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光の盾と闇の矛
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試験当日。
「今日はいい天気だな」
快晴。試験会場には影一つなく、全てが照らされ、全体がよく見える。
「...死ぬ」
俺は今、試験会場をぐるっと囲んだ観客席に座っていた。
隣には柳沢がおり、椅子にべったりと溶けきっていた。
「大丈夫か?」
「...無理。私インドア派なの。こんな日差しに耐えるなんて」
そう言って、柳沢はより一層スライムに近付いていった。
「お待たせしました」
「ほっ!」
俺と柳沢がいる場所に指輪と牧村も合流した。
二人にはこの暑さの中耐えるのも難しいと考え、水やお茶を買ってきてもらった。
「早く!早くそれを頂戴!」
むしろいつもより元気な柳沢が指輪を揺らす。
「はいはい。どうぞ」
「ありが——ごく、ごく」
礼を言う途中でペットボトルに口を付けていた。
本当に死にそうだったのだろう。
「この学校、金があるはずなのに会場に屋根一つないからな」
「確かにな」
牧村も流石にこの暑さに疲弊しているのか、汗を拭っている。
見るからに鍛えられている身体を持っているが、本人も言っていた通り、スタミナはあまり持っていないのだろう。
俺自身、少々疲れてきた。
「試験前にこれじゃあ私たち負け確だよ」
「確かに。...そうだな、なら<————>」
ヒュー...
「あれ?」
「おぉ、涼しい風だな」
「...っていうか、ずっとひんやりしてる」
まぁ、これくらいしたっていいだろう。俺はこっそりとタイトルを使用した。
「これなら試験も頑張れるな」
「...まぁ」
柳沢たちは困惑しつつも、俺のタイトルによって冷やされた空間を満喫した。
そして、それに平行して他グループの試験はどんどん過ぎ去っていく。
「こうやって見ると、俺のクラスのレベルって高いな」
「今更ですか?」
「器用貧乏の目から見たら皆格上、同じように見えたんだ」
「今はどうですか?」
「勝てる」
「ならよかったです」
今の心持ちなら、俺でも勝てると思える策はいくつも考えられる。
手数だけは多くてよかった。臨機応変にやれば負けることはないだろう。
「なぁ、そういえばさ。負けると何かあるのか?」
「普通に負けるくらいなら大丈夫だと思いますが、試験監督がそれぞれに評価をして、D以上のスコアを出さないと、確か...単位が貰えないかったと思いますよ」
「...」
「...」
「は?」
単位が貰えない?
「大丈夫ですよ。ひどい負け方さえしなければEは基本的に取りませんし、勝てればいいんですから」
「んなこと、簡単に言いやがって」
これがSランクの言うことか。よほど余裕なのだろう。
「大丈夫かな、俺」
「私、頑張れ。ファイト...」
牧村と柳沢がすでにしょぼしょぼに。
「まぁ、頑張ろうな」
「おう...」
「えぇ...」
二人とも以前の俺に比べればかなり上位のタイトル保持者だ。なら、試験も万全だと思うが...。
大丈夫だよな?
♢
俺たちの順番が回ってきた。
他のグループの試験も見ていたが、そこまで記憶には残っていなかった。
実技試験は一回のみ。二つのグループが試験を終えると、同じグループは対戦相手にはならない。
そのため、事前のグループ視察ができない。
どんな奴が来るかな?
