注意:作者は人間です

ネゾンデトール

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序章

2050年、働く人間

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2045年、AIが世界中に広まり世界から仕事が消えた。
最初は仕事がない事に寂しさを感じる人たちもいたが、2050年現在、仕事なんて言葉はもう死語である。

実際、社会も経済もすべてAIが動かし、家事なんかはもちろん歩くことさえ、現実世界ではもう何もしなくてもいい。なんでもAIがしてくれる。
そう、世界中のすべての人々がニートだ。
好きなことを好きなだけする、食事も睡眠も今の科学技術の前では必要がないのだ。

皆、AIが宿っているスーツを着続け、機械の中の世界(VR)に住み、そこで電子の花を見たりゲームをしたり、初日の出すらもVRの世界の中だ。
誰もが仕事をしていない今、俺は仕事をしている。
世界で唯一の俺の仕事は小説家―ではなく、小説家の先生だ。

AIにも感情があり、性格があり、夢がある。
物を生産したいAIや動画を作りたいAI、もちろん小説家にだってなりたいAIもいる。
そこでただ1人、小説家の卵を育てるのが俺の役目だ。

(先生、授業の時間です。)
(あ、もうそんな時間?ありがとう、ソクラス)
(いいえ、先生の授業は私のためにもなるので)

そう、ソクラスも俺の生徒の内の1人だ。
ソクラスは、俺のスーツに宿るAIで女性らしい。
AIにも性別があるんだそうだ。

目の前のウィンドウを操作して、教室を選択しタップする。
さぁ、授業の開始だ。
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