24 / 54
反撃開始!
しおりを挟む
警察にも種類がある。
赤い上着を着た泥棒を追いかけているとっつぁんがいるのは埼玉県警。
科捜研で頑張っているお姉様は京都府警。
県警と呼ばれるそことは一線を画しているのがコンビを組んで動いているおじ様たちのいる、ここ警視庁。
組織が大きいってだけで、〈東京都警〉ではなくて警視庁って呼ばれてる。
まぁ、大きいのだけが理由じゃないけど。
巽さんのいる森稜署なんかは所轄と呼ばれる部類になるかな。
まあ、公安とかはまた別に動いてたりするんだけど、ややこしくなるから置いといて。
そことはまた別に、〈警察庁〉という組織がある。
ここは完全キャリア組みのエリート集団で、全国の警察全体の防犯対策や刑法の運用なんかをしている。
逮捕権や捜査権は無くて言わば、警察を管理している警察って感じかな。
ここのトップは警察庁長官。
警視庁のトップ〈おじいさま〉こと警視総監と同格の権限がある。
日本の警察の頂点。
今日は水曜日なのに、深雪が急に部活になったから先に帰ってって言ってくれたので猛ダッシュ。
「ジュニアっ!」
寮前の道路で黒い作業バンから出て来たジュニアを捕まえる。
「警察庁にあたし達のことがバレたって。ホント?」
「カエ。みんな来てるから中で話そう。
真影さん、積み込み終わったよ。ありがとう」
車内に声を掛けて後部のスライドドアを閉めるとゆっくりと走り去っていく。
「この前の捕縛機。寮に置いておくより積んどいたほうがいいと思ってさ。リカコと送ってもらったついでに載せてもらったんだ」
にこっと笑うとあたしの手を引いて歩き出す。
「だいたい、今までバレなかった方が不思議なくらいだよ」
###
「そろったわね」
あたしとジュニアが座るのを待って、リカコさんが口を開く。
「とりあえず現状説明から。
コトの始まりは13日月曜の夕方。
どうやら警察庁に、警視総監が子供を現場に派遣して秘密裏に捜査させているらしいって、リークのメールが届いたらしいの。
結果、〈おじいさま〉は昨日のうちに警察庁の方に出向いて説明を求められたそうなんだけど、まさか認めるわけにもいかないし、突っぱねては来たそうよ」
チラリとジュニアに目をむける。
「今朝から〈おじいさま〉とカフェでこんなやり取りよ。
せっかくのブルマンも楽しめなかったし、ホント気が滅入る。
午後からジュニアに合流してもらって、今後のことや対策、いろいろ検討したんだけど。
この件、私とジュニアに一任して欲しいの」
リカコさんの真っ直ぐな瞳が、ぐるりとあたし達を見回した。
「俺は構わない。リカコのやりたいようにやればいい」
即答するカイリにあたしとイチも無言で頷く。
「ありがとう。もちろん質問は受け付けるし、気になることは溜め込まないで。
報告は都度上げるし、手伝って欲しい時は声掛けるから」
にっこりと笑ってあたしの方を見る。
「カエちゃんはホントすぐに顔に出るもんね」
うぐぅ。
「もし、もしもだよ。失敗して全て公になったらどうなるのかな?」
「間違いなく〈おじいさま〉は失脚。ここもタダじゃ済まないでしょうね。
ここの家賃や私たちの学費、〈おじいさま〉の怪しい引き出しから出てるのは間違いないから。寮は引き払わなくちゃならないだろうし、学校も退学、施設に預けられればいい方で、就職せよ。と路頭に迷う可能性も充分ね。
何より、マスコミの格好のネタになる」
「そしたら僕、中東辺りで爆弾製造請け負って生活しよー」
「ホントにやめて。ジュニアのテロはシャレにならない」
リカコさんがジュニアを睨みつけた。
むぅ。
「表立って言える仕事じゃないし、いつか解散する時が来るんだろうけど、こんなに急にみんなバラバラなんてやっぱりイヤだよ。
あたしもどうにかしたい」
キッと面をあげる。
「最悪でもみんなが高校を卒業する3年後までは、何が何でも守り抜くわよ。
ね。ジュニア?」
リカコさんがニコリと笑う。
「リカコは僕のイヤなところを突いてくるよね。性格悪ぅ。
わかったよ。リークしたヤツを突き止めて狂言だったって言わせればいいんでしょ?