まぁ、あらかた予想はできているが...。
「それでは、皆さん。頑張ってこの試験を乗り越えましょう!」
「おう!」
「...オッケー」
「よし、行こう!」
俺たちは薄暗い廊下を歩いて行き、眩しい光が差す出口へ向かう。
「うっ...」
強い日差しに向かって手を日と目の間に挟み、視界が慣れるのを待つ。
視界が開き、中央に大きく陣取っている闘技場のインパクトに驚く。
「上で見てた時とは感覚が違うな」
「...確か百メートルカケル百メートルの正方形だったはず」
「かなりの大きさだな。ここで一対一をするのかー」
確かに、一対一の闘技場にしてはやたら広い気がするな。
とはいえ、大きな力を放つタイトル保持者がいた場合を考えれば妥当か。
「俺らの対戦グループは誰だ?」
牧村が手のひらをおでこ辺りに置き、日差しを遮りながら、遠くを見つめる。
「お!...まさか俺たちの相手は神崎たちのグループか?」
「まさか彼のグループと当たることになるとは...」
神崎 聖司。この学校で数少ないAランクのタイトル保持者だ。
彼は自身の強さに疑いがなく、慢心的で傲慢な性格の持ち主。そして、俺をイジメていた集団の一人でもある。
百メートル以上離れているのに、俺たちが相手のグループに神崎がいることが分かった訳は奴が背負っている大剣。あんなに大きな剣を持っているのはこの学校でも少ない。
まぁ、予想はできていた。俺たちのグループにはクラス順位一位の指輪がいるんだ。なら、クラス順位二位の神崎が相手になるのが普通だろう。
「あのグループと戦うことになるということは、かなりの苦戦を強いられることになるでしょうね」
「だが、それでも俺たちは全力を尽くすぜ!」
「...私もできることはないだろうけど、頑張る」
俺の番が来ることはないだろうが、それでもこのグループの一員としてできることをしよう。
ということで...。
「よし!絶対勝つぞ!」
「...」
「朝比奈さんってそんな熱血キャラだっけ?」
「い、いや。たぶん俺の番はこないだろうからせめて応援だけでもと思って」
「なんか、気持ち悪い」
「カハッ...」
柳沢から冷徹なお言葉を頂く。
出会って数日の女子から気持ち悪いと言われる。これほどまでに苦痛なのか。
「まぁまぁ、試験始まりますよ」
指輪のおかげでそのまま話題を続けずに済んだ。
俺たちは闘技場横に集められた。そこには一人の試験官と相手グループもいた。
互いのグループに挨拶をし、試験官から試験のルール等を一通り聞かされた。
「ではこれから、試験を始めます。それぞれのグループは順番に先鋒から闘技場へ上ってください」
試験官のその言葉を聞いて、俺たちはまた出てきた位置と同じ方向へ帰っていった。
「それじゃあ、牧村。先鋒頼んだぞ」
「おう!任せとけ。だが、最初だけだろうな」
牧村はスタミナがないと言っていた。だが、牧村の持つタイトルならば、持久戦に持ち込む前に決着をつけることもできるはずだ。なら、勝てる確率は多いだろう。
牧村が五段の階段を上ると、向こうにも同じように上って来た人影が見えた。
「え...」
そして、それはあまりにも意外な人物が出てきた。
「おいおい、まさか俺の相手は神崎か?」
これは、少々想定外だな。
俺たちのグループが指輪を中堅にしたように、相手も自分のグループで一番強いタイトル保持者を大将以外の順番に回すことを考えてもおかしくはない。
ただまさか、一番目にそれをもってくるとは。
「よろしくな!」
「...はっ。雑魚の分際で気安く話しかけんな」
中央で二人が挨拶(?)を交わすと、試験官が合図の用意をとった。
「神崎が相手か」
「朝比奈くんは牧村くんが心配ですか?」
「そりゃな」
「そうでしょうね。彼は強いですから。牧村くんは負けてしまうかもしれませんね」
「...」
