50 / 105
大会10
しおりを挟む
「!!」
見上げると、ヤトは空中で身動きが取れなくなっていた。
まるで見えない蜘蛛の糸に絡め取られたように。
「くっ、何だこれは!なぜ動けない?」
動くほどにがんじがらめになってゆく。
「罠、とでも言っておこうかのう」
爺は低い声でクックと笑うとヌエに指示を出した。
「ヌエ、お前の獲物よ。喰らうなり、なぶり殺すなり好きにするがよい」
ヌエの目は怪しく光り、その場から飛び上がった。足元には黒い霧が湧き上がり、それはヤトへと続く階段のようにヌエを導く。
黒い霧の上をひた走るヌエは、その顔を狂喜に歪ませてヤトに飛びかかった。
「ヤト、狐火」
咄嗟に叫んだ声に反応したヤトは、青白い炎に身を包んだ。
炎を見るやピクリとヌエは急停止した。
炎はヌエの進行を阻害するほど大きく、後ずさったヌエはヤトの動向を窺う。
「ほっほ、甘いのう。炎だけではどうにもならんよ」
「それはどういうこと?」
「おぬしの炎では、どうあがいても儂とヌエには敵わんのよ。のう、儂の可愛いヌエよ、トドメじゃよ。大地を震わせよ、稲妻!」
ヌエは雄叫びを上げると、その身体から爆音とともに閃光が走った。
「がぁーー」
「ヤトー!」
嘘でしょ!
稲妻に貫かれたヤトは、黒く焼け焦げ、その身体からはプスプスと煙が上がっている。
ガクガクと震えが止まらなくなった私は、堪らず片膝をついた。
弱気になってはだめ。
さっきの試合で学んだはず。
現実から目を逸らしてはいけないと。
私が恐怖で動かなければ、ヤトはどうなるの?
私しか助けられる人はいないのよ!
私はキッと前を見据え立ち上がった。
ヤトは、瀕死だけれど意識はある。
流石に天狐の生命力は並ではない。
きっとなにか方法があるはずなんだ。
周りをよく見なければ。
「しぶといのう。ヌエよ、さっさと始末するがよい」
『ヒョウ』と返事をするヌエの身体から、黒い霧がむわっと立ちあがる。
それは空中に広がって、ヤトを縛り付けていたものに付着してゆく。
そして、それは姿を現した。
ヤトを縛り付けているもの、それは真っ黒な鎖だ。蜘蛛の巣のように張り巡らされた鎖。その中央にヤトは囚われていた。
稲妻に貫かれ、更に鎖はキリキリとヤトを縛り上げる。
苦悶の声を上げるヤトに、ヌエが襲いかかる。
動けないヤトを大きな爪で引き裂く。
「ぐあっ!」
ヤトの痛みが私の中に流れ込んでくる。
いつの間にか、ヤトと同調していたことに驚きを感じる。
だけど。
ああ、苦しくて息ができない。
焼け焦げた身体は痺れて熱い。
引き裂かれた身体からは血が吹きでて、そこから力が抜けていくよう。
あまりの痛みと苦しみに私は涙が滲んだ。
もう、やめてよ。
傷つくヤトをここで見ていることしかできないの?
このままここで、手をこまねいていれば、確実にヤトは死んでしまう。
そんなのは絶対に駄目よ。
どうする?
そんな時、きらりと月雅が光った気がした。
そうだ!
