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フォレスト・コーポ
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気持ちばかりが焦っちゃう。
深雪と別れたその足で、脇道にそれるとさっきのアパートの方面に走りだす。
そうだ。銀龍会の頭悪男達の潜伏先が不明のままだって、巽さんが言ってたっけ。
キバとアギトが白銀組系列の関係者なのはほぼ間違いないし、傘下の銀龍会の組員をかくまっていたっておかしくないよね。
オンボロアパート。
「フォレスト・コーポ」
大きく肩で息をする。
酸素の足りない脳みそが名前を忘れないように、唇が紡ぐ音を耳を通してインプット。
さてさてと。
キバとアギト、もしかしたら餓狼だっているかも知れないよね。
1人では交戦しないってイチとジュニアとも約束したし、ひとまずは……。
どうしよう。
むうぅぅ。
寮まで戻るのは、なんだか時間がもったいないし。
うん。呼んじゃおう。
LINEで現在地を送ってから電話しよう。
スポバの中のスマホを探すあたしの手に当たる固い手応えは、お弁当箱?
あれ。
「なんで? スマホがない」
ガナッシュベルを出た時はあったよね。
んで……あ。LINEした、イチとジュニアに。
ぽふぽふと叩くポケットに固い手応え。
もおぉぉっ。
落ち着けあたし。
引っ張り出したスマホの影から、インカムが転がり落ちる。
ふー。
空を仰いで深呼吸。
膝を折ってしゃがみ込んだあたしの頭上を、鋭い空気の流れが過ぎていく。
え?
背中に吹き付ける強烈な殺気!
体勢そのままに、振り返ったあたしの視界を塞ぐ黒い服。
見上げた先、キバとよく似た面持ちの中に冷たい目があたしを射抜くように突き刺ささった。
「アギトォ⁉︎」
って言うか、本当にナイフが刺さりかねぇーん!
「だあぁぁっ!」
手にしたスポバを振り上げる。
振り下ろされるナイフを巻き込んだスポバが、アギトの顔面ギリギリを行き過ぎていく。
「ガッ」
小さな手応えとアギトの呻き声。
スポバの取っ手の片方が、うまい具合にアギトの瞳を弾いたらしい!
身体を押し出し、引き戻すスポバがアギトの側頭部にぶち当たる。
乾いた固い音。
さすがあたしのお弁当箱っ。グッジョブ!
落ちたインカムを拾い上げて、アギトに背を向けると靴底がアスファルトを蹴る。
オンボロアパートを過ぎてすぐ、目に留まった細い路地に入り込む。
けどおおぉぉぉ。
「行き止まりっ」
見るからにじめじめした地面からは、ひょろひょろ雑草がゴメンね。ってお辞儀をしてる。
でも、戻れないし。前後左右がダメなら……上下。
バッと見上げる空は、建物の屋根に囲まれて不格好な四角形。
オンボロアパートを囲む低めのブロック塀。
反対側には剃り出した一軒家の狭いひさし。
行ける!
スポバをデイパックみたいに背負って、どうにかブロック塀に手を掛けると、一気に身体を引き上げる。
ひさしに飛び移り、その上の電信柱から突き出した鉄の棒に手を掛けた。
これ、下から見上げられたらスカートの中丸見えだぁ。
今日の下着は何を付けていたかなんて、ふと頭をよぎっちゃうけど、そんなことを気にしていられるほどの余裕をブチかましてる状況じゃない。
電信柱を上る途中で、せり出したオンボロアパートの2階の屋根に飛び移った。
ちらりと振り返る路地から、右目を押さえたアギトの姿を見る。
このまま気付かずに見逃してくれるかも。なんて、やっぱり都合がよすぎるよね。
本気で視線に射抜かれるんじゃないっかて言うくらい、怒りに満ちたアギトの目があたしの姿を捉えた。
深雪と別れたその足で、脇道にそれるとさっきのアパートの方面に走りだす。
そうだ。銀龍会の頭悪男達の潜伏先が不明のままだって、巽さんが言ってたっけ。
キバとアギトが白銀組系列の関係者なのはほぼ間違いないし、傘下の銀龍会の組員をかくまっていたっておかしくないよね。
オンボロアパート。
「フォレスト・コーポ」
大きく肩で息をする。
酸素の足りない脳みそが名前を忘れないように、唇が紡ぐ音を耳を通してインプット。
さてさてと。
キバとアギト、もしかしたら餓狼だっているかも知れないよね。
1人では交戦しないってイチとジュニアとも約束したし、ひとまずは……。
どうしよう。
むうぅぅ。
寮まで戻るのは、なんだか時間がもったいないし。
うん。呼んじゃおう。
LINEで現在地を送ってから電話しよう。
スポバの中のスマホを探すあたしの手に当たる固い手応えは、お弁当箱?
あれ。
「なんで? スマホがない」
ガナッシュベルを出た時はあったよね。
んで……あ。LINEした、イチとジュニアに。
ぽふぽふと叩くポケットに固い手応え。
もおぉぉっ。
落ち着けあたし。
引っ張り出したスマホの影から、インカムが転がり落ちる。
ふー。
空を仰いで深呼吸。
膝を折ってしゃがみ込んだあたしの頭上を、鋭い空気の流れが過ぎていく。
え?
背中に吹き付ける強烈な殺気!
体勢そのままに、振り返ったあたしの視界を塞ぐ黒い服。
見上げた先、キバとよく似た面持ちの中に冷たい目があたしを射抜くように突き刺ささった。
「アギトォ⁉︎」
って言うか、本当にナイフが刺さりかねぇーん!
「だあぁぁっ!」
手にしたスポバを振り上げる。
振り下ろされるナイフを巻き込んだスポバが、アギトの顔面ギリギリを行き過ぎていく。
「ガッ」
小さな手応えとアギトの呻き声。
スポバの取っ手の片方が、うまい具合にアギトの瞳を弾いたらしい!
身体を押し出し、引き戻すスポバがアギトの側頭部にぶち当たる。
乾いた固い音。
さすがあたしのお弁当箱っ。グッジョブ!
落ちたインカムを拾い上げて、アギトに背を向けると靴底がアスファルトを蹴る。
オンボロアパートを過ぎてすぐ、目に留まった細い路地に入り込む。
けどおおぉぉぉ。
「行き止まりっ」
見るからにじめじめした地面からは、ひょろひょろ雑草がゴメンね。ってお辞儀をしてる。
でも、戻れないし。前後左右がダメなら……上下。
バッと見上げる空は、建物の屋根に囲まれて不格好な四角形。
オンボロアパートを囲む低めのブロック塀。
反対側には剃り出した一軒家の狭いひさし。
行ける!
スポバをデイパックみたいに背負って、どうにかブロック塀に手を掛けると、一気に身体を引き上げる。
ひさしに飛び移り、その上の電信柱から突き出した鉄の棒に手を掛けた。
これ、下から見上げられたらスカートの中丸見えだぁ。
今日の下着は何を付けていたかなんて、ふと頭をよぎっちゃうけど、そんなことを気にしていられるほどの余裕をブチかましてる状況じゃない。
電信柱を上る途中で、せり出したオンボロアパートの2階の屋根に飛び移った。
ちらりと振り返る路地から、右目を押さえたアギトの姿を見る。
このまま気付かずに見逃してくれるかも。なんて、やっぱり都合がよすぎるよね。
本気で視線に射抜かれるんじゃないっかて言うくらい、怒りに満ちたアギトの目があたしの姿を捉えた。
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