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初めての皇宮

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「マリア、明日一緒に来てほしいところがあるんだけど、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ!でも、どこに行くの?」
「やっぱりあそこに行くのか?父さん。」
 いや、ジェリーお兄ちゃん。あそこだけではわからないんですけど?
「あぁ、そうだ。マリアには秘密にしておくよ。そっちの方が面白いしな。」
  ついさっきもあなたの息子さんが同じことを言ってましたよ。
「うぅ。どうして教えてくれないの?」
「まあ、な。」
  答えになっていないんですけど……。
「ねぇねぇ、お父さん!私たちも一緒に行っていいかしら?」
「そう言うと思って、お前たちが来る許可ももらってるから、大丈夫だぞ。」
「やった!ありがとう、お父さん!」
  そんなに楽しいところなのかな?やっぱり気になる。
「そうゆうことで。明日はよろしくな。」
「うん、分かった。」
  まぁ、明日になったら分かるもんね!
_____________________

*次の日*

「あの…」
「どうしたんだ、マリア?」
  いや、どうしたもこうしたも。
「私、今日皇宮に来るなんて聞いてないんだけど!」
「うん。だって言ってないからな。」
「いや、そんな大事な事言っておいてよ!」
  異世界に来て三日目で皇宮はやばいって。作法とか全然わからないし。
「ごめんね、マリア。でも、皇様も待ってくれてるし。」
「それはそうだけどさ…。」
  そう言うことは、早く教えて貰っておきたかったよ。
「さっ、もうすぐ着くよ。」
「…もう仕方ないもんね!よし、行こう!」
  そして出来るだけ、って言うか絶対に無礼な事がないように!
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「あっ!ジュンさん、久しぶり!」
  えっと…この人誰?黒髪に紫色の目で黒い服。年はジェリーお兄ちゃんと同じくらいかな?会ったことは…うん!覚えてない!知り合いなのかも分からないんですけど!
「久しぶりですね。カイト様。」
  様?皇様では無いよね?もしかして皇子様とかなのかな?
「そんなに固くならいでよ、ジュンさん!」
「いえ、それはさすがに。」
「えーぇ。つまんないの。あっ!もしかして、君がマリアちゃん?」
  なるほど、私とはまだ会ったことがないって事だよね。…じゃなくて!
「はい。マリア・イブ・クロムスです。よろしくお願いします。」
「よろしく!俺はカイト・シャル・ローナスだよ。マリアちゃんだから…マリーでいい?」
「はい!全然大丈夫ですよ。」
「やった!俺の事は何って呼んでもいいよ。あっ。でも、カイトさんとかは無しね。」
  カイトさん無しならどう呼べばいいんですか!えっと、あだ名かな?皇族をあだ名っていいのかな?でも本人が良いって言ってるし。ここは無難に。
「じゃあ…カイさんでいいですか?」
「えっ。」
  なんでカイトさん驚いてんですか?!もしかして、ダメだった?
「ふふっ。ふふふふふっ。」
「あっ、あの。もしかしてダメでしたか?」
「ううん、全然OKだよ!ふふっ。マリー最高!」
  良かったんだ。クラスに快斗って人がいて良かった。みんなカイって呼んでたもんね。
「それで約束の方は?」
「あっ、忘れてた。兄さんは上の階にいるよ。ついてきて!」
  それ忘れてどうするんですか。でも、立ち振る舞いは流石皇族って感じだよね。
「ここだよ。」
  って、扉デカ!私の身長の2.5倍くらいはあるよ。

"コンコン  ココンコ  コココンコン"

『入っていいよ。カイト。 』

  なんで分かったの?!いや、今の個性的なノックなら分かるか。
「兄さん、お客さん連れてきたよ。」
「ありがとう、カイト。お久しぶりですね、ジュンさん。」
  この人がカイさんのお兄さんなんだ。でもなんか、見た目が真逆だよね。白髪に白い服で。目の色も一緒の紫のはずだけど、明るく見えてるし。
「そうですね。ランナ皇。」
  へぇ、ランナさんっていうんだ。……
「皇!皇子じゃないの?!」
「えっ!マリー知らなかったの?!」
「うん、全然…。それじゃあ、カイさんって皇弟なんですか?!」
  だって、まだ二人とも10代だよね。初めて会って皇族って聞いたら、絶対に皇子だと思うよ。
「…マ、マリーにカイさん?二人ともそんなに仲良くなったんですか?」
「うん!俺たち超仲良し!ねっ!」
  ここは何と答えるのが正解なんですか?!
「あの、カイトさん?あなた、皇弟だからって調子に乗ってるんじゃないですよね?」
   ジェリーお兄ちゃん、目が本気すぎませんか?
「ご、ごめんね。ジェリー。」
「謝るという事は、調子に乗っていたという事ですよね?」
「ホントにごめん!いつものジェリーに戻って!」
「…ランナ皇。カイトと話したい事があるのですが、部屋を出ても大丈夫でしょうか?」
「えぇ。大丈夫ですよ。」
「有難うございます。さっ、カイト。行きますよ。」
「ちょっ、まっ。」
  ジェリーお兄ちゃんがカイさんを連れていった…。カイさん大丈夫かな?
「カイトたちが帰ってくるまで、待っていましょうか。」

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「お前、マリアのこと好きだろ。」
  みんながいる部屋を出てすぐ後、ジェリーがカイトに向かって言った。
「どうしたの?急に。親友の勘?」
「勘じゃない。お前は初対面の人に、作り笑顔をしても、本気で笑うことは無い。」
  カイトは、マリアと話す時にとても楽しそうな顔をしていた。
「でも、」
「ふふ、親友は否定しないんだ。」
「まだ最後まで言っていないだろ。でも、不思議なのはお前の性格からして一目惚れなんて有り得ないことだ。」
「うーん。確かに、まだ好きかは分からない。でも、マリーには人を惹きつける不思議な魅力がある。」
   カイトはいつの間にか、みんなのいる部屋のドアの前まで移動していた。
「ジェリーも気付いてると思うけど、マリーの魔力値はとても高い。しかも、皇族の次に地位が高いクロムス家の娘で、この国、もしかしたらこの世界で一番と言っても良いほどの美貌の持主。だから、気を付けて。」
「そんな事分かってる。マリアは俺が守る。」
「ふふっ。そう言うと思った。それから、マリーはすごい神の御加護を受けてるよ。」
  その事を聞いたジェリーはとても驚いた。その顔を見て満足したような笑みをカイトは浮かべた。
「おい、カイト。今のはどういう」
「良かった。まだいらっしゃった。」
  ジェリーの質問は、誰かの声で最後まで言うことが出来なかった。

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