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レンタルアニマル
しおりを挟む「嬉しいなぁ、そんなに望んでくれてるんだったらさっさと湊人を俺の番にしよっと」
え?ぇ????
ぐるっと変わる視点、最初に捉えたのはドアップの三笠さんの顔
背中に加わった衝撃はふかふかの何かにあたりバウンドする。それを抑えるためか大きめの手が腰あたりに添えられていた
パニックも何もなんでこういう状況なのかも理解できないし肝心な時に口も脳も動いていない
口に関しては柔らかいナニカに塞がれているが脳よ、お前は働いてくれないか
俺の口を啄んでるイケメンさんは契約に来た人だよね
それで今日俺はキツネさんを迎えるための契約を…
『ッ、ん゛ぅ…』
口の中に侵入してきたそれは無遠慮に動き回りまた思考が奪われていく
ちゃんと考えなきゃいけないのに息も苦しくて酸欠になってきた
『ーぷぁっ、ハァハァ』
何が楽しいのか目の細めて苦しんでいる俺を観察している三笠さん
ペロッと舐めた唇が艶かしくてついつい今の状況も忘れ見惚れてしまう
『えっと、キツネさんはどこに?』
見惚れていたことを悟られたくなくて俺が最初に発した言葉は場違いな発言だったに違いない
馬鹿だと思ったけど今の雰囲気をかき消すのであればいい発言だったかもと思い直した
「ふふ、なるほど。…これでいい?」
これまた愉しそうに笑いちょっと黙ったと思えば、そこに現れたのはもふもふのお耳とふわふわそうなしっぽを生やした三笠さんの姿
そのお耳と尻尾には見覚えがあって視線を何度も行き来させて確認する
『ぇ?』
嘘であってほしい、そんな思いで見比べているがちっとも現状は変わらない
そこにあったのは煌陽くんにあった時に思った感想と同じ内容のものだった
「この模様、湊人もすごく気に入ってくれてたもんね?褒めてくれたの俺すごく嬉しかったんだよぉ。」
嘘だろ、
「耳にある星は煌陽くんの名前にぴったりで、尻尾の錨マークは湊人の名前の音を彷彿とさせる言葉みたいで俺たち2人は運命だねって言ってくれた。」
そう、確かに言った。先週の土曜日風呂に入ってドライヤーで乾かした後に煌陽くんをお迎えしようと決めた時に告げた言葉
だからその言葉を知ってるのはあの時あの場所にいた俺と煌陽くんしか知らない
そのはずなんだ
『煌陽くん…なの?』
「うん、そうだよ」
『どうして』
「だって湊人が俺を迎えてくれるって言ってくれたから」
『だってそれは…』
「俺が獣人だと思ってなかったから?…湊人の理想と違かったから俺捨てられるの?」
そう、煌陽くんが獣人さんだなんて知らなかった
いつの間にか下の名前を呼び捨てで呼ばれてたのも気づいたの今だし
けどさなんで君がそんな顔をすんのさ
俺の煌陽くんの耳と尻尾をつけてさ、今は俺よりもずっと大きいはずなのに元気をなくした耳と尻尾にウルウルのお目目で訴えてこないで。
捨てないで、俺頑張るからって縋り付いてこないでよ…
違うよ、俺が騙されてた側だよ?詐欺じゃん
そうやって許してってしながら俺のお腹にぐりぐりと顔を押し付けてくる姿は先週俺の家に来た時に服を荒らしてしまった煌陽くんと変わりない行動だった
そんなんずるいじゃん、許すしかないよ
『煌陽くんを捨てないよ』
「!」
ピンっと元気を取り戻した耳と尻尾
そんなとこもそっくり。てか本人なのか、そっか
『でも、でもキスはダメ』
「なんでぇ」
『ダメなもんはダメなの』
恥ずかしすぎて顔が真っ赤になるのも止められず抗議する
「だって湊人は俺の番なのに。番に触れるのは当たり前のことだよね?」
『俺は番じゃない!』
「え?捨てないって言って、契約もしてくれるって言ってたのに。……嘘だったんだ、そうやって湊人は俺のことなかったことにするんだ」
再びペしょっと元気のなくなった耳と尻尾に目も当てられない
『あー、もう!ワザとなの!?わざとでしょ?そうやってペしょってすれば俺が許すの分かっててやってんでしょ?勘弁して!?そうだよ、俺にはそれが1番効くし甘やかしたくなるんだからそれをやるのはダメ!ちゃんと分かってくれたら番とやらになってやる!!!』
「ほんと?ならやんないぃ…ように努力する」
くそぅ、可愛いがすぎる
わしゃわしゃと髪をかき混ぜていると抱きしめられた
『どうした?』
「番になるにはキスもその先もして全身余すことなく俺が味わい尽くしてなれんの」
『そう、なのか…?』
今だけは顔を見られていなくてよかった。きっと首まで真っ赤になっているだろうから
「だからね。いーい?」
『そ、れはすぐじゃなきゃダメか』
「ダメ。湊人すぐ浮気するから」
『はー?したことねーよ!?』
てか今までそんな相手すらいなかったし。新手の嫌味なのか?さっきのキスがファーストキスだっての!
「いや、してた。今日だって俺に会うのに違う誰かにマーキングされてたの俺怒ってんだからね」
『ぇ、マーキングなんかされてねーよ?』
「湊人の嘘つきぃ。今だって塗り替え途中だし、最初にオーナーと話してた時だって色んな匂いぷんぷんさせてて不愉快だった。前に家に来た時も服につけられまくってて全部上書きしてやったってのに懲りなさすぎる
思い出したらムカついてきたし湊人が悪いんだから、責任とってよね?」
『は、ぁえ…ちょっ!』
その後はご想像の通り。
体格で勝てるはずもなくベッドの上だったこともあり容易く転がされ服を剥ぎ取られあらぬところを弄られてとろっとろになり、訳もわからなくなっているところに立派すぎるモノが呑み込まれていきました
そこからの記憶はもうすぎる快感に身を任せ身をもって絶倫という言葉を思い知らされるのでした
思考が戻ったのは日曜のお昼頃。
ぺそっとさせた耳と尻尾でお腹に頭でぐりぐりとして謝られ、動けない俺に嬉々としてご飯を食べさせる姿があったとかなかったとか
それともう一つわかったことがあります
浮気と言い張ってきたのは、俺がアニマルさん達と戯れていたカフェに行ってたことでマーキングされてたってのは隣の家のわんちゃんのことだったみたいです
今後一切の禁止を言い渡され、抗議してみましたがやる覚悟があるならヤラレる覚悟があるってこととみなします、だそうです
ちなみに今回は一応自制したそうなので自制しなかった場合、俺はどうなってしまうんでしょうか
泣く泣く従うしか選択肢がなかったため諦めました
週に一度は丸一日完全キツネさんになってくれるということで妥協しました
果たして俺は約束が守れるのか
そして全く調べてこなかった番とやらのルールは複雑そうなので煌陽くんに隠れてお勉強しようと思います
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