ヒーローだって思春期だもんね!なんて思った私がお願いしたことは・・・

かぜかおる

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あっ、ヒロインさんそんな感じでしたか・・・

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「なんで?なんでなのよ・・・!?私はヒロインでしょ・・・!?王子の妻になって幸せになるはずでしょっ!!!」

特に他意はなく、ちょっと時間が空いたから学校の庭園でもゆっくり散歩しようと思いったったのが運の尽き、不穏な叫び声が聞こえた。
何やら修羅場に遭遇したようだ。

そこにいたのはヒロインと王子、そして王子の側近たち。
物語のメインの登場人物大集合である。

ちなみに今まで全く意識してなかったくらいには、ヒロインやストーリーとの関わりはなかった。一回ヒロインが、なんでいじめないのよ!?、って凸ってきて電波系転生ヒロインだったかぁって思ったくらい。


そして本当にふと思い出したけど、そういえばそろそろストーリーも佳境。
王子がヒロインに告白する頃かな?場所も確か学校の庭園だった気がする。

しかし、さっきもいったけど雰囲気は甘いものではなく、明らかに修羅場。
それに確か告白のシーンは2人きりだったはず。ここで側近達は出てこないはずだけど・・・?

関わるのはまっぴらごめんだけど、ちょっと無視して立ち去るには気になりすぎるシチュエーション。野次馬根性丸出しに、彼らから見えにくい場所にそっと移動して様子を窺う。


「君がなぜそんな考えに至ったのか分からないけれど、男爵令嬢が王族の妻になれるはずないだろう?なれても愛妾が関の山だ。」

王子は言いながら苦笑いを浮かべた。

「でも、わたしは特別でしょう!?だってヒロインよ!!この世界はわたしのためにあるのよっ!!」

まさに電波系ヒロイン!
ヒロインさんよ気づけ、周りの男ども教育が行き届いた高位貴族の子息のくせに面倒くせえのに関わっちまったって気持ちを隠そうともしてないぞ!
ドン引かれてるぞ!

「はぁ、世界があなただけのためにあるとは何様のつもりですか?あなたは自分が神だとでも言うおつもりですか?」

側近その1メガネくんがかなり呆れたようにいった。

ん?側近のそ1の名前?あーそんなの知らなくてもストーリー的には問題なから無視無視。
王子とヒロインも名前出てないし大丈夫っしょ。

なんならナロリスって名前しか出してないよ。

でも問題なかったでしょ?
この後も問題ないからこのまま進めましょ~!

「わたしは神様じゃなくて、ヒロインよっ!」

ヒロインはふんぞりかえる。

「・・・、あー君がヒロインだとしてわたしが君を娶るのになんのメリットがあるのかな?」

話が通じなさすぎるからか、王子は方向転換を計った。
うーん、だけどさ、そう言う考え方この電波ヒロインさんに理解できるかな?
貴族としては普通の考え方だけどさ。

「このわたしが手に入るじゃない!!」

・・・わお、そうきたか。

「わたしは顔も可愛いし、スタイルもいいわ!不満なんてないでしょう!!?」

確かにヒロインは可愛らしい容姿に、華奢ながら出るところは出てるなかなかのスタイル。
ボンキュッボンでも、スレンダーでもなく、綺麗なスタイルだなって感じ。洋服のシルエットとか綺麗なんだ。

ナロリスはね悪役にありがち、つり目の迫力美人でダイナマイトバディです。
胸がデカくて肩こりなんて都市伝説だと思ってたよ・・・。

「うん、で?」

「え?」

「他にメリットは?」

「だからわたしが手に入る・・・。」

王子はちょっと怖さを感じる笑顔でヒロインを問い詰め、ヒロインはタジタジとなる。

「はあ・・・。あのさ、確かに君の見た目はとても素敵な女性だね。女性にこう言うこというのは失礼だけど君が言い出したことだから。顔も上々、スタイルもいい。でもさ、君くらいの見た目の人はいくらでもいるよ。婚約者のナロリスは君と系統は違うけど美人だし、豊満なスタイルだ。他にも王家に嫁げる身分で君と同じレベルの女性はいくらでもいるよ?
そんな子たちを差し置いて君を娶るメリットは?」

ヒロインの顔が赤く染まる。

「なによ、なによなによなによっ!!!可愛いねって素敵だねって言ってたじゃない!!なんのよ、ただわたしの体を弄んだだっけだっていうのっ!!?アンタたちサイテーねっ!」

「わたしたちが善良な行いをしたというつもりは無いけどね、君に最低だと言われる筋合いはないな。君が誘ってきたから乗ってあげただけだよ。君も楽しんでいたじゃないか。
それにさ、君気付いてる?口を滑らせてしまっているよ、アンタたちって。まあ知っていたけど、ここにいる全員と体の関係を持っていたんだよね。」

「なっ!?なんで?」

「『王子とは逆らえなくて仕方なく、心はあなたのものよ』『家のことを盾にされて仕方なく、わたしを信じて』とかだっけ?他にもいろいろ。浅はかだね、わたしたちが何年の付き合いだと思っているんだい?君程度の人間にたぶらかされて騙されるほどわたしたちは愚かではないし、関係は浅くないよ。」

ヒロインの怒りで赤く染まっていた顔が青ざめていく。

ってかヒロインはビッチ属性付きだったのか、ヒロインもヒロインだけどそれを利用して楽しむ男どもちょっとどうかと思うぞ。

「でも、でも、だって・・・。わたしは、ヒロイン・・・。」

往生際悪く、ヒロインは何かを言おうとしているけれどだんだん声が小さくなっていく。
そこに王子が口を開く。

「君は確かに顔もいいし、スタイルもいい。お互いに後継が生まれた後にでも愛人にしてもいいかと思ったんだけどね。誰にでも股を開く、男に愉しませてもらうことを当然と考えてる素人女なんて必要ないよ。誰にでも股を開く女なら、娼館に行けば技術のある男を愉しませることができる女を抱ける。愉しませたいなら貞淑な妻を相手にすればいい。ありがたいことにきちんとした貞操観念を持った顔もいいスタイルもいい、家柄も問題なく賢い婚約者がいるからね。君を求める意味ってないよね。」

・・・ガッツリ止めを刺しにきたよ。
発言したのはほぼ王子だけど、周りの側近どもも同じ意見っぽいなあ。

入学前の呼び出しでお願いしたことが上手く身になっている?気がするけど、ただゲスいだけな気もする。
おばちゃん複雑な気分よ・・・。


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