今の私にできることは、これしかない。
私は右手に月雅を握りしめた。
そして、おもむろに胸の前に掲げる。
目を閉じ、深い呼吸を繰り返す。
身体が熱く、力が滾る。私の身体の隅々まで熱は行き渡り、髪は巻き上がる。
そして、月雅がぱらりぱらりと開き始めた。
私の力がこの扇を通じて、ヤトへと流れ込む。ヤトは身体から銀色の光を発し赤い瞳をゆっくり開いた。
私とヤトは強い絆で結ばれている。
私の光が彼に流れ、光は満ちてゆく。
ああ、もうすぐよ。
私の想いは溢れ出し、たちまちその傷は癒えてゆく。
『ヤト、もう大丈夫。存分に暴れて来なさい』
私の心の声を感じ取ったヤトは頷き、口元に笑みを浮かべた。
そして、月雅をヤトへと向け私は叫んだ。
「真の姿を現せ。天狐!」
ヤトの身体から、銀色の光が放射される。
それはこの会場中に広がり、辺りのざわめきは大きくなる。
「な、なんと!」
爺はそう呟くと、瞠目して動きを止めた。
ヌエはヤトの光の強さに恐れおののき、ジリジリと後退する。
ブチっブチっと黒い鎖が断ち切られる音が響く。
銀色の光はひと際強くなり、伝説の妖狐である天狐を形作った。
空中に悠然として立つヤトは、先程の怪我を微塵も感じさせないほど艷やかな銀色の毛並みと、凛とした赤き瞳で敵を見下ろす。
巨大で美しい体躯は見るものを圧倒する。
どこからか拍手が上がったと思うと、それは伝播していき、会場中が大歓声に包まれた。
「尻尾が九つとは!九尾の天狐···」
爺は愕然とし呟いた。
敵が怯んでいる今がチャンスだ。
「ヤト!狐火」
ヤトは『オォーン』と吠えると、その身体を渦巻くように青白い炎が現れた。それはまさに炎の竜巻だ。
天狐の状態で発現する炎は、通常の比ではない。
それは尋常でない熱量と、近づくものを全て飲み込んでしまう引力を備え、その力に抗えないと感じたヌエはぶるぶると震えだした。
余程その炎が恐ろしいのか、二、三歩後退したかと思うと、脱兎のごとく逃げ出した。
ごうと唸りを上げた青白い炎は大きく広がり、ヌエを捉え喰らいつき、骨の髄まで焼き尽くす。
『ヒョウヒョウ』と、か細い鳴い声を残し、ヌエは燃え尽き、宝玉へと戻った。
「まさか···」
爺は呆然として肩を落とし、ブツブツと話し始めた。
「よもや、予選で儂が敗れるとは。あの娘、ただ者ではない。予想の遥か上をゆく術士よのう。本人の実力も確かめなければなるまい」
ドロっとして粘りつくような視線を感じた私は、ぶるっと震え爺を見やる。
爺は「ほっほっ」と不気味に笑うと踵を返し、舞台を後にした。
レフリーの勝者宣言の後も、会場は歓声に包まれ、大いに沸いている。
ヤトは天狐の姿のまま舞台に降り立つと、私の元へと歩み寄った。
「ヤト!」
私はそう叫ぶと、大きなヤトの首へ抱きついた。
「ヤト、ごめんね。苦しかったでしょう?」
私の問にヤトは頭を振ると言った。
「祭雅、いや深月よ。私は平気だ。まだまだ暴れたりないんだが」
「えええっ?!」
この人は?!
なんてことを言うのだ!平気なわけ無いでしょ。
私も痛みを感じていたんだから、彼がどんなに辛かったか、わかってるんだけどな。
絶対強がりだよね。
···でも。
「もう、ヤトは···。好きなだけ暴れても良いけどね。今日のところは休みなさいね。はい、宝玉へ戻って!」
ヤトはとても残念そうな目をして私を見るけど、だめだからね。
はあっとため息を吐いたヤトは、私に頬ずりをして宝玉へ戻っていった。
さあ、これで予選突破だ。
本選では私も戦うことになる。
今の予選決勝のように、何が起こるかわからない。
気を引き締めていかなければならないと、決意を新たに私は舞台を後にした。
見上げると、ヤトは空中で身動きが取れなくなっていた。
まるで見えない蜘蛛の糸に絡め取られたように。
「くっ、何だこれは!なぜ動けない?」
動くほどにがんじがらめになってゆく。
「罠、とでも言っておこうかのう」
爺は低い声でクックと笑うとヌエに指示を出した。
「ヌエ、お前の獲物よ。喰らうなり、なぶり殺すなり好きにするがよい」
ヌエの目は怪しく光り、その場から飛び上がった。足元には黒い霧が湧き上がり、それはヤトへと続く階段のようにヌエを導く。
黒い霧の上をひた走るヌエは、その顔を狂喜に歪ませてヤトに飛びかかった。
「ヤト、狐火」
咄嗟に叫んだ声に反応したヤトは、青白い炎に身を包んだ。
炎を見るやピクリとヌエは急停止した。
炎はヌエの進行を阻害するほど大きく、後ずさったヌエはヤトの動向を窺う。
「ほっほ、甘いのう。炎だけではどうにもならんよ」
「それはどういうこと?」
「おぬしの炎では、どうあがいても儂とヌエには敵わんのよ。のう、儂の可愛いヌエよ、トドメじゃよ。大地を震わせよ、稲妻!」
ヌエは雄叫びを上げると、その身体から爆音とともに閃光が走った。
「がぁーー」
「ヤトー!」
嘘でしょ!