「それでも、牧村くんが勝とうとする気持ちだけは誰にも負けませんよ」
「そうだな」
「私たちは彼が勝てるように応援してましょう」
そうだな。仲間を信じるのも、大切なことだよな。
「それでは、試験を開始する。はじめ!」
試験官の合図が闘技場に響き渡る。
「いくぜ!<黄金の装甲>」
牧村の言葉と共に、闘技場の全体が光輝いたかのように見えた。
そして、反対に神崎も同じようにタイトルを発動する。
「なるほど、俺の相手にはもってこいの奴だった訳か。<黒剣の騎士>」
眩しいほどに辺りを照らす牧村とは反対に、神崎は禍々しいほどの大剣を抜いた。
「今日はいい天気だな」
快晴。試験会場には影一つなく、全てが照らされ、全体がよく見える。
「...死ぬ」
俺は今、試験会場をぐるっと囲んだ観客席に座っていた。
隣には柳沢がおり、椅子にべったりと溶けきっていた。
「大丈夫か?」
「...無理。私インドア派なの。こんな日差しに耐えるなんて」
そう言って、柳沢はより一層スライムに近付いていった。
「お待たせしました」
「ほっ!」
俺と柳沢がいる場所に指輪と牧村も合流した。
二人にはこの暑さの中耐えるのも難しいと考え、水やお茶を買ってきてもらった。
「早く!早くそれを頂戴!」
むしろいつもより元気な柳沢が指輪を揺らす。
「はいはい。どうぞ」
「ありが——ごく、ごく」
礼を言う途中でペットボトルに口を付けていた。
本当に死にそうだったのだろう。
「この学校、金があるはずなのに会場に屋根一つないからな」
「確かにな」
牧村も流石にこの暑さに疲弊しているのか、汗を拭っている。
見るからに鍛えられている身体を持っているが、本人も言っていた通り、スタミナはあまり持っていないのだろう。
俺自身、少々疲れてきた。
「試験前にこれじゃあ私たち負け確だよ」
「確かに。...そうだな、なら<————>」
ヒュー...
「あれ?」
「おぉ、涼しい風だな」
「...っていうか、ずっとひんやりしてる」
まぁ、これくらいしたっていいだろう。俺はこっそりとタイトルを使用した。
「これなら試験も頑張れるな」
「...まぁ」
柳沢たちは困惑しつつも、俺のタイトルによって冷やされた空間を満喫した。
そして、それに平行して他グループの試験はどんどん過ぎ去っていく。
「こうやって見ると、俺のクラスのレベルって高いな」
「今更ですか?」
「器用貧乏の目から見たら皆格上、同じように見えたんだ」
「今はどうですか?」
「勝てる」
「ならよかったです」
今の心持ちなら、俺でも勝てると思える策はいくつも考えられる。
手数だけは多くてよかった。臨機応変にやれば負けることはないだろう。
「なぁ、そういえばさ。負けると何かあるのか?」
「普通に負けるくらいなら大丈夫だと思いますが、試験監督がそれぞれに評価をして、D以上のスコアを出さないと、確か...単位が貰えないかったと思いますよ」
「...」
「...」
「は?」
単位が貰えない?
「大丈夫ですよ。ひどい負け方さえしなければEは基本的に取りませんし、勝てればいいんですから」
「んなこと、簡単に言いやがって」
これがSランクの言うことか。よほど余裕なのだろう。
「大丈夫かな、俺」
「私、頑張れ。ファイト...」
牧村と柳沢がすでにしょぼしょぼに。
「まぁ、頑張ろうな」
「おう...」
「えぇ...」
二人とも以前の俺に比べればかなり上位のタイトル保持者だ。なら、試験も万全だと思うが...。
大丈夫だよな?
♢
俺たちの順番が回ってきた。
他のグループの試験も見ていたが、そこまで記憶には残っていなかった。
実技試験は一回のみ。二つのグループが試験を終えると、同じグループは対戦相手にはならない。
そのため、事前のグループ視察ができない。
どんな奴が来るかな?
