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レンタル5
レンタルアニマル
しおりを挟むこれは聞いてない。違うじゃん
いやなんかたまに引っかかるなというか、言葉の端々のニュアンスが変だなとは思ってた
そこでツッコんどけばよかった…過去の俺本当何してんだよ
ちょっと聞くだけじゃん?気になってたなら尋ねればそこでわかったかもじゃんかー…なんで?
な・ん・で
俺の目の前にいるのが獣人さんなんだよーーーー!!
詐欺にあった気分だ…。
時を遡ること2週間前
趣味がカフェ巡りの俺はその日もカフェに訪れていた
カフェといっても飲み物を飲むことがメインではなくそこにいるアニマルさん達に癒されることを目的として通っている
今日は王道のネコちゃんに会いにいく
あのツンと澄ました感じが好きすぎる
通い詰めてやっと懐いてくれた時の達成感というか幸福度半端なくない?俺だけ?
そんなこんなで戯れていると無情にも過ぎ去ってしまう時間
もっともっと居たいのに許してはくれない。解せぬ。
もふもふ天国を堪能した後、家に帰るために道を歩いていると駅前でティッシュ配りをしているのが目に入る
うーん、こういうのっていいんだけど荷物になるから俺は貰わないんだよなー
そう思いながら元気に声を出してるお兄さんの横を通り過ぎようとした時、ふと目に飛び込んできた情報に思わずその手を握ってしまった
「えっ…?なんすか、お兄さん。もしかしてナンパ~?」
そんな言葉は耳に入ってこず、ティッシュに入れられた広告に釘付けだった
"あなただけの運命のアニマルが見つかっちゃうかも!?詳しくはサイトで"
そう書かれたいかにも怪しげなカラフルな紙
何故かそれにものすごく惹かれた自分がいた
「お兄さん、俺は嬉しいんだけど何か喋って~?」
『ハッ、あ、すみません。思わず…ごめんなさい。あの、このティッシュもらってもいいですか?』
「どーぞ!」
『ありがとうございます』
「それ登録して俺に会いにきてね!」
『?はい、ありがとうございました』
何やら意味のわからない言葉をかけられて送り出された俺は早足で家まで帰った
すぐさまそこに載ってあったQRコードを読み取りサイトへと飛ぶ
デフォルメ化されたような可愛らしいイラストがそこらかしこに描かれたサイトでどうやらアニマルさんをレンタルできるとのこと
レンタルされる種類はいろいろあるらしいけど相性もあるから当日までわからないらしい
相性とかそんなのあるの?とも思ったけどまぁそんなものなのかと受け入れて、苦手なアニマルさんを書く項目もあるらしくそのアニマルさんは選ばれないとのこと
こんなにアニマルカフェ巡りしてるのにそんなお話聞いたことないなぁと思ったけれど好奇心が勝って予約することにした
このサイトの何がいいかってレンタルしたアニマルさんがビビッときたらそのままお家で一緒に過ごすことができるよと書いてあったことだ
何よりいい加減そろそろ何かペットを飼いたいなと思ってたところだ。いかんせん好きなアニマルさんが多すぎてひとつに絞りきれなかったのでペットショップやカフェ巡りをしてどんなこをお迎えするか決めようと思っていた
そこに降って沸いたこのサイト。多分運命だと思う
もしかしたら何回かレンタルしないと出逢えないかもしれないけれど、それはそれで楽しみじゃん?
こんな出逢いはなかなかない巡り合わせだしもしかしたら思っても見なかった角度でのアニマルさんと出会うかもしれない
そんな思いを胸に予約をしたんだ
これが盛大のフラグであるとも知らずに。
連絡を取り合い一度店に来て欲しいとのことだったので1週間前にお伺いをした
そこで注意事項やら事前説明、人柄なんかを判断されるらしい
大切なアニマルさん達だもんね
変な人だったら貸さないんだろう
気合いをいれつつ緊張しながらお店につくと、大柄でもふもふな獣人さんにお迎えされた
「ようこそ。お越しくださりありがとうございます」
『アッ、どうも。お願いします』
2㍍はこえてそうな大柄さに圧倒されつつも無事挨拶できた
そのまま案内されながら申し訳なさそうな顔をして謝られた
「びっくりさせてすみません。」
『いえ、そんなことは。緊張しちゃって…』
「ふふっ。そうでしたか。こちらにかけてください。」
笑われたことに恥ずかしくなり顔が赤くなってしまう
それにも微笑ましい顔をされ居た堪れない
パーテーションで区切られたその場所へ辿り着くまでに従業員だと思われる人と何人かの獣人さんととすれ違った
「本日担当いたします熊獣人の熊沢と申します。よろしくお願いします狭霧様。」
!!くまさん!しかも苗字にも入ってる!
『お願いします。』
そんな雰囲気で始まった説明
アニマルカフェでされるような注意事項だったり、説明だったのですんなり聞くことができた
初めて聞くような説明とかもあったりしてへーって思ったりうん?て思うこともあったけど些細なことだと流してしまったのは後悔するポイントだ
説明の後には雑談をして、俺がカフェに通い詰めてネコちゃんが懐いてくれた話や最近行ったモモンガカフェに行ったこと、他にも色んなアニマルさん達との話をしていた
たくさん話を聞いてくれて満足してふと背後から気配がしたと思い振り返ってみるとどこかから風鈴みたいな音がした
「狭霧様、たくさんお話を聞けて楽しかったです
相性の確認も済みましたので本日は終了となります」
『?俺アニマルさん達と触れ合ってないのに?』
「ふふっ、それは当日のお楽しみです
お相手は狭霧様を気に入ったようですので来週の土曜日10:00頃お伺いいたします」
『なるほど…?当日楽しみにしています!』
なんかわからないけれどさっきの音は相性診断的なのが終わった音なのかな?アニマルさん達の鳴き声とか聞こえなかったのにどっからわかるんだろう?触れ合ってなくて俺を気にいる?まぁ熊沢さんがそういうならいっか!
どんなこが俺のお家にやってくるんだろう
少なくとも俺を気に入ってくれたってことだもんな
念入りに掃除も頑張らないと。せっかく来てくれたアニマルさんに幻滅されちゃう
それから1週間かけて仕事に行きながら年末にする大掃除並みの掃除をしつつワクワクとした気持ちでその日を迎えた
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