ダンジョン階層主の日常

研究2 武器

　ゴブリンは前回の実験を振り返ってこう思った。魔石を取り入れての強化が難しいのであればほかの方法を考えなければならないと。

　前回の実験からゴブリンは魔石を取り入れると一時的に強化されるが、その後死亡するということが分かって、魔石を直接取り入れて行う強化は難しいと思った。

　そのためゴブリンは考えた。どのようにすればあの憎らしい冒険者どもを倒せるかと、ゴブリンと冒険者でなぜここまでの差が出るのかと思った。

　考えてみれば単純なことであった、そもそもゴブリンの武器が弱すぎるという事実にゴブリンは気づいてしまった。

　ちなみに現在のゴブリンの武器は木のこん棒である。

　そしてこのゴブリンは生まれながらになぜか木のこん棒を持っている。しかもこの武器は手放しても念じればすぐに手元に戻ってくる、破損しても勝手に再生されたりする。

　この武器は生体武器と呼ばれ、その持ち主に適した最適化が行われる。

　この武器を持っている状態でも、ほかの武器を持つことは可能ではあるが最適化が行われにくくなるなどといった不都合なことがあると思われるので、できる限りその武器を使う必要がある。

　そのためいくら弱いといっても可能ならば使っておきたい。

　そしてその生成した魔物が死んだときにはいつのまにかこん棒は消えている。
　自然と消滅してしまうようだ。

　新しい武器を持つために冒険者を襲っても大体は返り討ちに合う。

　もし手に入っても確かにそれは強力な武器だが使っていくとどうしても武器は壊れていってしまう。しかし整備などもできないので使えなくなってしまってもどうしようもできない。

　この武器の問題はもっと考える必要があると階層主のゴブリンは思った。