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疑問
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「なぁ、ヴェル、あんた何者だ?」
皆が寝静まった深夜の馬車の中でヴェル、桜牙、誠、かぐやがテーブルを囲んでいる。
「酸素なんて言葉、この世界では出てこないだろう。」
桜牙と誠は疑問を投げつける。
「あぁ、コチラの生物は空気中の魔素を吸って生きておるからな。」
「では、なぜだ?」
「我は転生者なのだ。お主らと同じ地球からのな」
ヴェルはケロリとした顔でそう言った。
「「はぁ!?」」
「まぁ、200年も前の話だがな。」
「つまり…江戸時代頃の人ってことか?」
二人の転移者は困惑の表情である。
「そう、だから妖鬼の事も知っておる。よくよくな。」
「なるほど、そうするとヴェルも世界を良くするという使命できたのか?」
「いや、何も言われんかった。」
『それは妙ですね…』
静かに聞いていたかぐやが目を細めた。
「どういうことだ?」
『本来、転生者にしても転移者にしても案内役が居るはずです。桜牙の時に私がしたように。案内役の役目は世界のルール説明と使命を伝える事ですからそれが居ないというのは…』
「ありえない…ってことか…」
『はい、考えられる可能性としては2つ…本来の転生者に魂を引っ張られたか…あるいは本当に偶々記憶を持って生まれ変わってしまったか、ですね。後者に関してはほぼありえませんが…』
「ふむ…謎は深まる一方だ…」
皆が腕を組み思考にふける。
「……なぁ、ヴェル、俺達と一緒に来ないか?」
「馬鹿を言うな、我は一国の王だぞ?国を捨てるなどできない。」
「そうか…」
「その代わり、国の王として先輩転生者としてあらゆる面でサポートしてやる。お前達は革命をおこしてくれ。我らエルフは女性しかおらぬ。種族としても、性としてもまだまだ差別的な目を向けられる。頼む。」
「もちろん!!」
【おい。微かだが魔力の香りがするぞ。この臭いは…夢魔だな。】
桜牙の影から妖鬼が顔を出した
「夢魔?」
「幸せな夢を見せ、魂を太らせ食らう魔族の総称じゃな。」
「だとしたらまずくないか?」
桜牙と誠が武器を手に立ち上がる。
【今は誰もかかってねぇ…馬車全体に魔防壁が付与されているおかげだな。】
「よかった…メメの防壁だな。」
【あの馬もよく分かんねぇな。喋る動植物ってのはそこまで珍しく無いが…能力持ちってのがどうも引っかかる。】
『たしかに…言われてみれば違和感ですね。』
「そうか、スキルは神の加護だから動植物が持ってるのはおかしいのか。」
「だめだ、疑問が多すぎる、アジトに帰ってからにしよう!寝る!」
桜牙はそのまま机に突っ伏して寝息を立てた。
「こやつ…急に雑くなりおったな…まったく…」
『まぁ…とにかくアジトに戻ってからとの事ですし、各々休みましょう。』
皆が寝静まった深夜の馬車の中でヴェル、桜牙、誠、かぐやがテーブルを囲んでいる。
「酸素なんて言葉、この世界では出てこないだろう。」
桜牙と誠は疑問を投げつける。
「あぁ、コチラの生物は空気中の魔素を吸って生きておるからな。」
「では、なぜだ?」
「我は転生者なのだ。お主らと同じ地球からのな」
ヴェルはケロリとした顔でそう言った。
「「はぁ!?」」
「まぁ、200年も前の話だがな。」
「つまり…江戸時代頃の人ってことか?」
二人の転移者は困惑の表情である。
「そう、だから妖鬼の事も知っておる。よくよくな。」
「なるほど、そうするとヴェルも世界を良くするという使命できたのか?」
「いや、何も言われんかった。」
『それは妙ですね…』
静かに聞いていたかぐやが目を細めた。
「どういうことだ?」
『本来、転生者にしても転移者にしても案内役が居るはずです。桜牙の時に私がしたように。案内役の役目は世界のルール説明と使命を伝える事ですからそれが居ないというのは…』
「ありえない…ってことか…」
『はい、考えられる可能性としては2つ…本来の転生者に魂を引っ張られたか…あるいは本当に偶々記憶を持って生まれ変わってしまったか、ですね。後者に関してはほぼありえませんが…』
「ふむ…謎は深まる一方だ…」
皆が腕を組み思考にふける。
「……なぁ、ヴェル、俺達と一緒に来ないか?」
「馬鹿を言うな、我は一国の王だぞ?国を捨てるなどできない。」
「そうか…」
「その代わり、国の王として先輩転生者としてあらゆる面でサポートしてやる。お前達は革命をおこしてくれ。我らエルフは女性しかおらぬ。種族としても、性としてもまだまだ差別的な目を向けられる。頼む。」
「もちろん!!」
【おい。微かだが魔力の香りがするぞ。この臭いは…夢魔だな。】
桜牙の影から妖鬼が顔を出した
「夢魔?」
「幸せな夢を見せ、魂を太らせ食らう魔族の総称じゃな。」
「だとしたらまずくないか?」
桜牙と誠が武器を手に立ち上がる。
【今は誰もかかってねぇ…馬車全体に魔防壁が付与されているおかげだな。】
「よかった…メメの防壁だな。」
【あの馬もよく分かんねぇな。喋る動植物ってのはそこまで珍しく無いが…能力持ちってのがどうも引っかかる。】
『たしかに…言われてみれば違和感ですね。』
「そうか、スキルは神の加護だから動植物が持ってるのはおかしいのか。」
「だめだ、疑問が多すぎる、アジトに帰ってからにしよう!寝る!」
桜牙はそのまま机に突っ伏して寝息を立てた。
「こやつ…急に雑くなりおったな…まったく…」
『まぁ…とにかくアジトに戻ってからとの事ですし、各々休みましょう。』
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