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ブラック企業に勤めて早10数年。身を粉にして働いていた会社が突如潰れてしまった
不幸中の幸いと言っていいのかどうかわからないが、長時間労働させられていて残業代が出ていなかったがそこそこ給料はあったので貯金額がそこそこありすぐに働かなくて良かったことは救いだった
1週間ほどは今までの分を取り戻すかのように睡眠を貪り堕落した生活をした後、働かないとなぁと思い始めた時にふと昔の夢を思い出す

会社に勤めてすぐの頃は年齢的に体力もあったため大学の頃から趣味で書いていた絵をネットに投稿をしていた
自慢ではないがそこそこ反応も良くて調子にのったりして、いつかはこの絵で漫画とかを描いたりして食っていけるようになるんだとかいう夢を今思うと無謀だったけど楽しんでた日々
それがいつからか投稿頻度が減りついに投稿しなくなってアカウントにもログインしなくなっていった
あの時の楽しかった思い出を思い出すと共に、心の奥底に眠っていた感情がムクリと顔を出す

ほんのちょっとだけ見にいくか。てかあのサイトまだあるんか?
ちょっとした出来心と好奇心には勝てず久しぶりにパソコンで懐かしのサイトの名前を検索してみた
「おっ!あるじゃん。懐かしー、こんなんだったわ」
懐かしさを感じるサイトの雰囲気に思わずついて出た独り言。そんなことも気にならないくらいの興奮と驚きに感情が昂った
サイトのロゴは変わっていたがどこか昔のロゴを彷彿とさせるようなそんなロゴでもあった
どうせここまで来たのならとログイン画面を開いてみる
「今更ログイン出来っかなぁ」
だって10数年前のログインが最後だ
普通なら弾かれて見られないこともあるだろう
あの頃毎日ログインしていたから指が覚えているのかスラスラと打ち込んでしまった
そんな自分に苦笑しつつも期待を込めてログインボタンを押してみた
暫くローディング画面が続き、やっぱり無理だよなぁと思いつつ元に戻ろうとすると新規で会員登録するような画面に飛ばされる
「やっぱ流石に無理かぁ」
感傷的な気分になりつつ適当に打ち込んで登録ボタンを押すと出てきた画面に映ったのは昔自分が書いた絵だった

「は?え、うわっ!!マジかよ」
信じられない光景に目を擦ってみても現れる自分自身が描いた絵
なんだか叫び出したいような恥ずかしいようなそんな感情がドバドバと溢れ出てきて声にならない呻き声が喉の奥からこぼれ出す
順番にスクロールしながらこんな時もあったなとかあんなアニメとかキャラにハマってたなとか昔の俺、絵うますぎじゃね?なんて自画自賛してみたりなんて。
全部の絵を見終わってここ最近なかった充足感に包まれながらたまりに溜まっている通知欄を見ていくことにした
これを開くまでは、当時の人たちがくれた反応に返せなくて申し訳なかったなと思っていただけだった
しかし驚くことにそこにあった通知の内容は10分前に反応されたもの
「えぇ!?…どういうこと?」
遡って見ても最近ついたものがずらっと並んでいる
何故?そんな疑問を持ちつつクリックした先には昔俺が唯一描いたシリーズものの漫画
二次創作じゃなくてオリキャラで描いていたのに結局描き終えることの出来なかった所詮未完の物語ストーリー

いいね欄の反応の他にコメントも多数寄せられていて”続きを是非”だったり”復活希望”だったり”これは自分たちで物語を完成させろってことですか先生”等、古いコメントも新しいコメントもついていた
このサイトに来てから驚きの連続だった
こんなに古い絵にコメントがつくことも反応があることも。それに何より俺が描いた絵をこんなに多くの人が望んでくれていたことに泣きたくなった
あの頃の俺に言いたい。ちゃんと望まれてたんだと、誹謗中傷なんかが目立っただけで見たいと思ってくれてるファンの人たちも確実にいたんだよ、と。
その後も一つひとつのコメントに目を通しながら心に決めたことがひとつある
今すぐにはできないけどこのストーリーを完結させよう
自己満足だって言われてもいい、遅すぎるって言われてもいい。これでもブラック企業でメンタルと体力だけは鍛えられてきた。だから待ってくれているファンが1人でもいる限り完成させたい

ただ描くといっても何年も絵を描いてこなかった俺が昔の絵と似せて描いたところでそれは紛い物になってしまう
どうせなら一から書き直してリメイクで一気に描きあげたほうが作画が変わらなくていいかもしれない
と言ってもなぁ
「ん~。」
描くことには問題ない。ブランクがあっても徐々に感覚は思い出すはず、問題といえば
「モデル欲しいよなぁ、それも目の前で絡んでくれるやつ。男2人かぁ、どーしよ、、。」
そう、男2人が必要なんだ
所詮俺は腐男子とかいう類のやつでちょーぜつ腐っていた時期が俺にもありました
今はうん、そうだね。見てなかっただけで漁り出したら止まんないかも、ブランクがあるだけ昔より酷くなるかもね

妄想とかインスピレーションで描けばいいのは分かってるんだけどさ、やっぱり構図だったりとかアイデアが浮かぶのは目の前にいたほうが格段に違うじゃん?
でもまぁ、とりあえず今は他の絵師さん漁ってみてからでも遅くないか
現実逃避じゃないぞ、40手前になってそんなことするはずがないじゃないか…。



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