愛を疑ってはいませんわ、でも・・・

かぜかおる

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終章

なごやかなお茶会

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「あら、ライサがお茶にミルクではなくレモンを入れるのは珍しいわね。」

そう問えば。

「ええ、最近レモンの魅力にはまってしまいましたの。」

そう言いながらライサは何気ない様子でティーカップにさらにレモンのスライスを一枚追加した。

「ライサ、そんなに入れると流石に酸っぱいのではないかな?」

ハンナマリが酸っぱさを想像してしまったのか、口をすぼめながら言う。

「美味しいですわよ?ええ、でも、入れすぎかも知れませんわね。つい、おいしくって。」

少し恥ずかしげに言うライサ。

「お茶せいだったりしないの?私たちが飲んでいるのとは少し違うわよね?」

「あら、マルガレータ様気づいてしまいまして?先日お父様が珍しい茶葉が手に入ったからとくださったのですわ。少し癖があって飲み手を選ぶ味なのですが、皆様もお試しになられる?」

全員がそれに同意すると、静かに準備が整えられ始めた。


側妃の3人とのお茶会は何もなくとも定期的に開くようにしている。
それはただの交流のためと言うのもあるし、改まって話すほどでもない不満とも言えないような不満とかは案外こういった気楽な場でポロリとこぼれてしまうこともあるからそういったものを拾うため。あとは、育ちかたも毛色も違う面々だからいろいろな考え方なんかを知れて良い影響を受けたいと言うのもある。

でも、今日のお茶会に関してはもっと明確な理由がある。

確証はないけれど、もしかして、と言うことを確かめるため。
二人きりで話してももしかしたらはぐらかされるだけかも知れないから、警戒されないように4人でのいつものお茶会のように振る舞いながらそれとなく、それでいて見落としがないようにつぶさに観察する。

そんな私の思惑を知ってか知らでか、お茶会は和やかに進んでいく。


「ああ!準備ができたようですわね。」

ライサの声にハッとする。
少し物思いに耽ってしまっているうちに、先ほどのお茶の準備ができたみたい。

「香草茶みたいなものかしら?不思議な香り。」

「そうね、なんと言うか薬室っぽい香り。」

目の前に置かれた新しいティーカップを手に取り香りを嗅いだマーリトの言葉に同意するように、ハンナマリが感想を言う。

「うっ、これはまた独特な風味ね。」

早速口につけたハンナマリは微妙な反応を示す。

「これは・・・、レモンを入れたら変わるのかしら。」

マーリトも同じような反応で、ライサを真似てレモンスライスを入れて再度挑戦しているけれど、やはり口に合わない様子。

と、人の様子を見ているだけではなくて私も飲まなくては。
ティーカップを手に取り、匂いをかぐとどこかで嗅いだことのある香りが鼻腔をくすぐる。
どこで嗅いだのかしら、と疑問に思いながら口をつけるとこれまたどこかで口にしたことのある味。ものすごく癖の強い、確かに飲む人を選ぶ味ね。でも私は嫌いじゃない、どころかちょっと癖になりそう。

「マルガレータ様はいかがです?」

マーリトが尋ねてくる。

「私は案外嫌いではないわ。なんと言うか、おいしくはないのだけど、癖になりそうな味ね。」

「本当ですの?」

驚きながらも、確かめるようにライサが尋ねてくる。

「ええ。」

そう答えると、ライサはさらに驚いた風になる。
そんなに驚くようなことかしら?確かに癖は強いけど、不味いわけではないし。ライサ自身も言っていたけれど好みが分かれるってくらいよね?



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