気づいたら隠しルートのバッドエンドだった

かぜかおる

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③ アリスティド Side サポートキャラ

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婚約者であるマリールイーズ・ドーリッシュの第一印象は無愛想だなだった。

私自身無愛想であるのにそのことを棚に上げて、そんなことを思っていた。
その頃の私の周りには様々な欲に目を濁らせて愛想笑いする人間しかいなかったから、ある意味新鮮ではあったが。


つり目気味で薄い色味の目と髪、整いすぎた容姿はきつく冷たい印象を与え、歳の割に完璧な所作と感情のこもらない表情と挨拶が一層それを引き立てていた。

だから、その隣にいた少女に目を奪われてしまうのも仕方のないことだったと思う。

暖かな太陽みたいな色をした髪、新緑を思わせる美しい緑の瞳。貴族の中では並だが、可愛らしくほっとするような容姿。所作は及第点にも到達していないが、声で、目で、全身で私に好意を持っていると伝えてくる様子に、欲に塗れた人間に疲れた私が好意を抱いたのは自分でも驚きだった。

まあ、それと同時に婚約者の顔合わせに同席するなんて何を考えているのか、とも思ったが。
確か平民から公爵家に引き取られたばかりの庶子だったか、婚約者のマリールイーズと同世代の礼儀作法も身につけてない娘を同席させる公爵、この婚約も問題がありそうだと頭を抱えた。


一部気に掛かることもあったが、マリールイーズとの婚約は淡々と進んでいった。
婚約者として適切な頻度の手紙のやり取りや贈り物。
私が婿入りし臣下に降ることになるとはいえ、王家に連なるものとしての教育があるらしくマリールイーズが登城したときや、逆に私がドーリッシュ家について学ぶため公爵邸に行ったにはお茶会をした。
まあ、互いに言葉数が多い方では無いので静かなものであったが。

このように淡々と義務をこなすような関係ではあったが、適切な距離感に、普段は静かだが打てば響く会話。
私に向けた何かしらの欲を全く見せない、何を考えているかすら読み取れないマリールイーズとの時間は存外嫌なものでは無かった。





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