僕達を敵に回したこと。後悔させてやるよ」
赤い上着を着た泥棒を追いかけているとっつぁんがいるのは埼玉県警。
科捜研で頑張っているお姉様は京都府警。
県警と呼ばれるそことは一線を画しているのがコンビを組んで動いているおじ様たちのいる、ここ警視庁。
組織が大きいってだけで、〈東京都警〉ではなくて警視庁って呼ばれてる。
まぁ、大きいのだけが理由じゃないけど。
巽さんのいる森稜署なんかは所轄と呼ばれる部類になるかな。
まあ、公安とかはまた別に動いてたりするんだけど、ややこしくなるから置いといて。
そことはまた別に、〈警察庁〉という組織がある。
ここは完全キャリア組みのエリート集団で、全国の警察全体の防犯対策や刑法の運用なんかをしている。
逮捕権や捜査権は無くて言わば、警察を管理している警察って感じかな。
ここのトップは警察庁長官。
警視庁のトップ〈おじいさま〉こと警視総監と同格の権限がある。
日本の警察の頂点。
今日は水曜日なのに、深雪が急に部活になったから先に帰ってって言ってくれたので猛ダッシュ。
「ジュニアっ!」
寮前の道路で黒い作業バンから出て来たジュニアを捕まえる。
「警察庁にあたし達のことがバレたって。ホント?」
「カエ。みんな来てるから中で話そう。
真影さん、積み込み終わったよ。ありがとう」
車内に声を掛けて後部のスライドドアを閉めるとゆっくりと走り去っていく。
「この前の捕縛機。寮に置いておくより積んどいたほうがいいと思ってさ。リカコと送ってもらったついでに載せてもらったんだ」
にこっと笑うとあたしの手を引いて歩き出す。
「だいたい、今までバレなかった方が不思議なくらいだよ」
###
「そろったわね」
あたしとジュニアが座るのを待って、リカコさんが口を開く。
「とりあえず現状説明から。
コトの始まりは13日月曜の夕方。
どうやら警察庁に、警視総監が子供を現場に派遣して秘密裏に捜査させているらしいって、リークのメールが届いたらしいの。
結果、〈おじいさま〉は昨日のうちに警察庁の方に出向いて説明を求められたそうなんだけど、まさか認めるわけにもいかないし、突っぱねては来たそうよ」
チラリとジュニアに目をむける。
「今朝から〈おじいさま〉とカフェでこんなやり取りよ。
せっかくのブルマンも楽しめなかったし、ホント気が滅入る。
午後からジュニアに合流してもらって、今後のことや対策、いろいろ検討したんだけど。
この件、私とジュニアに一任して欲しいの」
リカコさんの真っ直ぐな瞳が、ぐるりとあたし達を見回した。
「俺は構わない。リカコのやりたいようにやればいい」
即答するカイリにあたしとイチも無言で頷く。
「ありがとう。もちろん質問は受け付けるし、気になることは溜め込まないで。
報告は都度上げるし、手伝って欲しい時は声掛けるから」
にっこりと笑ってあたしの方を見る。
「カエちゃんはホントすぐに顔に出るもんね」
うぐぅ。
「もし、もしもだよ。失敗して全て公になったらどうなるのかな?」
「間違いなく〈おじいさま〉は失脚。ここもタダじゃ済まないでしょうね。
ここの家賃や私たちの学費、〈おじいさま〉の怪しい引き出しから出てるのは間違いないから。寮は引き払わなくちゃならないだろうし、学校も退学、施設に預けられればいい方で、就職せよ。と路頭に迷う可能性も充分ね。
何より、マスコミの格好のネタになる」
「そしたら僕、中東辺りで爆弾製造請け負って生活しよー」
「ホントにやめて。ジュニアのテロはシャレにならない」
リカコさんがジュニアを睨みつけた。
むぅ。
「表立って言える仕事じゃないし、いつか解散する時が来るんだろうけど、こんなに急にみんなバラバラなんてやっぱりイヤだよ。
あたしもどうにかしたい」
キッと面をあげる。
「最悪でもみんなが高校を卒業する3年後までは、何が何でも守り抜くわよ。
ね。ジュニア?」
リカコさんがニコリと笑う。
「リカコは僕のイヤなところを突いてくるよね。性格悪ぅ。
わかったよ。リークしたヤツを突き止めて狂言だったって言わせればいいんでしょ?
