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33.5話 重大な責任を負った男のはなし
しおりを挟む「ユゥリアス、愛してる」
最後にその名を呼ばれたのは、もうどれほど昔だろうか。透き通るように涼やかなその声に呼ばれたことが、そしてその声で愛を告げられたことが、衝撃で。
城の者はユゥリアスを見ない。魔力の色が濃くなり目が合うようになったところで、ほとんどがセァニウスのように名前すら忘れているだろう。城の外では“ユーリ”と偽名を乗っているから、誰も本当の名は知らない。だから、もう何年も呼ばれることがなかった名前。
ハルカだけが知っていて、ハルカだけが呼んでくれる。そのことに気づいた瞬間、それがあまりにも特別なものに思えて――このまま他の誰にも、その名は知られなくていいとすら思った。この名は彼女のものだけであってほしいと。
(……いい、のか。この先を、望んでも)
ずっと、ハルカを元の世界へ帰してやらなければならないと思っていた。いや、そう思うことで自分の欲を閉じ込めようとしていた。傍に居てほしいのも、その瞳で見つめてほしいと思うのも、自分だけの欲だから。
時々、ハルカから流れてくる好意があまりにも情に満ちていて、自分を想う気持ちが嬉しくて、勘違いしそうになっていた。出会った頃に感じていた好意よりもずっと深く強くなったそれが、特別なものではないかと期待しそうになる。……その度に、自惚れてはいけないと自分を戒めてきた。彼女は元の世界へと帰る人だからと。
(自惚れていいのか、本当に。……ああ、相変わらずくすぐったいな)
『これが自分の恋愛感情だ』と送られてきたものはまるで胸の中をくすぐるような、柔らかい感情だ。まだ強い欲を知らない生まれたての恋心はまるでふわふわとした綿毛のようで、彼女が言う通り、嫉妬も独占欲も含む自分の恋とは同じようであっても違うものだろう。
『そんなに泣いたら目が腫れちゃいますよ。えーと……こうすればいいかな』
元の世界では大人でも彼女くらいの身長であることが多いらしいが、こちらの世界の基準でいえばハルカはかなり小さい。彼女がユゥリアスを見る時は大抵、真上を見るくらいに頭を傾けている。そんな彼女の目線が自分より少し高い位置にあることに驚き、さらに袖口でそっと目元を拭われたことで目から溢れ出ていた感情は驚きに塗り替えられて、涙はぴたりと止まった。
「……君は異能で浮かべるんだったな」
体を浮かせる風の魔法は存在するものの、それは深緑程度には色が濃くなければ使い物にならないし、その魔法を操れる者が現れたなら記録に残るくらいには珍しい。しかしハルカは同じことをいとも簡単にやって見せた。ネンドウリョクという異能を使って宙に浮きながらユゥリアスの涙を拭ったのだ。
随分と顔が近くなったせいで、心臓の鼓動が早くなる。……こんな距離で彼女と話したことはなかったから。
『あ、ユーリさんも飛びたかったら連れて行ってあげますよ。溶岩の中は無理ですけど、空なら大丈夫です』
「溶岩の中は、私も遠慮したい。……空には、行ってみたいな」
『じゃあ、行きましょ……』
ぷつりと意思が途切れたと思ったら、短く「あ」と声を発した彼女からガクンと力が抜け、落ちそうになったのを慌てて抱きとめる。
「どうした!?」
『未来視です。ちょっと待ってください』
ハルカの能力の中でも制御できず、突然訪れる「未来を見る力」が発動したらしい。彼女はユゥリアスの肩に額を当てるように寄りかかり、動かなくなってしまった。この能力が発動して突然動けなくなる姿は何度か見ているし、体調などの心配はしていないのだが――この体勢は、どうしたものか。
落ちてくる彼女を慌てて抱きとめたので、両腕で彼女の体を抱いて持ち上げているような格好になっている。ハルカの手に触れるだけで落ち着かなかったユゥリアスにとってこの体勢は心臓に悪すぎた。しかし勝手に動かして良いものなのかもわからず、ハルカの意識が戻ってくるのを早くなる鼓動と上がり続ける熱に耐えながらただ待つしかない。
(……割れるんじゃないか?)
