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月曜日
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今日も今日とて、缶ビール片手におつまみで晩酌を楽しむ。28歳の平凡なOLにとって結婚願望は普通にあった筈なのに、今は独り身を満喫する毎日だ。
うん、何だろう。分かってる、同級生や後輩の結婚報告は耳に痛いよ?でもね。申し訳無いけど、もう周りの男にはときめかないの。
別に美人でも特別な魅力を持ってる訳でもない私には、そうなってしまった理由がある。
ぐいっと最後の一口を飲み終えて、片付けもそこそこに歯を磨いて少し気合いの入れた下着に、ちょっとお高かめの寝巻きでベッドに横になる。もしも知らない人に見られたら、一体誰に見せるの?と笑われてしまいそうだ。
だって今日は月曜日。私の素敵な旦那様の一人に会える日なんだから。うっわー、良い年して痛いなあ私。
次第に重くなる瞼に釣られ、目を閉じて眠りに身を委ねる。
…
ゆっくり目を覚ますと、ファンタジー物の映画でお目にかける様な豪奢な寝室だった。まるで、中世のヨーロッパで王族が使用しているのかと思う調度品が視界に映る。小学校から毎日見続ければ慣れたもので、このリアルな夢には寝た時の姿で現れる。
室内にある物には触れられるが、室内からは決して出られない夢。
無駄に豪華なベッドに腰掛けると、時を待たずに訪れる部屋の持ち主。
「…ユーカ。俺の妃よ、待ち詫びていた。」
「カイン、7日ぶりだね。」
情熱的に抱き締めてくる相手の体温を感じ目を閉じる。カイン=ライドヴェルト。7歳の時から月曜日の夢で会う人。彼はディン帝国の皇子様で、艶のある黒髪を後ろに流し、彫りの深い絶世の美形で紅い瞳を持っている。適度に鍛えられた身体、190は超えるだろう長身はそこらの俳優やアイドルなんか目じゃない。
15歳の時にプロポーズされて以来彼の妃って事なんだけど、よく出来た夢だなあと思う。昔は部屋でよく泣いてたんだけど、今では大人の色気半端ない立派な男性にしか見えない。
「ユーカ…ユーカ、ユーカ。」
「ふふ。どうしたの?」
首筋に擦り寄せられ、触れる肌がくすぐったくて笑ってしまう。外見だけなら近寄りがたいんだろうけど、長い付き合いと素直に甘えられる関係で、そんな仕草がただ可愛く見える。彼が2つ年下っていうのもあるかも。
夢とはいえ、こんなイケメンに求められるのは嬉しいものだ。
どちらからとなくベッドに横になり、覆い被さるカインから食らいつくような口付けを何度も受ける。「愛してる」等の甘い言葉が嵐の様に降り注ぎ、いつもながら相手の愛に溺れてしまいそうになる。
彼との夜はいつも濃厚で、激しく、甘く、夢で無ければ足腰は立たなかっただろう。夢じゃないとカインはいつも言うが、そうだねと軽く流す私。
10代の頃は「いつも一緒に居たい」と泣かれたし、私も釣られて泣いたものだ。飽きるどころか深まる愛は、夢から覚めるのが恐かった。
カインは言う。例え7日に一度しか会えなくても、生涯の妃は君だけだ。跡継ぎが居なくても構わない…と。
夢とはいえ現実主義な私にとって、他に奥さん貰って子ども作って良いよーと言ったら、「俺のことが嫌いになったのか」と騒がれてしまった。
…
ああ、夢から覚めてしまった。
またいつもの日常かあ。
うん、何だろう。分かってる、同級生や後輩の結婚報告は耳に痛いよ?でもね。申し訳無いけど、もう周りの男にはときめかないの。
別に美人でも特別な魅力を持ってる訳でもない私には、そうなってしまった理由がある。
ぐいっと最後の一口を飲み終えて、片付けもそこそこに歯を磨いて少し気合いの入れた下着に、ちょっとお高かめの寝巻きでベッドに横になる。もしも知らない人に見られたら、一体誰に見せるの?と笑われてしまいそうだ。
だって今日は月曜日。私の素敵な旦那様の一人に会える日なんだから。うっわー、良い年して痛いなあ私。
次第に重くなる瞼に釣られ、目を閉じて眠りに身を委ねる。
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ゆっくり目を覚ますと、ファンタジー物の映画でお目にかける様な豪奢な寝室だった。まるで、中世のヨーロッパで王族が使用しているのかと思う調度品が視界に映る。小学校から毎日見続ければ慣れたもので、このリアルな夢には寝た時の姿で現れる。
室内にある物には触れられるが、室内からは決して出られない夢。
無駄に豪華なベッドに腰掛けると、時を待たずに訪れる部屋の持ち主。
「…ユーカ。俺の妃よ、待ち詫びていた。」
「カイン、7日ぶりだね。」
情熱的に抱き締めてくる相手の体温を感じ目を閉じる。カイン=ライドヴェルト。7歳の時から月曜日の夢で会う人。彼はディン帝国の皇子様で、艶のある黒髪を後ろに流し、彫りの深い絶世の美形で紅い瞳を持っている。適度に鍛えられた身体、190は超えるだろう長身はそこらの俳優やアイドルなんか目じゃない。
15歳の時にプロポーズされて以来彼の妃って事なんだけど、よく出来た夢だなあと思う。昔は部屋でよく泣いてたんだけど、今では大人の色気半端ない立派な男性にしか見えない。
「ユーカ…ユーカ、ユーカ。」
「ふふ。どうしたの?」
首筋に擦り寄せられ、触れる肌がくすぐったくて笑ってしまう。外見だけなら近寄りがたいんだろうけど、長い付き合いと素直に甘えられる関係で、そんな仕草がただ可愛く見える。彼が2つ年下っていうのもあるかも。
夢とはいえ、こんなイケメンに求められるのは嬉しいものだ。
どちらからとなくベッドに横になり、覆い被さるカインから食らいつくような口付けを何度も受ける。「愛してる」等の甘い言葉が嵐の様に降り注ぎ、いつもながら相手の愛に溺れてしまいそうになる。
彼との夜はいつも濃厚で、激しく、甘く、夢で無ければ足腰は立たなかっただろう。夢じゃないとカインはいつも言うが、そうだねと軽く流す私。
10代の頃は「いつも一緒に居たい」と泣かれたし、私も釣られて泣いたものだ。飽きるどころか深まる愛は、夢から覚めるのが恐かった。
カインは言う。例え7日に一度しか会えなくても、生涯の妃は君だけだ。跡継ぎが居なくても構わない…と。
夢とはいえ現実主義な私にとって、他に奥さん貰って子ども作って良いよーと言ったら、「俺のことが嫌いになったのか」と騒がれてしまった。
…
ああ、夢から覚めてしまった。
またいつもの日常かあ。
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