まぁ、あらかた予想はできているが...。
「それでは、皆さん。頑張ってこの試験を乗り越えましょう!」
「おう!」
「...オッケー」
「よし、行こう!」
俺たちは薄暗い廊下を歩いて行き、眩しい光が差す出口へ向かう。
「うっ...」
強い日差しに向かって手を日と目の間に挟み、視界が慣れるのを待つ。
視界が開き、中央に大きく陣取っている闘技場のインパクトに驚く。
「上で見てた時とは感覚が違うな」
「...確か百メートルカケル百メートルの正方形だったはず」
「かなりの大きさだな。ここで一対一をするのかー」
確かに、一対一の闘技場にしてはやたら広い気がするな。
とはいえ、大きな力を放つタイトル保持者がいた場合を考えれば妥当か。
「俺らの対戦グループは誰だ?」
牧村が手のひらをおでこ辺りに置き、日差しを遮りながら、遠くを見つめる。
「お!...まさか俺たちの相手は神崎たちのグループか?」
「まさか彼のグループと当たることになるとは...」
神崎 聖司。この学校で数少ないAランクのタイトル保持者だ。
彼は自身の強さに疑いがなく、慢心的で傲慢な性格の持ち主。そして、俺をイジメていた集団の一人でもある。
百メートル以上離れているのに、俺たちが相手のグループに神崎がいることが分かった訳は奴が背負っている大剣。あんなに大きな剣を持っているのはこの学校でも少ない。
まぁ、予想はできていた。俺たちのグループにはクラス順位一位の指輪がいるんだ。なら、クラス順位二位の神崎が相手になるのが普通だろう。
「あのグループと戦うことになるということは、かなりの苦戦を強いられることになるでしょうね」
「だが、それでも俺たちは全力を尽くすぜ!」
「...私もできることはないだろうけど、頑張る」
俺の番が来ることはないだろうが、それでもこのグループの一員としてできることをしよう。
ということで...。
「よし!絶対勝つぞ!」
「...」
「朝比奈さんってそんな熱血キャラだっけ?」
「い、いや。たぶん俺の番はこないだろうからせめて応援だけでもと思って」
「なんか、気持ち悪い」
「カハッ...」
柳沢から冷徹なお言葉を頂く。
出会って数日の女子から気持ち悪いと言われる。これほどまでに苦痛なのか。
「まぁまぁ、試験始まりますよ」
指輪のおかげでそのまま話題を続けずに済んだ。
俺たちは闘技場横に集められた。そこには一人の試験官と相手グループもいた。
互いのグループに挨拶をし、試験官から試験のルール等を一通り聞かされた。
「ではこれから、試験を始めます。それぞれのグループは順番に先鋒から闘技場へ上ってください」
試験官のその言葉を聞いて、俺たちはまた出てきた位置と同じ方向へ帰っていった。
「それじゃあ、牧村。先鋒頼んだぞ」
「おう!任せとけ。だが、最初だけだろうな」
牧村はスタミナがないと言っていた。だが、牧村の持つタイトルならば、持久戦に持ち込む前に決着をつけることもできるはずだ。なら、勝てる確率は多いだろう。
牧村が五段の階段を上ると、向こうにも同じように上って来た人影が見えた。
「え...」
そして、それはあまりにも意外な人物が出てきた。
「おいおい、まさか俺の相手は神崎か?」
これは、少々想定外だな。
俺たちのグループが指輪を中堅にしたように、相手も自分のグループで一番強いタイトル保持者を大将以外の順番に回すことを考えてもおかしくはない。
ただまさか、一番目にそれをもってくるとは。
「よろしくな!」
「...はっ。雑魚の分際で気安く話しかけんな」
中央で二人が挨拶(?)を交わすと、試験官が合図の用意をとった。
「神崎が相手か」
「朝比奈くんは牧村くんが心配ですか?」
「そりゃな」
「そうでしょうね。彼は強いですから。牧村くんは負けてしまうかもしれませんね」
「...」
「それでも、牧村くんが勝とうとする気持ちだけは誰にも負けませんよ」
「そうだな」
「私たちは彼が勝てるように応援してましょう」
そうだな。仲間を信じるのも、大切なことだよな。
「それでは、試験を開始する。はじめ!」
試験官の合図が闘技場に響き渡る。
「いくぜ!<黄金の装甲>」
牧村の言葉と共に、闘技場の全体が光輝いたかのように見えた。
そして、反対に神崎も同じようにタイトルを発動する。
「なるほど、俺の相手にはもってこいの奴だった訳か。<黒剣の騎士>」
眩しいほどに辺りを照らす牧村とは反対に、神崎は禍々しいほどの大剣を抜いた。
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