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⑤ 茶番の終わりそして真の罪人は...

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去り際にまた一悶着あったのだが、それはさておき一行は応接間の一つに移動した。
第一王子だけは諸々やることがあるからと席を外した。

一人用のソファに王、それを挟むように片側に宰相とマリールイーズ、もう片方にエルネスト、アリスティド、クロヴィスが並んで座っている。

中央のテーブルには人数分のお茶の注がれたティーカップが人数分と茶菓子が置かれている。
使用人達はそれらを用意した後早々に部屋を出て行ったため、部屋には今この6人のみが顔を突き合わせている。

「今回の件、一体どうなっているのか全てお話願います。」

口火を切ったのはエルネストだった。
早く真実が知りたいのか、急かす様子に宰相は苦笑を浮かべる。

「ええ、そうですね。
ではまず、殿下方が調べたマリールイーズ嬢の罪状は全てウスターシュが行っていたことです。それをうまく細工をしてマリールイーズ嬢が行ったように見せかけていました。」


以下の話がそれに続き宰相の口から語られた。
ウスターシュという男は父親の代から様々な犯罪に加担していた。しかし大変狡猾な親子で、犯罪の裏に影は感じるものの一切証拠をつかませることはなかった。
増える犯罪被害に王家は頭を抱えていた、そんな時に起きたのがドーリッシュ公爵令嬢との既成事実。
王家はこれを利用することにした。あえて身内に取り込むことで証拠を手に入れようとしたのだ。
これは、マリールイーズの祖父母にあたる先々代のドーリッシュ公爵夫妻と母である先代公爵という決して少なくない犠牲と、マリールイーズの奮闘により10数年いや、20年近い時間をかけて成功する。
そして今日、断罪が行われている最中にウスターシュと繋がっていた者達の元に騎士団が向かい、捕縛されていたのだ。そして、その中にはアリスティドの母である側妃とその実家も含まれていた。
第一王子が席を外したのもその対処に追われているからだ。


「全体を大まかに言えばこんな感じでしょうか。
何か聞きたいことがあればどうぞ。」

3人はそれぞれ思うところがあるようで、中々口を開くことはなかった。

「あの、アリスティド様に尋ねたいことがありますの。
よろしいでしょうか?」

沈黙を破ったのはマリールイーズだった。

「あ、ああ。」

マリールイーズからこのような言葉が出るとは思わなかった一同に緊張が走る。
そして、マリールイーズが中々次の言葉を発しようとしないことから、それが余計に深まる。

沈黙の末、意を決したようにマリールイーズが口を開く。


「正直に答えてください、


アリスティド様は私と子作りできまして?」
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