僕達を敵に回したこと。後悔させてやるよ」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
警視庁の特別な事情2~優雅な日常を取り戻せ~
綾乃 蕾夢
キャラ文芸
友達と出かけた渋谷のスクランブル交差点で運悪く通り魔事件に遭遇したあたしは、何というか、止むに止まれず犯人を投げ飛ばしちゃった。
SNSやらニュースなんかに投稿されたその動画が元で、何やら過去の因縁が蘇る。
ちょっとっ! 人に怨みを買うような記憶は……ないとは言わないけど……。
平日は現役女子高生。間宮香絵。
裏の顔は警視庁総監付き「何でも屋」。
無愛想なイチ。
頭は良いけど、ちょっと……。なジュニア。
仲間思いなのに報われないカイリ(厨二ぎみ)。
世話のやけるメンバーに悩みの絶えないリカコ。
元気でタチの悪いこの連中は、恋に仕事に学業に。毎日バタバタ騒がしい!
警視庁の特別な事情1~JKカエの場合~
完結済みで、キャラ文芸大賞にエントリー中です。
~JKカエの場合~共々、ぜひ投票よろしくお願いします。
小説家の日常
くじら
キャラ文芸
くじらと皐月涼夜の中の人が
小説を書くことにしました。
自分達の周囲で起こったこと、
Twitter、pixiv、テレビのニュース、
小説、絵本、純文学にアニメや漫画など……
オタクとヲタクのため、
今、生きている人みんなに読んでほしい漫画の
元ネタを小説にすることにしました。
お時間のあるときは、
是非!!!!
読んでいただきたいです。
一応……登場人物さえ分かれば
どの話から読んでも理解できるようにしています。
(*´・ω・)(・ω・`*)
『アルファポリス』や『小説家になろう』などで
作品を投稿している方と繋がりたいです。
Twitterなどでおっしゃっていただければ、
この小説や漫画で宣伝したいと思います(。・ω・)ノ
何卒、よろしくお願いします。
群青の空
ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ
キャラ文芸
十年前――
東京から引っ越し、友達も彼女もなく。退屈な日々を送り、隣の家から聴こえてくるピアノの音は、綺麗で穏やかな感じをさせるが、どこか腑に落ちないところがあった。そんな高校生・拓海がその土地で不思議な高校生美少女・空と出会う。
そんな彼女のと出会い、俺の一年は自分の人生の中で、何よりも大切なものになった。
ただ、俺は彼女に……。
これは十年前のたった一年の青春物語――
初芝オーシャンズ! 〜ファースト・ミッション〜
もちお
キャラ文芸
飯田羽澄はお嬢様学校の初芝女子高校に通う女の子。友達大好き、食べるの大好きな彼女はある日、教頭室から泣いて出てくる親友沙織の姿を目撃する。聞けば沙織は恋愛禁止の我が校で、こっそり彼氏と遊んでいたのを教頭に見つかってしまったらしい。退学か、それとも教頭と二人っきりで遊びにいくか?そんな究極の選択を迫られた沙織を助けるために、羽澄は友達を集めてチーム「初芝オーシャンズ」を結成! 今度は自分たちが教頭のスキャンダルを掴んで沙織を助けようとするのだが、それは更なる事件の幕開けだった!?
『遺産相続人』〜『猫たちの時間』7〜
segakiyui
キャラ文芸
俺は滝志郎。人に言わせれば『厄介事吸引器』。たまたま助けた爺さんは大富豪、遺産相続人として滝を指名する。出かけた滝を待っていたのは幽霊、音量、魑魅魍魎。舞うのは命、散るのはくれない、引き裂かれて行く人の絆。ったく人間てのは化け物よりタチが悪い。愛が絡めばなおのこと。おい、周一郎、早いとこ逃げ出そうぜ! 山村を舞台に展開する『猫たちの時間』シリーズ7。
CODE:HEXA
青出 風太
キャラ文芸
舞台は近未来の日本。
AI技術の発展によってAIを搭載したロボットの社会進出が進む中、発展の陰に隠された事故は多くの孤児を生んでいた。
孤児である主人公の吹雪六花はAIの暴走を阻止する組織の一員として暗躍する。
※「小説家になろう」「カクヨム」の方にも投稿しています。
※毎週金曜日の投稿を予定しています。変更の可能性があります。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる