51 / 109
7章:入り乱れる恋の矢印
絡まる想い、すれ違う心
しおりを挟む
ソフィアとアーサーは宿泊離宮を出て、屋外庭園を通って執務室棟まで向かう。
鉛色の空から、ふわりふわりと粉雪が舞い落ちる。
冬枯れの庭を歩きながら、ソフィアは隣を歩くアーサーの顔をそっと仰ぎ見た。
ここまで来る間、アーサーは口数が少なかった。
あらかじめ報告もせず、テオの部屋に行ったことを怒っているのかしら……。
そう思ったが、「何か嫌なことをされていない?」とこちらを気遣う彼の声は、いつもどおり……。
いや、いつも以上に優しい。
「ご心配をおかけしてすみません。『共に帝国へ帰れ』と命じられたので、お断りしていただけなんです。だから、嫌なことは何も。ですが、このような情勢不安定な時に、軽率な行動でした。次回テオ様に呼び出された際には、アーサー様にご指示を仰いでから参ります」
「すまない、怒っているわけじゃないんだ。だから謝らないでくれ」
アーサーは申し訳なさそうな顔をして、頭を冷やすように外の空気を吸い、白い吐息とともに語る。
「執務室に戻ったら書き置きがあって、凄く焦ったよ。君が何か嫌なことをされているんじゃないかと想像したら、目の前が真っ赤に染まって。気付いたら、扉を蹴破っていた。本当に……君が無事で良かった」
心からホッとした様子で告げられ、ソフィアは彼に沢山心配をかけてしまった申し訳なさを感じると共に、不思議と喜びにも似た気持ちを抱いている自分自身に気付いた。
気遣うような灰色の瞳と視線が交わった瞬間、不自然に心臓が跳ねた気がして、そっと胸元を押さえる。
その瞬間、アーサーが目がすいっと細め、立ち止まった。
「アーサー様?」
ソフィアも立ち止まり首をかしげて名を呼ぶと、彼の視線は自分の手首――赤く染まった肌に注がれている。
「ブラスト侯爵も、酷いことをする。跡が残らなければ良いが……。痛みは?」
「全く痛くないので大丈夫です。きっとすぐに消えます」
痛ましい物を見るように眉根を寄せた彼を安心させるため、もう一度「大丈夫です」と笑うと、ようやくアーサーは表情をゆるめた。
「君は聡明で自立した女性だ。僕は君の自由を奪ったり、縛り付けたくない。……けれど、心配でたまらないんだ。頼むから、一人であの男の部屋に行かないでくれ。僕に何でも相談しろとは言わないが、せめて、隣で君を守らせて欲しい」
自分に注がれるひたむきな眼差し。
真摯な言葉。
穏やかな声音の奥に宿る熱。
彼があまりにも真っすぐな表情を向けてくるから、思わず錯覚しそうになる。
――勘違いしちゃだめよ。アーサー様が私のことを心配してくれているのは仕事だから。
アーサーはきっと、両国が緊張下にある状況でテオと二人っきりで会うことで、周囲から要らぬ疑いをかけられるのではないか……と心配してくれている。
そして、今後の交渉に支障が出ないよう、テオとの会話に同席することを申し出ているに違いない。
――アーサー様は責任のある立場だから、私の心配をしてくれているだけ。特別な想いはきっと……ない。
一瞬、胸の奥に鈍い痛みが走ったような気がしたが……きっと気のせい。
ソフィアはいつも通りほほ笑むと、『これはあくまで仕事』と自分に言い聞かせながら彼の申し出を受け入れた。
「心配して下さり、ありがとうございます。では明日以降、テオ様の元へ行く際には同席をよろしくお願い致します」
若干堅苦しい敬語を述べて軽く頭を下げると、アーサーは戸惑いの表情を浮かべ頷いた。
冷たく澄んだ冬の匂いを感じながら、再び二人並んで歩き出す。
庭園を抜け、アーサーが執務室棟の扉を開けてソフィアを中へエスコートした。
ドアを閉める直前、微かに音が聞こえた気がした。
「僕の気持ち、絶対届いていないな……」
儚い呟きは蝶番がきしみ、扉が閉まる音にかき消され……。
ソフィアの耳には届かなかった。
執務室に向かって、しんと静まりかえった廊下を二人で進む。
お互い何となく黙ってしまったが、不思議と無言の時間が苦痛ではなかった。
むしろ、言葉を交わさなくても心地よい。
右隣に感じる体温と同じリズムで響く靴音が安心する。
『言葉を探さなきゃ』という焦りが生まれないのは、隣を歩くアーサーがとてもリラックスした様子だからだろう。
柔らかな表情をした彼は、自分同様、この無音の時間を楽しんでくれてるような気がする。
歩いていると、ふとソフィアはあることに気付いた。
それはアーサーが最近、自分と並んで歩く時に、必ず右側を位置取っていることだ。
一瞬、『癖なのかな?』と思ったが、以前ルカから借りたリベルタ文化に関する本の一節を思い出して、息を呑む。
『リベルタ貴族男性は右手ですぐ武器を取り守れるように、特別な女性は自分の左側に置き、自身は右側を歩く』
ソフィアは再び心臓が不自然に跳ねた気がして、こっそり深呼吸をして、気持ちを落ち着けた。
――私、さっきからおかしい。心臓が跳ねたり、痛くなったり。疲れているのかしら。
内心、不思議に思っていると、廊下の曲がり角から二人分の人影が姿を現した。
以前、迎賓館で行われた夜会で顔を見たことのある人物だ。
お年を召された男性――ハイデ伯爵と、その隣にいる女性は娘のブリジット。
ブリジット・ハイデ伯爵令嬢、リベルタ社交界で『深紅の薔薇姫』と噂されるほどの美女だ。
ウェーブがかった豪奢な赤毛に、勝ち気そうな大きな目。
染み一つない白い肌。
大きく開いたドレスの胸元からのぞく素肌は、きめ細やかで妖艶だ。
コルセットで固められた腰はきゅっと細いが、胸元は同性の自分も思わず目を奪われてしまうほど豊か。
容姿も仕草も、まさに物語から出てきた高貴なお姫様のように美しい。
ブリジットがこちらに気付き、「まぁ!」と声を上げた。
美しい顔をさらに華やかな笑顔で彩り、濃い緑色のドレスをひるがえして近付いてくる。
「またお会いできて嬉しいですわ。アーサー・オルランド様、お久しぶりですわ」
艶やかな声が廊下に響いた――。
次話『まだ間に合う』
◇1/10、爆速ラストスパート開始!◇
こーんにちはぁー!
\(°∀° )/(錦鯉風)
連休の爆速最終日!
今日も元気に走って参りますよ-!
皆さん、大量の投稿で読み疲れていませんか?
更新が多すぎてヘロヘロになっていないか、心配です……(›´.`‹ )
では皆様、出陣でーす!
えい、えい、おーっ!!٩(*´︶`*)
(ホラ貝の音『ぷおぉぉぉ~んッ』)
本日もよろしくお願い致しまーっす!
春野緒川
鉛色の空から、ふわりふわりと粉雪が舞い落ちる。
冬枯れの庭を歩きながら、ソフィアは隣を歩くアーサーの顔をそっと仰ぎ見た。
ここまで来る間、アーサーは口数が少なかった。
あらかじめ報告もせず、テオの部屋に行ったことを怒っているのかしら……。
そう思ったが、「何か嫌なことをされていない?」とこちらを気遣う彼の声は、いつもどおり……。
いや、いつも以上に優しい。
「ご心配をおかけしてすみません。『共に帝国へ帰れ』と命じられたので、お断りしていただけなんです。だから、嫌なことは何も。ですが、このような情勢不安定な時に、軽率な行動でした。次回テオ様に呼び出された際には、アーサー様にご指示を仰いでから参ります」
「すまない、怒っているわけじゃないんだ。だから謝らないでくれ」
アーサーは申し訳なさそうな顔をして、頭を冷やすように外の空気を吸い、白い吐息とともに語る。
「執務室に戻ったら書き置きがあって、凄く焦ったよ。君が何か嫌なことをされているんじゃないかと想像したら、目の前が真っ赤に染まって。気付いたら、扉を蹴破っていた。本当に……君が無事で良かった」
心からホッとした様子で告げられ、ソフィアは彼に沢山心配をかけてしまった申し訳なさを感じると共に、不思議と喜びにも似た気持ちを抱いている自分自身に気付いた。
気遣うような灰色の瞳と視線が交わった瞬間、不自然に心臓が跳ねた気がして、そっと胸元を押さえる。
その瞬間、アーサーが目がすいっと細め、立ち止まった。
「アーサー様?」
ソフィアも立ち止まり首をかしげて名を呼ぶと、彼の視線は自分の手首――赤く染まった肌に注がれている。
「ブラスト侯爵も、酷いことをする。跡が残らなければ良いが……。痛みは?」
「全く痛くないので大丈夫です。きっとすぐに消えます」
痛ましい物を見るように眉根を寄せた彼を安心させるため、もう一度「大丈夫です」と笑うと、ようやくアーサーは表情をゆるめた。
「君は聡明で自立した女性だ。僕は君の自由を奪ったり、縛り付けたくない。……けれど、心配でたまらないんだ。頼むから、一人であの男の部屋に行かないでくれ。僕に何でも相談しろとは言わないが、せめて、隣で君を守らせて欲しい」
自分に注がれるひたむきな眼差し。
真摯な言葉。
穏やかな声音の奥に宿る熱。
彼があまりにも真っすぐな表情を向けてくるから、思わず錯覚しそうになる。
――勘違いしちゃだめよ。アーサー様が私のことを心配してくれているのは仕事だから。
アーサーはきっと、両国が緊張下にある状況でテオと二人っきりで会うことで、周囲から要らぬ疑いをかけられるのではないか……と心配してくれている。
そして、今後の交渉に支障が出ないよう、テオとの会話に同席することを申し出ているに違いない。
――アーサー様は責任のある立場だから、私の心配をしてくれているだけ。特別な想いはきっと……ない。
一瞬、胸の奥に鈍い痛みが走ったような気がしたが……きっと気のせい。
ソフィアはいつも通りほほ笑むと、『これはあくまで仕事』と自分に言い聞かせながら彼の申し出を受け入れた。
