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しおりを挟む『ちなみに』
そう言いながら立ち上がって近づいてきた愛永くん(役)は俺の前まで来て爆弾を落としてきた
『俺たち本物の双子ですよ?役にぴったりでしょ?』
意地悪そうなその顔で俺の顔を覗き込んでくる
……………
だっからそういうことは事前に告知して言ってもらわないと困るんだよ!!オタクは!!軽率に4ぬんだから!もっと!!優しくしないと!!!泣くよ?(真顔)
ぷるぷると震えているところにさらに遠愛くんが援護射撃をしてきた
『ちなみにちなみに?僕たち先生の大ファンです』
俺頑張ったよね?みんな
助けて、俺の愛しい子たちがこんなおじさんを虐めてくるんです…これって何ハラですか?訴えることはできますか?だからオタクは、、
「うぅ…泣」
『せんせー、復活ありがとうございます!大好きです♡』
『僕からもありがとうございます。大好きなので握手してください…♡』
供給過多で泣いてしまった俺が見えていないのか追撃をどんどんと打ってくる
いつのまにか両手をそれぞれにとられていて握手をしていた。流れ落ちる涙がこれでは拭えないが両頬それぞれに添えられた手に拭われていく
『あは、かーわいいねせんせー♡』
『目が溶けてますねぇ』
添えられた手のせいで下を向くこともできず目線を逸らそうものならそこに入り込んでくる始末
この双子危険すぎる
確かに俺のオリキャラ設定の双子も意地悪で人を揶揄うのが大好きな良い性格の持ち主だし、幼馴染で登場する男の子のことを虐めて遊んでいたがそうじゃない
ちなみにいうとこの立ち位置にいるのが俺じゃなかったらもっとやれ!ってなるけど俺にやったってなんの得にもならない
しかもさ俺のオリキャラたちだよ?そんなん最初から勝てないに決まってるじゃん?やんわり断ったときの悲しそうな顔見てみ?いつだって幸せでいて欲しいし笑ってる顔が1番良いに決まってるから強く否定なんてできるはずないんだよ
それを解ってやってそうだからタチが悪い
多分この感じ自分の顔面が強いことも理解してるし(正解)、俺がこの顔に弱いってことも絶対知ってる(大正解)
そろそろ離れてもらわないと、、俺は空気。俺は壁になるんだ。2人を見守り観察する壁
よし、俺。強い心を持て、社畜だった頃を思い出すんだ。何を言われようと心を無にしてやり通す
高いお金も払ったのに成果がないと心が砕け散る
正直オリキャラに会えただけでも十分に満足できる値段ではあるけどそれはそれだ
「愛永くん、遠愛くん嬉しいんだけどその手を離してくれるかな?」
『やだ♡』
『いやです。』
ぐぬぬぬぬ。強い心を保つんだ
「2人を描きたいから、ね?」
『今はせんせーを堪能したい。だめ~?』
『僕も同意見です。』
くっ、ぅううう゛。つよいこころ
「未完の物語の続き読みたくない?」
『『読みたい』』
「なら、ね?」
『『それとこれとは別』』
もうダメだ。勝てない
こやつらは自分の魅せ方というものを知りすぎている
どんな顔をして声を出せば相手のダメージ削れるのか自分のお願いをつき通すための手段は選ばない的なそんな意思を感じた
完全敗北という文字が今、俺の頭上にのしかかっているに違いない
するとそんな落ち込んでる俺を見て何を思ったのか怪しい笑みのまま魅惑的な声で囁いてくる
『先生、僕に提案があります。聞く?』
お願いだからその顔面で近づいてこないで。耳に吐息が当たってる!!半径1メートル以内禁止です!!!
「ぐぅう。……聞きます」
またしても俺は負けてしまう、試合をする前から勝てないとはこのことなのか
『今後、僕たちだけと定期オフ会してくれるなら今この手を離すことはできるけど……します?♡』
『いーじゃん、久遠じゃなかったや!遠愛、ナイスアイデア♡』
黙ったままの俺をおいて2人で何やら盛り上がって楽しそうにしている
ああ、2人の仲が良すぎる。最高!こんな間近で拝める日が来るなんてもう後悔はない!!もういつ4んでもいい…
『先生、言っておきますが返事はYESかはいしか受け付けませんよ?』
『もちろん、YESだよね?せんせー♡』
それってもう選択肢ないよね?優しくみえて一択しかないんだよ、分かってる?分かってるよね。ハァ
「…YES」
せめてもの抵抗で小さい声で呟いたけど結果は変わらなすぎて絶望でいっぱいだ
それに最低かもしれないがここで頷いててその時が来たら仕事で
『あ、先生。今の会話録音してるんで当日に嘘ついて仕事の都合が、とか居留守使った日には..ふふ♡』
え、怖い怖い怖い。頭ん中読まれてるんだけど!?しかも録音?録音って言いましたか!?守らなかったら俺どうなんの?俺にとって碌でもないことになることに変わりはないよね?え、こわいよ
『よかったー!俺否定されてたら問答無用でせんせーのこと俺たちん家に連れてって家から出れないようにするところだったから。俺はそれでも良かったんだけど、せんせーはまだ自分の家にいたいもんねー?』
全力で首を縦に振ることを忘れない。とんでもなく可愛らしい笑顔でなんてこと言うんだ!!罷り間違ってもNOなんて言わなくて本当によかった
それってすなわち監!禁!されるってことですよね!!ええ、過去の俺グッジョブ!!最高!愛してる!!
そのあとはなんとか頼み込んで手を離してもらいついでに距離も離れてもらってポーズをお願いした
ちなみに考えていた物語の構図を冷静に描ける心境ではなかったため、一枚絵としてブロマイド風に描くことに。ビジュが爆発しすぎててつらかったけど鼻血が出ることもなく最高の仕上がりになりました。
今までにないくらい反響もあって嬉しいやらなんやら
しかしそれと同時に失ったものも多い気がするのは気のせいでしょうか
この時感じていた失ったものは全然序の口でこれからの未来、俺の色んなものをあの双子に奪われて愛されることになるなんて予想していなかった
しかもオリキャラ設定のコスプレはウィッグとかではなく自前であることも、ピアス穴もキャラに合わせて全て開いていたことも檄重感情を抱えた双子の愛を分からせられるのはまだまだ先のお話。
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