耳の中で音がするくらいに激しく打ち続ける心臓が心配になって来たところでようやくハルカが顔を上げた。間近で目があうと、少し驚いたような顔をされる。
「顔、赤い」
「……そうだろうな。もう大丈夫か?」
「うん。ありがとう」
そっとハルカを降ろして離れたが、触れていたところがまだ熱い。いや、全身が熱いだろうか。鏡を見ればハルカの言う通り、赤く染まったユゥリアスの顔があることだろう。
とにかくこの熱を冷ましたい。何か話でもして気を逸らそうと未来を見る力で何を見たのか尋ねてみる。いつもなら何を見たのか教えてくれるのだが、彼女は答えないまま数秒の間ユゥリアスを見つめ、やがてにんまりと表現できそうな深い笑みを浮かべた。
「ひみつ」
何を見たのか言うつもりがないらしい。ハルカがこの笑い方をする時は大体何か企んでいる時で、寒気を感じることが多いのだが――だめだ。それですら可愛く見えてきた。そう思ったのが伝わったのか、その笑顔は消えて意外そうに目を丸くされたが。
(……重症だな)
今、ハルカが何をしてもきっと愛おしく思う。堪えていた感情をもう抑える必要がなくなったせいなのか、とにかく愛おしくてたまらない。この感情はどうやって発散すればよいのだろう。
その愛しい相手をじっと見つめてみる。珍しく動揺したように瞳を揺らした彼女は、そっとユゥリアスから目を逸らした。照れているように見えて、それもまた可愛いと思う。
「すまない。……君が、どうしようもなく愛しい。残ると言ってくれて……ありがとう。もう、他に何も望まない。君さえいてくれたら私は幸せだ」
この世で唯一、ユゥリアスという人間を大事だと思ってくれる人。彼女さえいてくれるなら、他には何も要らない。家族も、貴族としての地位も、魔力の色も、何を捨ててもいい。
兄王セァニウスのことだって本当にもうどうでもよくなった。ハルカから伝わって来た怒りの感情と意思で、自分を殺そうとした相手が彼であった事実を知ったが、本当に気にならない。
『あ、でもユーリさんには結構苦労をかけますよ』
「……どういうことだ?」
『私、貴方のことが好きになってしまってかなり能力が乱れがちなので、暴走したらとめてください。ユーリさんにしか止められないと思います』
ハルカの異能の力は彼女の感情に左右される。感情が乱れれば異能の制御も乱れ、先程セァニウスを襲ったように制御不能になると説明されて、部屋の家具が暴れるように浮いていた状況が彼女の能力の暴走であることを初めて知った。
てっきりユゥリアスのために怒り、セァニウスに対してあのような行動に出ているのだと思っていた。いや、それは間違ってはいないのだが、まさかハルカが能力を制御できない状況になっていたとは思ってもいなかった。
「そんなに、異能の力を操るのが難しくなったのか?』
『いえ、普段は大丈夫ですよ。ユーリさん関係でしか乱れることはないと思いますし。でも、はっきり貴方への好意を自覚したので……次に同じことが起きたら国ごと滅ぼすかもなぁ、なんて』
ユゥリアスを傷つけること、侮辱すること、そういうことがあれば異能の力が暴走して相手を傷つけかねないし、規模によっては国が滅びそうだと本気で考えていることが伝わってきて背筋が冷たくなった。
ハルカのことは本当に好きだ。愛おしくてたまらない。けれど「爆弾を愛してしまった」という感覚になるのは何故なのだろうか。気づいたら自分の目を覆っていた。
「責任重大すぎないか……?」
『大丈夫ですよ。ユーリさんが止めてくれれば』
伝わってくる厚い信頼が、責任の重さとなってユゥリアスの肩にのしかかる。これまで彼女の突飛な行動を止められたことはほとんどないのだが、果たして本当に彼女が暴走した時にそれを止められるだろうか。ユゥリアスがやらなければドルア王国が消えるかもしれないと言われても、それをできる自信があるかと言われれば――正直、あまりない。
「……努力はしてみようと思うが……」
『お願いします。だからずっと一緒に居てくださいね』
小さく笑うその表情はとても愛らしくて愛おしい。それだけでもう他のことがどうでもよくなるくらいに。これが惚れた弱みというものなのかと、ユゥリアスは自分に小さな呆れを覚えた。
ずっと一緒に。それはユゥリアスの望みであったし、今もそれを望んでいる。しかしどうも、ただ平穏で幸せな生活というのは訪れないようだった。
(……いや、でも。それでこそ、ハルカか)
鮮烈で、強烈で、非日常があたりまえの日常。ユゥリアスが愛するのはそれをもたらす存在で、彼女に振り回され続けるであろうその日々を、不安と期待が絡み合う感情で胸を高鳴らせながら過ごす。それこそユゥリアスの望んだものだ。
いつか、夢で見たように。二人で年を重ねても変わらぬ激しい日常を送る、その想像が容易にできてしまった。……それは、きっと。ユゥリアスにとって幸福な未来だろう。
『あ、そうだ。もう調査は必要ないですし、あと三日くらい時間に空きができましたけど、どうしましょう?』
「ああ、そうだな。……ゆっくり休んでもいいし、どこかに遊びに出かけてもいいな」
『いいですね。こっちには結構きてますけど、観光みたいなことはしたことないですし』