「心配して下さり、ありがとうございます。では明日以降、テオ様の元へ行く際には同席をよろしくお願い致します」
若干堅苦しい敬語を述べて軽く頭を下げると、アーサーは戸惑いの表情を浮かべ頷いた。
冷たく澄んだ冬の匂いを感じながら、再び二人並んで歩き出す。
庭園を抜け、アーサーが執務室棟の扉を開けてソフィアを中へエスコートした。
ドアを閉める直前、微かに音が聞こえた気がした。
「僕の気持ち、絶対届いていないな……」
儚い呟きは蝶番がきしみ、扉が閉まる音にかき消され……。
ソフィアの耳には届かなかった。
執務室に向かって、しんと静まりかえった廊下を二人で進む。
お互い何となく黙ってしまったが、不思議と無言の時間が苦痛ではなかった。
むしろ、言葉を交わさなくても心地よい。
右隣に感じる体温と同じリズムで響く靴音が安心する。
『言葉を探さなきゃ』という焦りが生まれないのは、隣を歩くアーサーがとてもリラックスした様子だからだろう。
柔らかな表情をした彼は、自分同様、この無音の時間を楽しんでくれてるような気がする。
歩いていると、ふとソフィアはあることに気付いた。
それはアーサーが最近、自分と並んで歩く時に、必ず右側を位置取っていることだ。
一瞬、『癖なのかな?』と思ったが、以前ルカから借りたリベルタ文化に関する本の一節を思い出して、息を呑む。
『リベルタ貴族男性は右手ですぐ武器を取り守れるように、特別な女性は自分の左側に置き、自身は右側を歩く』
ソフィアは再び心臓が不自然に跳ねた気がして、こっそり深呼吸をして、気持ちを落ち着けた。
――私、さっきからおかしい。心臓が跳ねたり、痛くなったり。疲れているのかしら。
内心、不思議に思っていると、廊下の曲がり角から二人分の人影が姿を現した。
以前、迎賓館で行われた夜会で顔を見たことのある人物だ。
お年を召された男性――ハイデ伯爵と、その隣にいる女性は娘のブリジット。
ブリジット・ハイデ伯爵令嬢、リベルタ社交界で『深紅の薔薇姫』と噂されるほどの美女だ。
ウェーブがかった豪奢な赤毛に、勝ち気そうな大きな目。
染み一つない白い肌。
大きく開いたドレスの胸元からのぞく素肌は、きめ細やかで妖艶だ。
コルセットで固められた腰はきゅっと細いが、胸元は同性の自分も思わず目を奪われてしまうほど豊か。
容姿も仕草も、まさに物語から出てきた高貴なお姫様のように美しい。
ブリジットがこちらに気付き、「まぁ!」と声を上げた。
美しい顔をさらに華やかな笑顔で彩り、濃い緑色のドレスをひるがえして近付いてくる。
「またお会いできて嬉しいですわ。アーサー・オルランド様、お久しぶりですわ」
艶やかな声が廊下に響いた――。
次話『まだ間に合う』
◇1/10、爆速ラストスパート開始!◇
こーんにちはぁー!
\(°∀° )/(錦鯉風)
連休の爆速最終日!
今日も元気に走って参りますよ-!
皆さん、大量の投稿で読み疲れていませんか?
更新が多すぎてヘロヘロになっていないか、心配です……(›´.`‹ )
では皆様、出陣でーす!
えい、えい、おーっ!!٩(*´︶`*)
(ホラ貝の音『ぷおぉぉぉ~んッ』)
本日もよろしくお願い致しまーっす!
春野緒川
10
お気に入りに追加
919
あなたにおすすめの小説
【完結】夫もメイドも嘘ばかり
横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。
サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。
そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。
夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。
王命を忘れた恋
水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
婚約者の浮気現場に踏み込んでみたら、大変なことになった。
和泉鷹央
恋愛
アイリスは国母候補として長年にわたる教育を受けてきた、王太子アズライルの許嫁。
自分を正室として考えてくれるなら、十歳年上の殿下の浮気にも目を瞑ろう。
だって、殿下にはすでに非公式ながら側妃ダイアナがいるのだし。
しかし、素知らぬふりをして見逃せるのも、結婚式前夜までだった。
結婚式前夜には互いに床を共にするという習慣があるのに――彼は深夜になっても戻ってこない。
炎の女神の司祭という側面を持つアイリスの怒りが、静かに爆発する‥‥‥
2021年9月2日。
完結しました。
応援、ありがとうございます。
他の投稿サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる