気づいたら隠しルートのバッドエンドだった

⑥ セシル Side ヒロイン

一目惚れ、だったんだ。

二次元に一目惚れなんてもしかしたら笑われるかもしれない。

実は、なんでそんなに彼が良かったのか自分でもいまだに分かってなかったりする。
でも、一目惚れってそんなもんじゃない？

とにかく、彼の姿を見た瞬間、私の世界が色づいたの。


従兄弟から薦められた乙女ゲーム。
男のくせに乙女ゲームってって思ってると、案の定と言うか、乙女ゲームじゃなくて領地経営ゲームが作り込まれてて面白いのだと薦められる。

正直、領地経営ゲームとか興味ないし、乙女ゲームパートも普通じゃやる気が起きない。
そう思いながらも家族やいとこ達がベッドからほとんど出られない私のために面白いものをと探してくれているのを知っていたからとりあえずやってみた。

ひと目見て惚れて、サポートキャラだから攻略できないことに落胆した。
少しでもいろんなアリスティド様を見たくて、全てのルートを攻略した。
攻略対象を落とすためじゃなくて、アリスティド様を見るために何周もゲームをした。

そんなある日従兄弟がある情報を教えてくれた。

幻の隠しキャラルートがあるらしい。

実はこのゲームの攻略対象は6人と公式発表されている。
だけど、ゲームのパッケージに描かれているキャラクターは5人とサポートキャラのアリスティド様のみ。
ネットで探しても6人目を見つけたと言う人はおらず、バグって出現不可能になっているんじゃないかと言われる始末。
発売当初は隠しキャラを探す人もいたのだが、あまりにも出現しないため諦めたり、他のゲームに移ったりしてしまったらしい。

そんな中まことしやかに囁かれている噂が6人目の攻略対象はアリスティド様なのではないかと言うもの。

パッケージにはアリスティド様が描かれているし、声も声優さんがあててる。
さらに、実はアリスティド様に会いにいく回数を増やしたり、プレゼントをあげたりすると少しずつ話す内容が増えていくのだ。
例えば最初の頃は好感度を確認するにも、最初は気になってるっぽい？とか、ちょっとは意識し出してるかも、とか曖昧な表現で伝えてくる。
それが回数を重ねるごとに、表現が断定形になったり、100％中何％と具体的な数値になっていったりする。
他にも最初の頃は好感度くらいしか話してくれないのが、雑談や攻略キャラの裏話などしてくれるようになっていく。
もちろん、一回や二回のクリアデータじゃそこまで行かなくて、何回何十回回数を重ねていくことでだんだんと打ち解けていくのだ。

それもあって、むしろそこまでしているのだから攻略対象だろう、ってかもはや別のキャラいらなくね？という話。

まあ、誰一人として隠しキャラルートを開けていなかったのだから何が本当かは分からなかったが。

私はそれを信じて、さらにゲームにのめり込んでいった。
ただただアリスティド様への愛をよすがに周回しまくった。

そして手術の前日、何がきっかけだったのかは分からないが、
ついに私は前人未踏の隠しキャラルートを発見した。

ルート開放の合図とともに出てきたのは


























アリスティド様の兄
第二王子、だった。