気づいたら隠しルートのバッドエンドだった

かぜかおる

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⑧ セシル Side ヒロイン

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それからの日々は驚きと感動の連続だった。

夜ご飯は毎日フルコース、朝と昼はコースでは無いけど毎回食べきれないほどの種類の料理が食卓にのぼった。
食べすぎて太っちゃわないようにするのが大変なほど。

ドレスや宝石も毎日違うのを着て、父さんは私たちがこれ以上使い切れないって言ってもどんどん新しいものを買ってくれた。
よく知らなかったけど、貴族って1日に何度も着替えるのね。出かける訳じゃないのに食事とかお出かけとか何かするたびに着替えるからちょっと辟易としちゃった。

お勉強もいろいろした。
難しいモノばかりだったけど、先生たちはいっぱい褒めてくれたし大丈夫!
それに女の子はちょっとお馬鹿な方が可愛いって言うじゃない?

マリールイーズのことも少し気にしてた時もあったけど、声をかけてあげてもニコリともせず無愛想だしいろいろ口煩い。言われたことを父さんに確認したけど気にしなくていいって言われるようなことばっかりだった。
食事だって父さんから一緒に食べようと誘っても一度も来なかった。
そんな風だから父さんからもみんなからも嫌われるんじゃない?
なんか自業自得だなって思うと気にしてあげる気もなくなっちゃった。

そうそう、マリールイーズの不正とかも調べようと思ったんだけど全然わかんなかった。
領地経営とか本とか読んでも分からないのに、見つけられるわけないよね、ヒントもないし。
最終的にはちゃんと罪が公になるんだから犠牲になる人たちには申し訳ないけど、しょうがない。大人の人たちに頑張ってもらおう。


そして、一番大事なアリスティド様の攻略なんだけど、ガンバったよ!
父さんと母さんに王子様に会ってみたいなって言ったら、なんとアリスティド様とマリールイーズの顔合わせの時に一緒に連れていってもらえた!
幼いアリスティド様はやっぱり素敵で、ずっとニコニコしちゃった。
なんとなくだけど、マリールイーズよりも気に入ってもらえたんじゃないかな?

それから少しずつ仲良くなれるように気に入ってもらえるように頑張った。
父さんと母さんにアリスティド様が好きになったって言ったら、簡単じゃないけど応援するって言ってもらえた。
そうだよね、元々公爵家との繋がりを作るためなんだから。婿入りもマリールイーズが修道院行きになれば、私が後継になるし問題はいずれ無くなる。
だからそれまでにアリスティド様と仲良く、できれば相思相愛にならなくちゃね。

正式な婚約者はマリールイーズだからあまりグイグイ行ったら、ラノベみたいに私の方がはしたないって言われそうだからマリールイーズが王宮に行く時何回かに1度一緒に連れていってもらった。
公爵家の家にアリスティド様が来るときは、これも何回かに1度二人のお茶会に一緒させてもらうのと、来るたびに玄関から応接間とかに行くまでおしゃべりさせてもらった。

確実に私がアリスティド様のこと好きなのは伝わってる。でも決定的なことは言わないししない。
本番は、マリールイーズとの婚約が破棄されてから。
アリスティド様とマリールイーズの婚約は契約だから、アリスティド様が悪く言われないように、でも婚約者の義妹って立場を最大限に利用して交流を重ねていった。

あとはちょっとだけ、ただでさえアリスティド様からみたマリールイーズの印象はあまりよくなかったんだけど、ほんのちょっとだけ、きついこと言われた、とか、睨まれた、とか悲しげな顔してささやいた。
嘘は言ってない、ただ全部私がそう感じたことってだけ。

少しぐらいの印象操作は恋する乙女だもん、みんなやってるよね?
ちょっとだけマリールイーズの印象を下げて、ちょっとだけ私の印象を上げる。
そもそも、これぐらいのことで悪くなる印象だったり仲ならこんなことしなくても悪化するものだと思う。

マリールイーズも悪いことだけじゃなく、私のためになってることを喜んでくれるはず!




だから

私のために踏み台になってね、おねえちゃん。
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