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アザーズ Side

わたくしのげんじつのおうじさまはどこかしら

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そうして過ごしているうちにわたくしも10歳を迎え、ある日お父様から話があると呼び出されたの。

「そろそろ本格的に婚約者探しをしようと思うが、誰か気になる人はいるか?」

友人とのお茶会でもよく上がるようになったこの話題に、とうとうわたくしの番が来たのねと思ったわ。

相性を見て判断するとはいえ、親が婚約者を定めるのが主流の中お父様がわざわざわたくしの意見を聞いてくれるのは、両親も兄もわたくしに甘いというのもあるわ。でもそれだけではなくお兄さまが結んだ婚約が良縁で、わたくしの婚約により貪欲に他家との縁や利益を求める必要がなかったから。


それにしても困ったわ。
あの日からわたくしの胸の内にあるのはあのお方ただ一人。
他の殿方と接する機会があってもどうしてもかのお方と比べてしまい魅力的に感じる方はいなかったの。

さすがにかのお方の名前を出すわけにもいかず、いえ、出してもお父様もお困りになるだけでしょうし。


「言えない方なのだな?」

どう答えればいいのか頭を抱えていましたら、お父様の方から助け舟を出してくださいましたの。

「私に言ってもどうにもならないお方なのだな?」

それは確信を持っているような言い方でしたわ。

生まれた時から見守ってくださっているお父様、わたくしにお慕いしている方がいることに気づいていらっしゃったのね。それが叶わぬ想いということも。

「ごめんなさい、わたくしはお父様のお決めになったことに従いますわ。」

わたくしにはそう答えるしかありませんでしたわ。

「そうか、お前を幸せにしてくれるいい相手を探してこよう。」

申し訳なさそうにも、そう優しく言ってくださるお父様の愛情の深さを感じましたわ。


わたくしの婚約者探しは難航したわ。

お父様の伝手やお兄様の友人からこんなわたくしに寄り添ってくださるようないい方を探してくださいましたの。

でも寄り添っていただくにはこちらからも寄り添わねばなりません。心を砕いてくださるならこちらもお返ししなくてはなりません。
愛や情が無いならなおさらですわ。

お恥ずかしながら、わたくしはいつもそれが出来ませんでしたの。あまつさえ内心でかのお方と比較してしまっていましたわ。

そういった私の様子に何か感じるものがあったのでしょう、縁談が纏まる前にお断りをされてしまい婚約者はできずじまいでしたの。


もういっそのこと完全な政略でしたら、とお父様たちに相談したこともあったのです。ですがお父様たちはわたくしが幸せな結婚をすることを望んでいましたので、それは叶いませんでしたわ。


そうしているうちにかの事件が起きましたの。
それがわたくしの人生を変えることになるとは全く思いもよりませんでしたわ。


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