遅いなんて言わせない

木葉茶々
BL
受けのことを蔑ろにしすぎて受けに出ていかれてから存在の大きさに気づき攻めが奮闘する話

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

【完結】オーロラ魔法士と第3王子

N2O
BL
全16話 ※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。 ※2023.11.18 文章を整えました。 辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。 「なんで、僕?」 一人狼第3王子×黒髪美人魔法士 設定はふんわりです。 小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。 嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。 感想聞かせていただけると大変嬉しいです。 表紙絵 ⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)

いつも優しい幼馴染との距離が最近ちょっとだけ遠い

たけむら
BL
「いつも優しい幼馴染との距離が最近ちょっとだけ遠い」 真面目な幼馴染・三輪 遥と『そそっかしすぎる鉄砲玉』という何とも不名誉な称号を持つ倉田 湊は、保育園の頃からの友達だった。高校生になっても変わらず、ずっと友達として付き合い続けていたが、最近遥が『友達』と言い聞かせるように呟くことがなぜか心に引っ掛かる。そんなときに、高校でできたふたりの悪友・戸田と新見がとんでもないことを言い始めて…? *本編:7話、番外編:4話でお届けします。 *別タイトルでpixivにも掲載しております。

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

なぜか大好きな親友に告白されました

結城なぎ
BL
ずっと好きだった親友、祐也に告白された智佳。祐也はなにか勘違いしてるみたいで…。お互いにお互いを好きだった2人が結ばれるお話。 ムーンライトノベルズのほうで投稿した話を短編にまとめたものになります。初投稿です。ムーンライトノベルズのほうでは攻めsideを投稿中です。

そばにいられるだけで十分だから僕の気持ちに気付かないでいて

千環
BL
大学生の先輩×後輩。両片想い。 本編完結済みで、番外編をのんびり更新します。

貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~

倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」 大陸を2つに分けた戦争は終結した。 終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。 一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。 互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。 純愛のお話です。 主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。 全3話完結。

処理中です...