死にたがり令嬢と魔の王

序章

８話

「わかりました。
そうしてください」
ととっさに言っていた。
こんな気持ち悪い空間に居たくなかったからだ。

一分でもこの空間にいたいと思わなかったから、父も何も言わずにずっと考えているようだったから、なにか一言言ってほしかった。
ルナを叱ってほしかった。
「お父様もそれでいいですか？」
ときっと淡い期待だけどこの汚い人たちを叱ってくれるだろうかと、止めてくれるだろうかと元から婚約は破棄しようと思っていた。
それが早まっただけのことだけど

「あ、嗚呼
そうだな、そうしてくれ、家も安泰だからな
シャルティナにも新しい婚約者を探そう。」
”安泰”
お父様もそう思っていた。
当たり前のことだ。家を守るためには必要なことだから、でも一言”すまない止めれなくて”とほしかった。

「わかりました。
私も破棄したいと考えていましたから、ちょうどよかったです。
どうぞ妹をよろしくお願いします。
短い間でしたがありがとございました。どうか、子と妹をよろしくお願いしますね？」
嫌味とともに今までの事と共に
イーサンは顔をひきつらせていたけれど、これでいいのだと、妹の欠点もこのひとの欠点も一緒なのだから

そしてシャルは書斎から立ち去った。
早く部屋に行きたかった。
この感情の発散方法が思いつかないからだ
今すぐにでも飛び降りたいし
叫びたいと思うけれど、今はきっと止められる

そう思ったら速歩きで自分の部屋へと急いだ。

ブレスレットが怪しく光っていることも知らずに

きっとこの家には私は必要ないからと

そしてそのブレスレットと同じ色をした動物がこちらを見ていることも今のシャルには気づくこともその余裕もなかった。