稲妻に貫かれたヤトは、黒く焼け焦げ、その身体からはプスプスと煙が上がっている。
ガクガクと震えが止まらなくなった私は、堪らず片膝をついた。
弱気になってはだめ。
さっきの試合で学んだはず。
現実から目を逸らしてはいけないと。
私が恐怖で動かなければ、ヤトはどうなるの?
私しか助けられる人はいないのよ!
私はキッと前を見据え立ち上がった。
ヤトは、瀕死だけれど意識はある。
流石に天狐の生命力は並ではない。
きっとなにか方法があるはずなんだ。
周りをよく見なければ。
「しぶといのう。ヌエよ、さっさと始末するがよい」
『ヒョウ』と返事をするヌエの身体から、黒い霧がむわっと立ちあがる。
それは空中に広がって、ヤトを縛り付けていたものに付着してゆく。
そして、それは姿を現した。
ヤトを縛り付けているもの、それは真っ黒な鎖だ。蜘蛛の巣のように張り巡らされた鎖。その中央にヤトは囚われていた。
稲妻に貫かれ、更に鎖はキリキリとヤトを縛り上げる。
苦悶の声を上げるヤトに、ヌエが襲いかかる。
動けないヤトを大きな爪で引き裂く。
「ぐあっ!」
ヤトの痛みが私の中に流れ込んでくる。
いつの間にか、ヤトと同調していたことに驚きを感じる。
だけど。
ああ、苦しくて息ができない。
焼け焦げた身体は痺れて熱い。
引き裂かれた身体からは血が吹きでて、そこから力が抜けていくよう。
あまりの痛みと苦しみに私は涙が滲んだ。
もう、やめてよ。
傷つくヤトをここで見ていることしかできないの?
このままここで、手をこまねいていれば、確実にヤトは死んでしまう。
そんなのは絶対に駄目よ。
どうする?
そんな時、きらりと月雅が光った気がした。
そうだ!
