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水曜日
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後輩に合コンに誘われたものの、適当に理由をつけて急いで帰って来た。「先輩って本当は彼氏いるんですよね?」と聞かれたけれど、曖昧に笑って誤魔化しておいた。
現実には居ないけど、夢には五人の旦那様が居るよ何て言える筈無い。夢見がちだった中学生の時じゃないんだから。そりゃあ、もしかしてこの夢は本当じゃないかって、思う時もあったけどねー。
もう私も28だし、叶わない夢ばかり追っても仕方ないでしょ。
着替えてお風呂に入り、化粧を直して新しい寝巻きに着替えて布団を被る。いつかこの夢すら見なくなってしまったら、私はどうするんだろう。一人ぼっちで、死んでいくのかな。
少し悲しい気持ちのまま、夢に誘われていく。
…
目を開けて夢に入った事を確認する。相変わらず頑強そうな家具や壁に触れ、感触を楽しむ。きらびやかで美しい室内は、国の主の部屋だと分かる。
寝室で待っていようと開け放たれた扉をくぐり、目に入った光景に固まってしまう。
広い寝台に半裸で眠る5番目の旦那様…と、その上に全裸で身体を擦りつける美少女。
うん…これは、初めてのパターンかも。まさかの新キャラ登場って奴だね。
それなりに年を重ねた自分だが、夢の中とはいえ流石に夫の決定的瞬間を見るのは衝撃的だった。まあ、良いよ。私も7日に一度の間だし、夫も五人居るし。自分自身に言い聞かせていると、ベッドに眠る男がピクリと反応する。
金色の髪の毛から覗くピンと尖った獣耳が動き、ヒクと鼻を動かすと瞼が開く。私の姿を認め目が輝いたと思えば、自分の体の違和感に視線を下ろし少女の姿に目を見開く。
「…んな?!貴様何をしている!!」
「あん…陛下ぁ…どうか、お情けを下さいまし…。」
顔を青ざめて慌てる彼と甘える少女を見て、私は妙に落ち着いていた。
「ええと、お邪魔してごめんね?ごゆっくりー。」
此方の言葉に「違う!待ってくれ…!」と叫ぶ彼は、少女の腕を乱暴に掴むと部屋から追い出してしまう。扉の鍵を直ぐに閉めて、寝室から出て行こうとする私に追い縋ってくる。
「…待ってくれ誤解だ!勝手にあの女が入ってきていたらしい…。誓って何もしていない!何故俺が貴女以外に触れたいと思う!俺の番は貴女だけなのに…。」
「…うーん、でも邪険にしたら可哀想だよ。クロードだって王様なんだから、奥さんの5人や6人居てもおかしくないって。」
実力主義の獣人国を治める金色の獅子の獣人であるクロード。彼と会ったのは、まだ2歳の時だった。5つも年下だったのもあり、20歳を超えてプロポーズされた時は内心驚いたものだ。
獣人が居るって所が、夢ならではだよね。
私の言葉にぎゅっと唇を噛み締めたかと思うと、涙目で抱き付いてくる。
「…嫌だ。捨てないで…ごめんなさい…。」
年下の可愛らしさに、何だかんだほだされてしまう。捨てないよ、と少し笑って抱き締め返す。寝室に運ばれた後、いつもより激しかったのは気のせいじゃないと思う。
…
旦那様以外の人を見たのは初めてだったなあ。
意外と楽しみかも。
現実には居ないけど、夢には五人の旦那様が居るよ何て言える筈無い。夢見がちだった中学生の時じゃないんだから。そりゃあ、もしかしてこの夢は本当じゃないかって、思う時もあったけどねー。
もう私も28だし、叶わない夢ばかり追っても仕方ないでしょ。
着替えてお風呂に入り、化粧を直して新しい寝巻きに着替えて布団を被る。いつかこの夢すら見なくなってしまったら、私はどうするんだろう。一人ぼっちで、死んでいくのかな。
少し悲しい気持ちのまま、夢に誘われていく。
…
目を開けて夢に入った事を確認する。相変わらず頑強そうな家具や壁に触れ、感触を楽しむ。きらびやかで美しい室内は、国の主の部屋だと分かる。
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広い寝台に半裸で眠る5番目の旦那様…と、その上に全裸で身体を擦りつける美少女。
うん…これは、初めてのパターンかも。まさかの新キャラ登場って奴だね。
それなりに年を重ねた自分だが、夢の中とはいえ流石に夫の決定的瞬間を見るのは衝撃的だった。まあ、良いよ。私も7日に一度の間だし、夫も五人居るし。自分自身に言い聞かせていると、ベッドに眠る男がピクリと反応する。
金色の髪の毛から覗くピンと尖った獣耳が動き、ヒクと鼻を動かすと瞼が開く。私の姿を認め目が輝いたと思えば、自分の体の違和感に視線を下ろし少女の姿に目を見開く。
「…んな?!貴様何をしている!!」
「あん…陛下ぁ…どうか、お情けを下さいまし…。」
顔を青ざめて慌てる彼と甘える少女を見て、私は妙に落ち着いていた。
「ええと、お邪魔してごめんね?ごゆっくりー。」
此方の言葉に「違う!待ってくれ…!」と叫ぶ彼は、少女の腕を乱暴に掴むと部屋から追い出してしまう。扉の鍵を直ぐに閉めて、寝室から出て行こうとする私に追い縋ってくる。
「…待ってくれ誤解だ!勝手にあの女が入ってきていたらしい…。誓って何もしていない!何故俺が貴女以外に触れたいと思う!俺の番は貴女だけなのに…。」
「…うーん、でも邪険にしたら可哀想だよ。クロードだって王様なんだから、奥さんの5人や6人居てもおかしくないって。」
実力主義の獣人国を治める金色の獅子の獣人であるクロード。彼と会ったのは、まだ2歳の時だった。5つも年下だったのもあり、20歳を超えてプロポーズされた時は内心驚いたものだ。
獣人が居るって所が、夢ならではだよね。
私の言葉にぎゅっと唇を噛み締めたかと思うと、涙目で抱き付いてくる。
「…嫌だ。捨てないで…ごめんなさい…。」
年下の可愛らしさに、何だかんだほだされてしまう。捨てないよ、と少し笑って抱き締め返す。寝室に運ばれた後、いつもより激しかったのは気のせいじゃないと思う。
…
旦那様以外の人を見たのは初めてだったなあ。
意外と楽しみかも。
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それではお楽しみください。すずなり。
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