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香絵ちゃんはすぐ顔に出る

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 リカコさんが冷蔵庫の中身チェックをしている間に、あたしは朝食のお皿をお片付け。
 土曜日なのにこんなに早く起きることなんてあんまりないかもなぁ。

「カエちゃん。今日は何か予定が入ってる? 巽さんに許可をもらったから、買い出しに行こうと思うんだけど」

 コップを水切りラックに置いて振り返る。
「大丈夫だよ。あたしも一緒に行く。何を買って、どうやって作るのか。ちゃんと学習しておかないと。
 簡単で美味しい物から始めて欲しいな」
 あたしのワガママなセリフに、リカコさんが小さく笑った。

「和食? 洋食?」
「んー」
 巽さんは和食派だよね。
 イチは……何が好きなんだろ。
 ファミレスに行くとお肉系が多いかな。

「イチの好きな物なら、カイリに聞いた方が早いかもね」
「そっか。そうだね。……あれ、あたし声に出てた?」

「カエちゃんはすぐに顔に出るもの」
 優しく笑うリカコさんが買い物メモを2つに折る。
「昨日のこともあるし、誰かに着いてきてもらった方がいいかしらね」
 視線が天井を見上げて、まだ上の男子寮まで伸びていくみたい。

「きっとまだ寝てるよ」
 イチなんて特に朝弱いし。
「そうかもね。もう少ししたら電話してみましょう」

 ###

「買い出しか。明日行く予定だったけど、今日でも問題ないし、みんなで一緒に行くか」
 結局寮のリビングにお邪魔して、いつものソファでローテーブルを囲む。
 ドーンとかまえたお父さんみたいなカイリの一言に、リカコさんがスっと瞳を細めた。

「離れて歩いてね」
「リカコォ」
 あはは。カイリ寂しそう。

「僕、お留守番。今回は当番じゃないし、ちょっとやりたいことあるし」
 だるそうに小さく手を挙げて、ジュニアが先手を打ってきた。
 まぁ、お当番さんじゃないなら強制は出来ないけど。

「じゃあ、30分後に下のエントランスに集合だな」
 カイリの一言にソファから立ち上がる。
 買い出しだって、みんなとのお出かけはやっぱり楽しみ。

 何を買うのかな。
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