ハルカと二人で過ごす時間は少なくなかった。ハルカの素性を知っているのはユゥリアスだけであり、ユゥリアスの秘密を知っているのもハルカだけだ。ホームの仲間には言えない事情がある時は二人で行動するし、二人で話をしていた。ここ二ヵ月間で共に過ごした時間は決して短くはない。
それでもユゥリアスは今、これから二人で過ごす時間を特別に思えている。好いた相手が同じように自分を想ってくれていると知ったからだろう。これほど幸福なことはない。
二人でどこかに出かけると思うだけで喜びがあふれそうになる。どこへ行ってもきっと楽しい。
(……これ以上は望まないと思っていたのにな)
ずっと友人のままでいいから共に過ごしたい。もしこの世界に残ってくれるというなら、それ以上は望まない。心の奥底に閉じ込めようとしたその願いは本物だったはずだ。
でもどこかで友人以上の存在になれたらと願っていた。そして、それが叶って、今は。
(ずっと、私だけを見ていてほしい。……だめだな、どんどん欲深くなる)
二人でいる間、ハルカの視線はずっとユゥリアスだけのものだ。けれどホームに戻ればそうはいかない。あまりにも身勝手な欲が湧いてしまって、そしてきっとそれも伝わってしまっているから申し訳なくなる。
『申し訳なく思わなくていいんですけど、ユーリさんは……本当に物好きですね』
「……そうだろうか」
『そうですよ。私は異質な存在ですから』
ハルカは自分を異質な異物だと思っている。どこにも馴染めない、逸れ者だと。
たしかに彼女は特殊だ。今までこの世界に訪れたどの異世界人とも違うだろう。彼女の話では身体の作りも別で、形は似ているが同じ人間でもないらしい。けれど、そんなことはユゥリアスにとってはどうでもいいことだ。
「君が私をこの世界に生かしてくれたんだ。……少なくとも私にとっては、君が何よりも必要な存在だ」
ハルカがこの世界に来てくれなかったらユゥリアスは透明なままだった。誰にも自分という存在を認められることがないまま、また、自分を見失っていたかもしれない。彼女と出会ってから人生が大きく変わったのだ。……彼女が居ない日々を生きる想像ができないくらい、その存在はすっかり魂に刻み込まれてしまった。
『……そわそわします』
異能者は感情の起伏が少ない、感情が希薄だと彼女は言っていた。けれど、ただ制御が上手いだけでそうでもないのだろうとユゥリアスは思っている。
伝わってくる彼女の感情は決して薄くも弱くもない。今も落ち着かないといいながら伝えられたものは、照れ臭さと好意の混ざった温かいものだ。彼女の異能によって伝わってくるそういう心が好きで、つい口元が笑ってしまう。
『とりあえず、一旦ここを出ません? 森にでも行ってから行先を決めましょう』
「ああ、そうだな」
すっかり城やセァニウスに苦手意識を持ってしまったらしいハルカの提案に頷いて、差し出された手を取った。恋愛感情を伝え合った仲なのだから、指先だけで触れるというのもおかしいだろうとしっかり握ったのだが――心臓がうるさくなる。恋仲になったからといって変わるものでもないようだ。
「ユーリ、心臓、たいへん」
「……気にしないでくれ。慣れるよう努力はするから」
「わかった。森、いく」
果たしてこの感覚に慣れることはあるのだろうか。そう思った次の瞬間。景色ががらりと変わって、視界にはハルカと青い空があった。そう、一面の空だ。つまり、ここは上空だ。それを理解するより先に浮遊感に襲われ、体がぐっと下に引っ張られる。
「っ!?!?!」
落ちる――と息を飲んだが、すぐに落下が止まった。一瞬、息も心臓もとまりかけるほど驚いたのは、彼女の異能で移動した際に鼻先の距離で魔物を目にすることになった時以来だろうか。
『いやー……吃驚しましたね』
「本当にな!? 何があったんだ……!?」
『心臓が大変なのはユーリさんだけじゃなくて私もだったみたいです。制御が乱れました、すみません』
つまり、手を繋いだことで心臓の鼓動を早くしていたのはユーリだけではなく、ハルカも同じで。彼女はどうやら『すごい心臓の音がするな、ユーリさんは大変そうだな』とのんきに考えていたら自分の鼓動の音だったという、とんでもない鈍感さを発揮してそのまま異能を使い、目標地点の高低差の調整を誤ったらしい。
(私がこれを本当に抑えられるのか? ……無理ではないか?)
ハルカ曰く、彼女の暴走を抑えられるのはユゥリアスのみである。ユゥリアスにできなければ、彼女自身にも他の誰にも抑えられない。責任の重さを改めて突き付けられた気分だ。
『まあでもちょうどいいのでついでにこのまま空の散歩をしましょう。さっき未来視があったばかりなので暫くはないでしょうし、このまま飛ぶのは大丈夫だと思います』
「…………本当か?」
『はい。ユーリさんを怪我させることは絶対にないですよ。そんなことしたら、きっとこの一帯を吹き飛ばすくらい動揺しますしね』
それは彼女にとってほんの冗談だというのは、悪気のない微笑みや意思から伝わってくる。伝わってくるのだが、全く笑えないその冗談ににユゥリアスの笑顔は引きつった。
……まったく、本当に。とんでもない人を愛してしまったものだ。
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