俺の愉しい学園生活

王道学園

愉しい時間

眉尻を下げて困ったというような表情で愛おしい人に向ける眼差しが優しく注がれた
その手をどかされ続きを話し始める

「別れたんだ、"私じゃなくてもいいんでしょ？
あなたは私を通して誰を見てるの？"って・・・
流石長年婚約者だっただけあるよね
図星だったから・・・
都合がいいのは分かってる
兄弟だってことも男同士だってことも・・・
けど、今日桜桃を見てもう我慢ならなかった
今まで優等生に見えるように振舞ってきたんだ
桜桃の人生壊すからとか世間の目とかそんなん全部投げ捨てても手に入れたっていいだろ？
なんで隣にいるのは俺じゃダメなんだって
俺の方が幸せにしてやれんのにってね
こんな自分勝手な兄でごめんな？
それでも離してやれねーくらい好きだよ、桜桃」

「ふぅっ、うぅぅぅ、うわぁーーーん」
こみ上げてくる溢れるものがあったのか声を上げて泣く桜桃くんをそっと抱きしめ直しホッとした表情を見せる完璧王子

でも大丈夫かなー？
安心してるとこ悪いんだけど完璧王子さん
いつまでも桜桃くんが長年自分のことを
好いてくれてたからって
自惚れてたらダメですよ？
だって________
ちょうどキスしようと顔を近づけた王子の唇を桜桃くんの手が覆う

「兄さん、これ以上はダメ」
先程とは反対に眉をひそめ、なんで？という顔をしている
次の一言で地獄に落とされるとは知らず

「俺ね、今付き合ってる人がいるんだ
そいつを裏切る事は出来ないよ
したくないんだ」
そう、桜桃くんには恋人がいる
まさしく姫を護る騎士ナイトのような
そんな存在のイケメン君がお相手だ
ぐっと堪えるように手を握りしめ内心はズタボロだろうに表情に出さないように取り繕う王子は流石だと褒めたい

「そうなのか」
ああぁぁあ！！！！
尊い
このすれ違いが堪んないっす
どっちの展開に転んでも俺は楽しめるよ！！！
今後お兄様がどのように動くかで決まるね！

「兄さん、また家に遊びに行ってもいい？」
未だ不安げで瞳を揺らしながら返答を待つ桜桃くん
身長差もあるから必然と上目遣いだし大きな瞳がウルウルしてて零れ落ちそうだしそんな顔向けられてあなたのお兄様は拒否とか出来ないでしょ！！！！！
ただでさえあなたの事が好きなんだから
分かっててやってたら相当な策士ですよ？桜桃くん

「ああ、うんいつでもおいで？」
ほら言わんこっちゃない
部屋から出ていった桜桃くんを見送り
戻ってきた完璧王子はやり場のない感情を持て余し項垂れてました

ご愁傷さまです！！！