今の私にできることは、これしかない。
私は右手に月雅を握りしめた。
そして、おもむろに胸の前に掲げる。
目を閉じ、深い呼吸を繰り返す。
身体が熱く、力が滾る。私の身体の隅々まで熱は行き渡り、髪は巻き上がる。
そして、月雅がぱらりぱらりと開き始めた。
私の力がこの扇を通じて、ヤトへと流れ込む。ヤトは身体から銀色の光を発し赤い瞳をゆっくり開いた。
私とヤトは強い絆で結ばれている。
私の光が彼に流れ、光は満ちてゆく。
ああ、もうすぐよ。
私の想いは溢れ出し、たちまちその傷は癒えてゆく。
『ヤト、もう大丈夫。存分に暴れて来なさい』
私の心の声を感じ取ったヤトは頷き、口元に笑みを浮かべた。
そして、月雅をヤトへと向け私は叫んだ。
「真の姿を現せ。天狐!」
ヤトの身体から、銀色の光が放射される。
それはこの会場中に広がり、辺りのざわめきは大きくなる。
「な、なんと!」
爺はそう呟くと、瞠目して動きを止めた。
ヌエはヤトの光の強さに恐れおののき、ジリジリと後退する。
ブチっブチっと黒い鎖が断ち切られる音が響く。
銀色の光はひと際強くなり、伝説の妖狐である天狐を形作った。
空中に悠然として立つヤトは、先程の怪我を微塵も感じさせないほど艷やかな銀色の毛並みと、凛とした赤き瞳で敵を見下ろす。
巨大で美しい体躯は見るものを圧倒する。
どこからか拍手が上がったと思うと、それは伝播していき、会場中が大歓声に包まれた。
「尻尾が九つとは!九尾の天狐···」
爺は愕然とし呟いた。
敵が怯んでいる今がチャンスだ。
「ヤト!狐火」
ヤトは『オォーン』と吠えると、その身体を渦巻くように青白い炎が現れた。それはまさに炎の竜巻だ。
天狐の状態で発現する炎は、通常の比ではない。
それは尋常でない熱量と、近づくものを全て飲み込んでしまう引力を備え、その力に抗えないと感じたヌエはぶるぶると震えだした。
余程その炎が恐ろしいのか、二、三歩後退したかと思うと、脱兎のごとく逃げ出した。
ごうと唸りを上げた青白い炎は大きく広がり、ヌエを捉え喰らいつき、骨の髄まで焼き尽くす。
『ヒョウヒョウ』と、か細い鳴い声を残し、ヌエは燃え尽き、宝玉へと戻った。
「まさか···」
爺は呆然として肩を落とし、ブツブツと話し始めた。
「よもや、予選で儂が敗れるとは。あの娘、ただ者ではない。予想の遥か上をゆく術士よのう。本人の実力も確かめなければなるまい」
ドロっとして粘りつくような視線を感じた私は、ぶるっと震え爺を見やる。
爺は「ほっほっ」と不気味に笑うと踵を返し、舞台を後にした。
レフリーの勝者宣言の後も、会場は歓声に包まれ、大いに沸いている。
ヤトは天狐の姿のまま舞台に降り立つと、私の元へと歩み寄った。
「ヤト!」
私はそう叫ぶと、大きなヤトの首へ抱きついた。
「ヤト、ごめんね。苦しかったでしょう?」
私の問にヤトは頭を振ると言った。
「祭雅、いや深月よ。私は平気だ。まだまだ暴れたりないんだが」
「えええっ?!」
この人は?!
なんてことを言うのだ!平気なわけ無いでしょ。
私も痛みを感じていたんだから、彼がどんなに辛かったか、わかってるんだけどな。
絶対強がりだよね。
···でも。
「もう、ヤトは···。好きなだけ暴れても良いけどね。今日のところは休みなさいね。はい、宝玉へ戻って!」
ヤトはとても残念そうな目をして私を見るけど、だめだからね。
はあっとため息を吐いたヤトは、私に頬ずりをして宝玉へ戻っていった。
さあ、これで予選突破だ。
本選では私も戦うことになる。
今の予選決勝のように、何が起こるかわからない。
気を引き締めていかなければならないと、決意を新たに私は舞台を後にした。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
狐メイドは 絆されない
一花八華
キャラ文芸
たまもさん(9歳)は、狐メイドです。傾国の美女で悪女だった記憶があります。現在、魔術師のセイの元に身を寄せています。ただ…セイは、元安倍晴明という陰陽師で、たまもさんの宿敵で…。
美悪女を目指す、たまもさんとたまもさんを溺愛するセイのほのぼの日常ショートストーリーです。狐メイドは、宿敵なんかに絆されない☆
完結に設定にしていますが、たまに更新します。
※表紙は、mさんに塗っていただきました。柔らかな色彩!ありがとうございます!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話
カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
チートなんてない。
日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。
自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。
魔法?生活魔法しか使えませんけど。
物作り?こんな田舎で何ができるんだ。
狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。
そんな僕も15歳。成人の年になる。
何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。
になればいいと思っています。
皆様の感想。いただけたら嬉しいです。
面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。
よろしくお願いします!
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。
続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる